終活の壁~生前整理

はじめに

 50代以上の方が最初に終活を考えた際、
まず思い浮かぶのが「生前整理」だそうです。

 中でも「家じまい」の問題で多くの方が悩むようです。

 終活適齢期?の5,60代のシニア世代に
「終活で思い浮かぶ課題は何でしょうか?」
と言う問いかけに対して、
概ね、以下の7つが主な課題として挙げられました。

1)住まいの整理、片付け
2)生活資金の問題
3)相続の準備全般
4)介護や延命治療の意思
5)葬儀の有無と準備
6)デジタル遺品の始末
7)墓の準備

 この中で6)だけは主に60代以下の世代に該当する
比較的新しく登場してきた終活の課題ですが、
その他の項目は70代以上の世代にとって
まさに今日明日にでも直面する課題と言えます。

 これらの中でも住まいの整理=家じまいについては
当事者だけでなくその子供や孫と言った
相続人も大きく関係してくる課題なのです。

 

 

生前整理は当事者の為と考えて

 一般的に高齢になった両親が暮らす家には
結婚当初からの家財を始め、積み重ねてきた歳月に比例した
思い出の品々が蓄積されているのが普通です。

 子供から見れば意味不明な品や価値の分からない品々に
つい片付けと言う名の廃棄を強要しがちです。

 ですが、特に配偶者を亡くしている場合には
その品々が過ぎし日の夫婦の思い出そのものです。
本人にしか分からない「価値」あるものと言うことは
しっかりと受け止め、理解してあげる必要があります。

 余談ですが、ごく稀に亡き配偶者の遺品整理の最中に
プレゼントした覚えのない品々が出てきてしまい
その時点で原因解明に方向転換してしまい、
全くその後の遺品整理が出来なくなったケースもありました。

 夫婦間の事は子供にも、まして第三者には判りかねるものです。

 そういう事態の防止の意味も含めて、
やはり生前整理の推進は当事者の責任であることは
間違いないことです。

 

 私の知る範囲内での話ですが、
高齢でも心身ともに元気な方ほど
傍から見ると冷や冷やの連続です。

 こういう方はいつでも整理整頓は出来るからと、
なかなか行動に移さない傾向が見受けられます。
確かにやり始めると心身ともに元気ですから
あっという間に進捗するのですが、
そこに達するまでがなかなかの難問です。

 家財整理以上に心配の種があります。

 この手の方は概ね
 室内外のバリアフリーに関心が薄い。
 なぜなら自分はまだ全然大丈夫!
 と言った考えを持ち合わせているのです。

 部屋間の段差もそのまま、
2階への階段に手すりも無し。
玄関先から道路に出るのは階段のままで
スロープの設置は全く眼中になし等。

 さらに電球の取り換えの際には
不安定な椅子の上に立って交換する等、
若い頃の感覚のままで過ごす方が要注意なのです。

 この結果、
予期せぬままに段差で躓き、階段で転倒、落下によって
再起不能な重傷を負うことになるのです。

 言うまでもないことですが、
高齢になればなるほど、足腰のダメージは致命的です。
私自身が膝を痛めた後、3年間はリハビリの日々でした。

 下手をすれば寝たきり、車いすの生活となり
部屋の片付けどころか日常生活で人の手を借りなければ
何一つ満足に出来ない生活を強いられることになるのです。

 そうなってしまえば、
仮に当人に整理の意思があったとしても
実際には全て子供や孫に丸投げとなるのは必至です。

 あくまでも自分の為、
普通の生活を長く続けていく為に必要な
室内の片付けと位置付けと捉えて、
不要な品はその都度処分するのです。

 

 仮に相続や遺言の事を考えているならば、
土地の権利証や金融機関の通帳や実印と言った
貴重品の保管場所や内容の確認を片付けの際に出来ます。

 それによって記憶違いを正したり、
現実の財産内容の確認や保管場所の確認にも繋がります。

 子供の立場から言えば
「万が一の転倒や落下のリスク軽減のために」
前面に押し立てて室内の整理を奨めるやり方が
比較的抵抗なく終活としてスタートに繋がるようです。

 無論の事ですが、
その際には子供たちも協力、立ち会うことは言うまでもないことです。

 補足ですが、
実の子にも見られたくない品が室内に存在している場合、
存命中の生前整理の最中に子に発見・露呈したら?

 自分の死後でも
子や孫に自分のイメージダウンに繋がるような
趣味の品々などを見られたくなければ、

 身に覚えのある場合は、
積極的に自身の手で生前整理を始めるべきではないでしょうか?

 

 

場合によっては専門家の利用を

 先に子供も協力して整理作業に参加をと書きましたが
今や90代の親に60代後半の子と言うケースも珍しくない現在、
身内だけで何十年も蓄積された品々の整理を完遂するのは
下手をすれば共倒れのリスクが生じます。

 そういった場合や、
あまりに膨大な家財が溢れているよな場合は
おカネがかかるのは仕方ないとして、
やはり整理業者の手を借りる事を考えましょう。

 当然費用の問題が発生します。
これはまさにケースバイケース。
部屋の広さや家財の量によって必要な人数、
用意する車の手配等が変わってきます。

 あくまでもごくごく一般的な費用見積もりで、
概ね3~4人の作業員が、終日作業した場合で
凡そ20万円以下が目安のようです。

 もし時間と体力に余裕があるのでしたら、
家人のみで計画的に時間を配分して行えば、
この費用は不要になります。

 逆に時間も体力もないのでしたら
決して安くはない費用発生ではありますが、
専門家に任せた方が効率的に進められます。

 

 ただ専門家に依頼する場合でも
最低限でいいので出来る範囲で事前に家財の内容を把握し、
要不要の見定めは済ませておきたいものです。

 このひと手間の有り無しで
専門家への指示や廃棄の決断がスムースに行え、
結果として作業時間の短縮に繋がるのです。

 

 如何でしたか?
生前整理の第一歩の家財の整理、家じまいの準備には
時間と手間をかけるか、おカネをかけるか?

 貴方はどちらを選びますか?

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この記事の著者

寺田 淳
寺田 淳寺田淳行政書士事務所 代表
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

主に以下のSNSで各種情報を随時発信しています。
フェイスブックページ「50歳からの人生設計相談室」
ブログ「新・先憂後楽」
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