【はじめに】 シニアとスマホの関係について
今回は、終活の「す」に該当するスマートホン。
後始末に苦労するデジタル遺品の中でも筆頭格の存在についてです。
ですが、スマホの機能はまさに日進月歩。
知れば知るほど生活面の利便性が向上するのは紛れもない事実です。
では、シニア世代にもスマホは絶対不可欠なものでしょうか?
スマホを所有することのメリット、デメリットはどちらが大きいか?
いきなりの個人的な見解ですが、
私は、条件付き、使い方次第ではありますが、
スマホは持っていた方がいいと考えています。
今回はスマホの始末というテーマから離れて、
今のシニア世代はスマホとどう付き合えばいいかを考えたいと思います。
スマホがあればこんなに便利?
知らないことは教えてもらいましょう
スマホは欲しいけど使い方が複雑すぎて…
やっと携帯電話に慣れた時にまたスマホで一から覚えるのは…
要は会話が出来てメールが使えればそれで十分…
多くのスマホ初心者のシニアが口にする「買わない理由」であり、
買った後も今までの携帯電話と同じ用途でしか使わない理由です。
分厚く細かい字で書かれた取説を見てその時点で挫折、
最近は詳細についてはWebサイトを参照とあってさらに挫折。
ある程度使い慣れた方でも新しい機能を調べる際に
けっこう当該のページに辿り着くのに苦労したという話も聞きます。
ですがこういうケース、
「自分だけで」問題解決を図ろうとするから却って苦労するのでは?
既にご存じの方も多いとは思いますが、
殆どの携帯ショップでは購入者、特にスマホ初心者向けを対象に
基本操作の説明会が随時開催されています。
購入と同時に基礎的な操作方法や機能の説明を受けることが出来ます。
この他にも
自治体によっては初心者向けの体験教室や相談コーナーを随時開催し、
スマホに関する質問に対応するサービスが用意されています。
最近の搭載機能やアプリは実に豊富で、
完全に理解しているケースは若手でもそう多くはないようですが、
シニアにとってはより複雑怪奇な代物と言えるでしょう。
分からないからそのままで、では進歩がありません。
第一せっかくの便利機能を永遠に使えなければ実に勿体ないことです。
知らないことは知っているところで教えてもらえばいいのです。
大いにショップや自治体のサービスを利用、活用したいものです。
横道にそれますが、行動を起こすことは
今までになかった外部との接触が図れます。
間接的に孤独や孤立、孤絶への対処にもなります。
情報の一元化のメリット
具体的な事例として、
モバイルSuicaでスマホでの決済が可能ですし、
最近はマイナ保険証をスマホと一体化させることも決定してます。
公的なサービスを始め情報の集約化は今後も拡大の一途と言えるでしょう。
例えば、これまで病院に行く際には診察券と保険証を携行、
場合によってはおくすり手帳も必携でした。
診察券はまだしも保険証を忘れた場合は、
原則として全額自費負担での支払いを求められます。
途中で持ち忘れに気付いて病院を目前にUターンというケースも。
他にもスマホに限ったものではないですが、
友人や仕事関係の連絡先をアドレス帳として作成し保管が出来ます。
いちいちノートを拡げて連絡先を確認する手間も省け、
荷物も削減することが出来ます。
同様にスケジュール管理も可能ですから
いつ、何時に、誰と会うか? 今週の空きは何曜日か?
