住まいの片付けは終活最大の壁?

【はじめに】

 今回、何名かの同年代のシニアに2つ問いかけをしました。
「終活で何から始めたいですか?」と
「実際に始めた終活は何ですか?」の2つです。

 前者の答えは
圧倒的に「家財の整理、断捨離、生前整理」でしたが
後者の答えは「財産調査、相続準備」でした。

 さらに
「終活で挫折したものは何ですか?」の問いかけには
「家財整理、生前整理」がこれまた圧倒的でした。

 最も具体的で、目につきやすく、手を付けやすいと思われる
室内の生前整理が、実は相当な難問という事を紹介したいと思います。

 

 

【実際の整理で発生した残念な事例】

1)本棚の整理で重症を負う
  無類の書籍コレクターのAさん、
 おひとり様ということもあり、無制限に収集を続けてきましたが
 さすがに年齢的に終活を始めるにはそろそろタイムリミットと考えて
 一念発起して膨大な書籍の整理に取り掛かったのですが、
 1冊ごとの思い出に浸り、全く進捗が見られなかったそうです。

  これではだめだと、全ての書籍をいったん書棚から出して書斎に並べて
 一気に決断をしようとしたのは良かったのですが、
 書棚から取り出し床に並べるといった繰り返し作業の結果、
 ぎっくり腰を発症し、緊急搬送されたのです。

  結果的に書斎はより乱雑な「物置状態」になっただけでした。

  もう一つのBさんの笑えない事例では
 作り付けの立派な書棚を設けてある自分の書斎での整理作業の際に、
 天井近くの棚の本の整理に室内用の脚立に昇ったところ、
 足を踏み外し最上段から転落、家人によって緊急搬送され
 1か月の入院治療となってしまいました。

 

2)素人判断で食器類を格安で売却処分
  このケースは奥様が介護施設に入所中で
 旦那さんがおひとり様の暮らしをしている際に
 生前整理で室内の家財整理を「独断で」始めたのです。

  整理を進める中で奥様の趣味の食器や茶器に行き着いたそうです。
 以前奥様も「2人暮らしなので、いつか整理しなくてはね。」
 と話していたので、いい機会とばかり独断で行動を起こしました。
 
  整理業者を呼んで最低限使うもの以外を全て処分したそうです!!

  ですがこの直後に息子さんの嫁から処分品の中には
 捨て値でも〇〇万円はする皿や茶器があったことを聞かされたそうで
 当然処分時の売却額と相当な差額があった事に気付かされたのです!

  入所中の奥様にはこの件を報告したかどうか?
 私はついに聞けませんでした。

 

3)個人の思い入れのある品を処分
  このケースは前項と逆に旦那が病気で長期入院した際に
 日頃から旦那の書斎の「ガラクタ同然の品々」を忌々しく思っていた
 奥様がこれ幸いと勝手に処分したのです。

  前項とは違い高価格の品や社会的に価値のある品はなかったものの
 旦那の学生時代の思い出の品が全て処分されてしまいました。

  そういう品を保管していることを奥様に話していなかったようで、
 学生時代の賞状や記念写真や何かの競技会のメダル?等を入れた箱ごと、
 全て処分されたのです。

  その結果は、
 残念ながら収拾困難なほどの夫婦喧嘩を招いたとのことです…

 

 

【家財整理の終活での位置付けは?】

  さて終活で思い浮かぶ主なものとしては以下のものがあります。

 不動産の処分(空き家の実家、土地、自分の住まいの処分)
 遺言書作成
 相続対策
 エンディングノートの用意
 事業承継
 自身の介護・葬儀・墓の問題
 デジタル遺品(パソコン、スマホ内の個人情報等)

 そして家財の整理が挙げられます。

 冒頭にも書きましたが
まず手を付けたい終活ではこの家財整理がNO1なのですが
実際には挫折度もNO1という結果でした。

 先月の日経新聞の特集でも
終活で心配なことの調査でダントツの一位だったのが
「物の片付け・整理」となっていました。

 世間的にも「家財の生前整理」は相当な難物という結果でした。

 

