戸籍の広域交付について

【はじめに】

 住民票は住まいを管轄する自治体に請求、
 戸籍証明は本籍地を管轄する自治体に請求。

 転居や人事異動による転出・転入と言った際の住民票と違って
戸籍証明が必要となるケースは一般的には相続関連の手続きの場合です。

 いざその時になってから戸籍証明書を請求しようとした際に
今までは場合によっては遥か彼方にある本籍地が手続きの窓口と知り、
スケジュールが大きく狂わされるケースが少なくありませんでした。

 本籍地は当人の意向で日本のどこへでも移せることを
案外私の周囲では知らなかったケースが多く、父祖の本籍地は
そのまま自分も子も孫も本籍地という認識が多かったと記憶してます。

 運悪く遠隔地が本籍地だったという場合に
今回の新制度はかなり魅力的な使い勝手のいい内容と言えるでしょう。

 この3月からスタートした新制度
「広域交付制度」について簡単に紹介します。

 

 

【ここが便利になりました】

 これまでは戸籍の証明書を請求の際は
本籍地を管轄する自治体だけとされており、
遠隔地に暮らす場合は手続きが面倒でした。

 時間があれば直接窓口に出向いて請求をするか
時間がなければ郵送による請求をするか、
どちらにしても面倒な作業であることは間違いありませんでした。

 これがこの3月からは
最寄りの自治体の当該窓口に出向き
請求することが可能になりました。

 もうひとつは
欲しい戸籍の本籍地が複数にわたる場合でも
1か所の自治体の窓口でまとめて請求することが可能になりました。

 

 

【広域交付制度のポイント】

この制度の主なポイントを簡単に紹介します。

1)コンピューター化されていない一部の戸籍・除籍は対象外です。

2)一部事項証明書や個人事項証明書は請求出来ません。
  ※個人事項証明書は以前の戸籍抄本のことです。
  ※戸籍・除籍の一部事項証明の場合、
   戸籍・除籍に記載されている親族・身分関係のうち、
   証明を必要とする事項(婚姻事項、死亡事項等)のみを証明します。
   これは本籍地自治体でのみの発行となります。

3)郵送や代理人での請求は出来ません。
  あくまでも戸籍証明書を請求出来る方が直接窓口に出向いて
  請求しなくてはいけません。

4)請求出来る方が窓口に出向く際には
  顔写真付きの身分証明書を持参しなくてはいけません。、
  運転免許証やパスポート、マイナンバーカード等
  の提示が必要になります。

 

 一部を捕捉しますと、
「戸籍証明書を請求出来る」人とは具体的には本人及び配偶者に
父母、祖父母の直系尊属、子や孫の直系卑属の戸籍証明書が請求出来る。
なので兄弟姉妹の戸籍証明書に関しては対象外となるので注意が必要です。

 

 顔写真付きの身分証明書は前述したもの以外には、
「官公庁が発行した身分証明書」が対象ということだそうです。

 自動車免許を返納した際の経歴証明書も有効な身分証明書ですが
平成24年4月1日以降に交付されたものという条件付きです。
ここでも「顔写真付き」が必須という点に注意が必要です。
 

 遺憾ながら
私のような行政書士や税理士といった士業の場合、
当該の士業連合会発行の証明書なので、対象外ということでした。

 手続きの二度手間を避けるためも
出向く前に用意した身分証明書を当該窓口に尋ねることで
それが通用するかどうかを確認してから来庁して欲しいです。
というのが問いわせた窓口からのお願いでした。
 
 補足となりますが、遠隔地の戸籍や複数の戸籍を請求する場合、
それなりの時間を要することになる為、閉庁直前に来られた場合
当日中の対応が難しい場合があるので時間に余裕をもって来庁を
お願いしますとも言われました。

 

【終わりに】

 戸籍法の一部改正は
これだけに留まるものではありません。

 戸籍謄本等の広域交付に続いて、

戸籍届け出時における戸籍証明書の添付負担の軽減
マイナンバー制度の活用による戸籍証明書等の添付省略
戸籍電子証明書の活用による戸籍証明書等の添付省略

といった手続きの簡素化、簡略化が予定されているようです。

 具体的な開始時期等は未定ですが、
随時法務省のHP等で情報が発信されるとのことですので
その都度、必要に応じてまた紹介していきたいと思います。

 

 参考までに法務省のHPを以下にリンクしましたので
詳細についてはこちらからご覧下さい。

戸籍 広域交付

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この記事の著者

寺田 淳
寺田 淳寺田淳行政書士事務所 代表
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

主に以下のSNSで各種情報を随時発信しています。
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