等の情報もスマホ1台で管理が可能です。
この他にも後述しますが、日常生活に便利な機能(アプリ)が
ありますので、うまく活用すればより快適な生活の一助となります。
日常生活でのメリット
いろいろ調べてみると生活面にメリットある機能は多数ありました。
その中から万人向け、最低限必要と思われた5つを以下に紹介します。
1)交通機関の乗換案内などのアプリ
今までは会社と自宅の往復だけで済んでいたとしても
例えば再就職の為にハローワークを掛け持ちで訪問したり、
面接の為に初めての場所に指定された時間に出向く場合等に
遅刻しない、迷子にならない為には事前に交通機関の選択や
乗り換えの有無といった情報を把握しておかなくてはいけません。
そういう場合に、このアプリを使えば
自宅からの予想所要時間等が把握出来ます。
他にも地図アプリがあれば、
コンビニやトイレの場所、待ち合わせの場所等も一目瞭然です。
学生時代の旧友との再会や、馴染みのない場所への来訪の際の
会場の確認などに便利です。
地図表記は非常に小さく、見にくさはあるものの
連動して会場の連絡先を把握することも容易ですから、
直接のやりとりで道案内や遅刻する旨の言伝も簡単に出来ます。
2)天気予報のアプリ
最近のアプリは直近の予報や限られた範囲での天気予報も可能です。
さらに時間ごとの雨雲の変化を追跡できるアプリも登場しており、
長時間の移動を伴う仕事の場合等にはこの情報は欠かせません。
仮に、得意先とのアポイントの時間に雨や雪の予報が出ていれば、
事前にその備えも出来ますし、余裕を持って行動が出来ます。
3)LINE
名称だけは御存じの方も多いでしょう、
電話、メールに次ぐコミュニケーションツールと言えるサービスです。
機能としてはメールと似てはいますが、
画面上でのおしゃべりのようにポンポンと会話が出来る点が特徴です。
メールはその都度返信、又は新規メールを作成し送信しますが、
場合によってはエラーで未達の場合も出てきます。
業務用メールの場合のあるあるですが、
送信先の設定を間違えてプライベートな話を全社一斉送信した例や
社内秘や部内秘の情報を社外の第三者に送ってしまった等、
笑えない事態を招くこともあります。
それに比べてLINEには通常のやりとりに加えて
「グループライン」という機能があります。
これを活用して友人同士の連絡網に使ったり、
忘年会等の記念写真をグループメンバーで共有することが出来ます。
家族や職場のメンバーで連絡網を作れば、
非常時には安否確認に利用することも可能です。
他にも自分のいる場所を相手に送る機能等、
待ち合わせの際にも利用出来ます。
唯一、よく話題になるのが
悪意のある第三者にLINEを乗っ取られるリスクです。
なりすましで、グループメンバーの個人情報の収集を図ったり
誹謗中傷の手段に使われるといったリスク面も無いとは言えません。
4)時計・アラーム機能
これもスマホに限った機能ではありませんが、
例えば決まった時間に薬を服用するような場合に
予めセットしておけば大切な薬の飲み忘れを防げます。
時間に制約のある打ち合わせの際には、
事前に終了時間をセットしておきます。
そうすれば、あえて自分が切り出さずとも
定刻になればアラーム音が鳴り響きます。
自動的に定刻になったことを相手にも伝えることが出来ます。
5)TV電話
家族と同居している場合は別にして、
単身赴任中の方や親友が遠隔地にいる場合等に
声のやり取りだけでなく、姿を確認しながらの会話が可能です。
使い方によっては「生存確認」ツールとしての利用が可能です。
6)メール機能
これも従来の携帯電話でも利用可能ですが、
通話以上にメール機能を利用しての緊急連絡が可能です。
その都度文章を入力し宛先を設定しての送信ではなく
定型文を作成し、アプリを使って特定の相手に即送信が出来るので
仮に定型文で「至急連絡を」と作成しておけば、簡単な操作で
家族や知人に何かしらの異変が生じたことを伝えることが出来ます。
緊急時でなくとも、いちいちメールの文章を作成するのが面倒、
通話ではよけいに話題がないと連絡をすることを躊躇しがちです。
「今日も恙なく過ごしてます。」等の連絡を入れれば
これも生存確認の手段となります。
特に喉の疾患で声が出せないような場合や
聴覚に支障をきたしたような場合には
メール機能を使うことで連絡が可能になります。
これ以外にもまだ初期段階ですが、
病院でのリモート診断に活用する事例もあり、
今後の利用範囲は拡大の方向に進むと言われています。
まだまだ便利、魅力的な機能は山ほどあります。
まずはここに紹介したレベルの基礎的な機能を理解し、
問題なく使えるようになることから始めてみては如何でしょうか?