 

【生前整理サービス】

 前掲の新聞記事に出ていましたが
民間の整理サービスの事例として何社かの事例が紹介されていました。

 処分以前の問題である整理・収納に関してのサービスとしては

ダスキン社の「すっきりと暮らすライフ整理サービス」
 1回2時間で東京では9,900円、相談を受けたうえでの助言や
整理の実施などを行うサービス。

LIXIL社の「整理収納サービス」
 お試しプランでの料金が17,600円で担当1名で3時間相当となってます。
内容は上記と同様なもので整理収納の有資格者が担当となっています。
基本は1回ごとで複数回の利用も可能です。

 分別から処分までのサービスでは

リリーフ社の「お片付けサービス」
 1回あたりで3名での作業で1LDKの場合88,000円から
2LDKの場合165,000円からが基本でした。
不用品整理と処分までを場合によっては数日かけて実施、
リユースにも対抗可能だそうです。

 この他にも以前私のFacebookで紹介した
日本郵便がキーパーズ社と提携して家財整理サービスを始めています。
相談窓口が日本郵便なので最寄りの郵便局での直接問合せも容易です。

 

 費用に関しては交通費は別途かかる場合や
処分する量によっても費用は変動し、
物によっては廃棄物処理費が必要になるケースもあります。
上記はあくまでも参考価格であって実際にはこれ以上の費用になるのが
殆どだそうです。

 安く見積もっても10万円台は必至と想定したほうが無難でしょう。

 最近はよく新聞の折り込みでいろいろな名称の整理サービスの
チラシが入っていることが目立ってきました。
需要が拡大し、商売として成り立つ市場になったということでしょう。

 ですが、中にはあまり感心しないような業者が存在することも事実です。
チラシの文言だけを鵜呑みにせず、ネット上でその会社のHPを探すことで
代表者の氏名や会社の概要をチェックが出来ます。

 また、一般廃棄物処理業の許可を得た会社かも確認しましょう。

 

 

【終わりに】

 この原稿を書きながら物は試しと自分の住まいの家財を
ざっくりと調べてみましたが、予想を大きく上回る物量でした!

 本好きなので書籍の量は覚悟していましたが
出てくる出てくる、書棚の奥に2段で収納していたり
書棚以外の場に保管していたりでなんと2千冊近く!!

 この住まいに引っ越してきた時は千冊未満でしたから
ほぼ12年で倍増していました。

 一人暮らしなのに食器類もほぼ3人分を揃えていましたし
衣服は毎年季節ごとに断捨離をしているにもかかわらず
クローゼットは限界まで収納されてます。

 更に終生の趣味である艦船模型は既に軽く千隻超えです。
壁面一面が収納スペースと化しています!

 まさかと思いましたが、実際はひとりでの片付けは
たぶん難しい、なので10万円台の整理予算を計上せざるを得ない
といういささか情けない結論に至りました。

 皆さんも一度、自宅の家財の総点検をされてみては如何でしょう?
問題は早めに事実確認し、解決策を考えることで
少しでも負担が軽いやり方での生前整理に臨んで下さい。

 最後に、家族と同居している場合であれば
お互いの私物の不可侵領域の範囲は情報共有しておきましょう。

 趣味の世界や子供時代の思い出の品は
夫婦と言えど事前に知らされていなければ無用の長物です。

 出来る限り、隠し事は控えた方が後々の為でもあります。

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この記事の著者

寺田 淳
寺田 淳寺田淳行政書士事務所 代表
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

主に以下のSNSで各種情報を随時発信しています。
フェイスブックページ「50歳からの人生設計相談室」
ブログ「新・先憂後楽」
コラム「マイベストプロ東京」
行政書士の寺田淳がマイベストプロ東京で相談受付中

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