おひとり様の葬儀・納骨

【はじめに】

 先日の日経新聞に2020年のデータとして
50歳時点での未婚率が男性で約28%、女性が約18%とありました。
それはそのまま「ひとりで死ぬ」おひとり様の増加ということになります。

 私自身が該当する問題でもある
おひとり様の葬儀や後を継ぐ者のいない埋葬の形について、
ここでは公的なサポートを始めとする各種のサポート関連を
紹介したいと思います。

 

【自治体によるサポート】

 まず各自治体による葬儀や納骨の実施に関する費用、
これは概ね25~26万円前後となっていました。

 ざっと調べた結果、現在主な自治体では
横須賀市や京都市、名古屋市などで
支援やサービスの提供が行われています。

 まず横須賀では
「エンディングプランサポート事業」として、

 葬儀や納骨の希望に応じ、葬儀社を生前に紹介する。
 延命治療の意思確認を行う。

等のサービスが用意されており、
この費用は26万円となっています。

 京都市では
「単身高齢者万一あんしんサービス」として、

 安否確認。
 葬儀・納骨の生前契約。

等が用意され、費用としては
葬儀・納骨費用として25万円でした。

 他にも家財の処分についても
オプション契約が可能で別途見積もりを出すようです。

 名古屋市では、
「あんしんエンディングサポート事業」として
上記同様のサービスが用意されています。

 

 但し、
これらのサービスの利用には諸条件があります。
代表例として、名古屋市の要件を次項に紹介します。

 

 

【名古屋市の場合】

 まず具体的なサポート内容についてです。

・生前の見守り、安否確認
・葬儀・納骨の実施
・賃貸住宅の場合、家財処分や明渡しに伴う諸手続き
・死亡に伴う行政官庁への届け出
・公共料金の収受機関への連絡

 サポートの対象となるには

・市内居住者で65歳以上の方
・子や孫などの直系卑属がいない
・葬儀や納骨、家財処分が出来るような親族がいない
・本人に契約能力があること
・生活保護を受けていないこと
・市民税非課税、預貯金が350万円以下
・居住住宅以外に不動産を所有していないこと
・預託金を一括で預託できること
・原則として遺言で遺言執行者を定めていること
・葬儀・納骨費用は原則25万円
・事前に業者による家財処分の見積もりを算定する
・25万円に加えて処分費用を加えた額を預託金とする

 要は、
「天涯孤独なおひとり様」
認知症などの疾病がなく、
預託金が支払えるだけの資産を保有する。

といった条件を満たす方が支援対象となるようです。

 
 サポートの内容はおひとり様には非常に心強いものですが、
対象者になる為の条件はなかなかにハードルが高いとみるのは
私だけでしょうか?

 

【民間のサービス】

 次に民間による各種のサポートですが、
当然ながら多種多彩な終活支援サービスが存在します。
具体的な個々のサービスの紹介は省きますが、
概ね以下の内容は共通しているようです。

 相続対策
 資産活用
 葬儀の手配
 エンディングノートの作成支援
 死後の各種公共サービスの解約手続き

 中には
 健康保険証の返納手続きの代行
 も用意されたサービスもあるようです。

 

 民間の事業者の一例ですが、
費用に関してはサービスの内容によって分類されており
高額なものでは基本費用で約79万円でした。

 その内容には

FPによる相談
エンディングノートの作成支援
遺体の引き取り等の死亡直後の諸対応
葬儀の手配、
公共サービスの解約等

 が含まれています。

 

 他にも提供するサービス内容によって
約51万円、43万円などのコースが用意されてます。
(事例は東京電力エナジーパートナーから抜粋)

 さすがに先の自治体のそれと比べれば高額ですが
基本的には全国対応可ですから地域差はありません。
また提供するサービス内容も多岐に渡っているのも事実です。

 全く異なるタイプでは
全国の墓地や霊園、納骨堂等の情報を
ネット上で無料公開し、各施設が用意している墓や埋葬のタイプ、
各料金が掲載されているサービスもあるようです。
(事例は鎌倉新書から抜粋)

 

 

【自分に必要なものは何か?】

 民間サービスは
内容が豊富で充実してはいるものの
その分高額な料金設定となっています。

 自治体によるサービスは
比較的割安で、経営母体の信頼度は確固たるものがあります。
ですが、内容としては概ね必要最低限の内容であり
実施している自治体自体が未だごく一部でしかなく
地域の差が明確に生じてしまう点が問題です。

 仮にサービスを実施している自治体に住んでいたら
どちらを選ぶべきなのか?

 当然ながら
当事者がどういった情報を必要としているのか?
費用面から見て活用出来るサービスは何か?

 個々の事情によって選択は大きく異なってきます。

 

 まずは自分の暮らす地域では
どういった支援サービスがあるのか?
 
 自分が必要と思うサービスが含まれるのは
どこのサービスか?

 各サービスの内容の把握と選別から始めること、
この結果終活の為の手続きがどういったものかが見えてきます。

 おひとり様として、
終活に向き合う中での一つの課題として
自身の葬儀や埋葬について考えることを始めては如何でしょうか?

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この記事の著者

寺田 淳
寺田 淳寺田淳行政書士事務所 代表
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

主に以下のSNSで各種情報を随時発信しています。
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ブログ「新・先憂後楽」
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