スマホへの情報集約でこんな問題が?
先に一元化のメリットを紹介しましたが、
逆に一元化することでリスクが生じることも事実です。
マイナンバーカードの普及が芳しくないのも
カードに重要な個人情報が集約されることへの不安や
その情報の漏洩や紛失のリスクが完全に払しょくされていないから
とも言われています。
株式投資の世界では常識の
「一つの籠に全ての卵を入れてはいけない」
という戒めは、そのままマイナンバーカードや
スマホへの情報集約にも当てはまります。
昭和の時代には「電子手帳」が流行りました。
ここに公私のアドレス帳を作成し一括管理することで
別途住所録や連絡帳等を持たなくてもよくなったのです。
ですが、全ての情報を電子手帳に保管し、
紙のデータを廃棄した後に、故障や破損、亡失や盗難で
全ての情報を喪失、公私にわたって大打撃を受けたという
話は少なくありませんでした。
たかが?住所録だけで相当な打撃となったのですから
比較にならない程の情報が一瞬で無くなればどうなるか?
多くの情報に囲まれている自分の生活を顧みれば
そのような状況は想像すらしたくありませんね。
他にも一部のシニアからの声ですが
「最近は何でもかんでもスマホ経由で苦労している。」
という不満が見受けられました。
具体的には、アンケート調査の募集やクイズの応募先、
番組の感想や要望といった項目の殆どが「詳しくはWebで」
「下記のQRコードから」「URLをインストールして」など等、
従来のハガキやFAXといった連絡手段が激減したことだそうです。
言われてみれば、テレビ通販や懸賞応募でも
「詳しくはWebで」といった文句が当たり前になっています。
昔からクロスワードパズルや懸賞付きクイズが趣味という
私の知り合いもいわゆる「デジタル音痴派」だった為
最近では回答を送ろうにもスマホ経由でなければ応募すら出来ない!
と、意気消沈気味でした。
だからと言って今から新たにスマホを買ってまで趣味を続けるか?
これを機にこの趣味自体を見直すか?
趣味の世界とは言え、一種の「外圧」で断念するというのは
何か割り切れないものを感じます。
さらにシニア世代にとって深刻なことがありました。
多くのデジタル機器の詳細な取説がWeb上に移されたという点です。
スマホを買ったら詳しい取説の内容はスマホから検索しなくてはいけない、
まさに本末転倒です。
さらには「お問い合わせ」「故障かなと思ったら」といった
Q&A自体が、まずはWeb内の「よくある質問と回答」に案内され、
膨大な項目の中から自分が探してる質問項目を探し、模範解答を探し出す
というパターンが一般的になってきたようです。
購入したパソコンの使い方をそのパソコンでWebサイトに問い合わせる。
問合せの方法もメールとチャットと、また選択肢が現れてきます。
以前は機械音痴は女性の特徴と言われてきましたが、
今では男性陣も他人事ではないようです。
事実、デジタル機器創成期を体験している我ら60代の中にも
未だにスマホを持たない、持てないというケースが目につきます。
この様な実態を知ってか知らずか、
政府は確定申告の電子申告を推奨し、
最近ではスマホからe-Taxを利用しての申告を促進してます。
先にも少し触れましたが、
今年の5月からはandroid系のスマホにマイナ保険証が搭載される予定です。
運転免許証もマイナンバーカードとの一体化が言われており、
こちらもいずれはスマホとの一体化となってもおかしくはないでしょう。
ここまで来ると、課題はあるもののスマホの利用は
避けられないものと考えるしかないようです
使用上の注意と購入時の注意
腹をくくってこれからスマホを購入し使いこなす前に
使用上の注意事項がいくつかあります。
まずはパソコンと同様のリスクとして、
スマホ上でも変なサイトを不用意にクリックしたり、
差出人不明の怪しいメールを安易に開いたりすると
アダルトサイトに自動入会された旨の通告や
