第二の人生を迎える際の注意点とは?

【はじめに】

 これまでも語ってきたことですが、
退職をきっかけに第二の人生は今までと違う形で
と考える方は少なくありません。

 郷里へのUターン絡みでの親との同居、
悠々自適な田舎暮らしへの転換、
趣味を仕事にしたゆとりある生活・・・

 考え自体は良いと思うのですが、
いざ現実に実行してみると、意外な状況に遭遇もします。

 今日は親との同居、田舎暮らし、趣味を仕事に
第二の人生を迎える際に考えがちなこの3つについて
いろいろと紹介したいと思います。

 

 

【安易に決めない親との同居?】

 まずは高齢の親との同居についてです。

 高齢の親がひとり暮らしになったので、
あるいは長年郷里で暮らしてきた老親を自宅に引き取った、
又は自身の定年を迎えて郷里に帰って親との同居を始める。

 同世代のシニアとの会話の中でよく出てくる話です。

 老親の孤独死や死後放置を防ぐ意味では
親との同居はいいことではあります。

 

 ですが子も50代、60代ともなれば
もはや修正不可能な自分たちの生活パターンやリズムがあるはずです。
当然、親の側にも今までの暮らしの中で修得しているリズムがあります。

 この異なる生活リズムで一つ屋根の下で暮らすとなれば
間違いなくどこかで衝突が生じるのは避けられません。

 実際、私の場合ですが、
高校大学と寮生活で親元を離れ、
年に2回の長期休暇の際に帰省する生活でした。

 お互いが積もる話で盛り上がったのはせいぜい3日で
その後はどうにも居心地が悪くなり、会話ネタも尽きました!

 僅か1か月前後の(久々の)同居でもこれでした。

 若いうちでこれですから
今や60代半ばの子供と90代の親が
何の準備もないままに同居すればどうなるか?

 さらにはこの場合、
学生時代の帰省期間のような1ヶ月限定といった
期限ありの同居ではないのです。

 おひとり様であれば、対処法は自分自身だけの問題です。
ですが家族がいる場合、配偶者や子供(孫)との関係も
無視出来ないものであることは言うまでもありません。

 安易に部屋に余裕があるからとか
そろそろ親孝行をと言った気持ち先行で
深く健闘もしないまま同居に踏み切った場合、
円満な親子関係を長く保ったまま暮らせるかどうか?

 却ってお互いが自分の自由意思で行動をとれる
別居のままの生活の利点についても検討すべきです。

 同居でなくても常にコミュニケーションが取れていれば
お互いが疎外感を感じることもありません、
心身が健常なうちはまずはコミュニケーションの方法を決めて、
継続することを検討してもいいのではと私は思います。

 同居してもお互いが遠慮して孤絶している、
最後は家庭内孤立からの再別居となってしまっては
何のための同居だったのかということになります。

 

 

【田舎暮らしの問題は?】

 豊かな自然、広い家、晴耕雨読で悠々自適な第二の人生は
退職後の田舎暮らしで実現したい。

 大きな勘違いしていませんか?

 現在、都市近郊に暮らし、
充実のインフラを当たり前のように享受している場合、
確実にそのレベルがダウンすることに耐えられる自信はありますか?

 交通機関も段違いに不便になる。
 クルマなしでは暮らせない生活で
 身体に何かあれば孤立は必至。

 物価に関しては競争や競合が都心に比べれば
ないに等しく、却って独占市場で高値安定の傾向があります。

 仕事で都心や近郊に毎日出向く夫はいいとして
知り合いもなく終日家にいる、田舎に留まる妻はどうでしょうか?

 シニアになって改めて白紙の状態から友人を作る、
これは言うは易しでなかなか難しいことなのです。

 意欲をなくせば引き籠りになるリスクも発生します。

 特に夫婦のうちどちらかだけが田舎暮らしを希望し
半ば強引に実行に移したような場合、
ほぼ確実に、ごく短期間で家庭不和の要因になるでしょう。

 最低限まずは夫婦、家族間では一致した見解を有した後に
慎重に行動に移すべきなのです。

 出来るならば1か月程度のプチ田舎暮らし体験をして
実際に自分たちがその暮らしに適応可能かどうかを
実証してからでもいいと思います。

 先に紹介した親との同居でも言えることですが、
いきなりする、しないを確定するのではなく、
お試し期間、といった緩衝地帯を設けてから
最終的な結論を出すようにしたいものです。

 

 

【趣味を仕事に?】

 言葉だけを見れば
好きな事、得意なことで飯が食えるなら
こんなにありがたいことはない、と思います。

 ですがはっきりさせておきたいことは
趣味は「おカネをかけて楽しむ」もので
仕事は「おカネを稼ぐ」ものという決定的な違いです。

 仮に趣味が仕事になれば
稼げはしても純粋な楽しみは得られなくなります。

 趣味だったインスタが好評だったことから
インスタグラマーとして仕事にした結果、
自分がやりたいことからウケることを最優先=おカネになるもの最優先
という変貌を遂げ、好きだったインスタから距離を置き始め、
最後は仕事としてのインスタは止めたという事例がありました。

 同様にSLの写真撮影が趣味だったことから
ネット上で画像販売を始めたケースでも同様でした。
最後は撮影自体が重荷になってしまい、趣味としても仕事としても
やる気をなくしてしまったケースも知っています。

 趣味の世界だったから
時間は自由に使えて自由な発想で内外へ発信することが出来ます。
これを定期的に一定レベルの成果が必須となる仕事となれば
発想はすぐに枯渇し、締め切りに追われる日々に苦しむかもしれません。

 とはいえ、今度は趣味に関してですが、
趣味は趣味のままでもリスクが生じます。

 よく言われるのが「形から入る」タイプで
ゴルフや釣り道具など、いきなりプロ仕様の高額品を収集するタイプです。

 一部にはグッズを集めることが趣味になってしまい、
貯えを浪費するようになる最悪のケースもあります。

 更に道具は一流でも
腕が2流以下ではやがて熱意も醒めます。
そうなればあっという間に道具類は押入れの置物と化します。

 変な収集癖に奔ってしまうような趣味は早めに避けるのが賢明です。

 

 

【終わりに】

 第二の人生を迎える際に直面する問題や課題は
ここで採り上げたものだけではありません。

 肝心の第二の仕事探し、マネープラン、終の棲み処といった
より重要な課題が山積です。

 安易な考えから決定した挙句、途中で大幅な修正を強いられれば
その他の課題を考える時間や労力にも悪影響を与えてしまいます。

 

 貴方の考える第二の人生の中で
ここで紹介したような場面に遭遇した場合の対処法、
もう考えていらっしゃいますか?

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この記事の著者

寺田 淳
寺田 淳寺田淳行政書士事務所 代表
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

主に以下のSNSで各種情報を随時発信しています。
フェイスブックページ「50歳からの人生設計相談室」
ブログ「新・先憂後楽」
コラム「マイベストプロ東京」
行政書士の寺田淳がマイベストプロ東京で相談受付中

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