それに伴う高額の会費請求や解約手続きの案内サイトへの誘導等々、
より厄介な問題に遭遇するケースが少なくありません。
特におひとり様の場合は
周りに事前に注意を促してくれるような存在もなく、
トラブル時の相談相手もいないことが多いのでより注意が求めらます。
尤も同居する家族がいればいたで、
上記のようなトラブルを恐れた息子や娘から厳重監視を受けて
ただの通話専用の機器としての使用に制限されるケースも考えられます。
購入後のリスク管理の前にも別の注意案件があります。
携帯ショップ等販売店へ購入を前提に足を運べば、
よく言えば懇切丁寧に、悪く言えば聞きもしないことまで
長々と説明を始めて、気が付くと製品カタログで商談開始です。
しかもより多機能(=高額)な機種に誘導するような口調で…
もちろん全ての対応がこうとは言いませんが、
私自身の経験では、3回ほど執拗な機種の推奨や高額プランの
契約の過剰な説明の洗礼を受けました。
それなりに使用経験があった為、
タイミングを見て先方の会話を断ち切って
こちらのペースに引き戻すことが出来ましたが、
あまりスマホに詳しくない方でしたら、どうでしょうか?
執拗な説明や、意味不明なサービス説明を延々と始められたら
最期は根負けして「yes」と言うのではないでしょうか?
今の自分に必要な機能は何か?
通話やメール以外に今まで利用したサービスは何か?
通話にしても週何時間、月何時間といった実績を把握しているか?
ひとり暮らしの際に役立つようなサービスだけを知りたい
などといった具体的なイメージは持ってから訪店すべきでしょう。
年下のスタッフに応対されること自体に抵抗を感じるシニア、
特に中途半端な使用経験を持つシニアほど、知ったかぶりをしがちです。
よくわからないまま許諾してしまったり、拒否したりでは
そのツケは結局自分が払うことになってしまいます。
繰り返しになりますが、
最低限何が出来れば今の自分にとって十分なのか?
シニアといっても年齢や住環境等で求める機能、
求められる機能は異なります。
あくまでも「自分主体」のスタンスで購入相談に出向く、
シニアのスマホ初心者は、特に肝に銘じてほしいものです。
【結び】スマホを活かすも殺すもあなた次第?!
ここまで主にシニアにとってのスマホという観点で紹介してきました。
当然ですが、100%便利なものということはなく、
必ずある種のデメリットが併存します。
先に述べたように、デジタル遺品の中でも取扱注意なのがスマホです。
ある程度スマホをに習熟し、ネットバンキングやネット証券での取引、
又は各種のサブスク契約や通販会員での購買等を利用していれば、
その情報を一覧にして記録して、家族にも分かるようにしておかなければ
貴方が万が一の事態に陥った際に、遺された方に迷惑をかけることになるのです。
アドレス帳にしても緊急時の連絡先や友人知人の一覧をスマホに集約し、
紙媒体などのバックアップを用意しておかなければ全く役に立ちません。
せっかくの重要な情報を整理して管理していたとしても、
その情報自体を秘匿したままでは記録した意味がありませんし、
さらにユーザーIDやパスワードを誰かに伝えていなければ
その解除により時間と手間を強いることになってしまいます。
どこまでをスマホに委ねるか?
どんな情報をスマホで管理するか?
スマホを日常生活において欠かせない相棒とするか?
取り扱いを間違えて日常生活を脅かす厄介者とするか?
一定の線引きは各自の判断で決めておくことが求められます。
この記事の著者
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東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。
主に以下のSNSで各種情報を随時発信しています。
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