はじめに
猛烈な暑さの中、
それでも初志貫徹?で4年ぶりの帰郷を果たし、
コロナ禍で出来なかった墓参を行ったという方、
少なくなかったようです。
さて、今日のブログでは
お盆も終わり、通常の日々に戻りつつある中、
お墓の最新事情について紹介したいと思います。
メタバース
今話題になっているのがこれです。
メタバースに霊園を設置、パソコン画面を介して墓参します。
参列者はチャットを使用で会話も可能となります。
さらに画面操作によって「献花」も可能に。
墓参以外にもメタバースの中にセレモニー会場を作成し、
いわゆるお別れの会の開催も可能だそうです。
いくら何でもこれはやりすぎ、敬意が感じられない。
こういった声があるのは確かですが、反面、
海外赴任中、または遠隔地に居住する親族にとって
これを利用すれば、墓参の参列や、親族との会話も可能。
仮に病気や事故等で入院中のような場合でも
皆と共に参列が可能になります。
さらに、自宅の居間からの参列ですから
天候を気にすることもなく、移動時間も無くなります。
リモートワーク時のように、
(極端な話ですが)上半身だけ喪服でも
問題なく参列することも、可能にはなります。
これが従来のような実際の墓参の場合には、
線香や献花、又は供物等を用意して持参しますし、
場合によっては管理者である住職への挨拶やお布施も用意します。
当然それなりの服装での参列は必須です。
事の善悪は別にして、
こういった慣習がメタバースの世界では無用になります。
現在のデジタル事情
コロナ禍での苦肉の策として?
実施され始めたのが法事の模様をデジタル配信が始まりました。
事前に寺や納骨堂のHPからアクセスをして
開始時間になれば現地からの動画配信が始まります。
現に私の菩提寺も3年前からこの方式を開始しています。
檀家は自宅のパソコンで法事に参加することになります。
お布施は事前にネットバンキングからの送金で済ませる等、
全て自宅に居ながらにして手続きが出来るようになりました。
概ね1時間前後の読経の間も、
自宅参列ですからトイレにも自由、電話にも出ることが出来ます。
当事者が後ろめたくなければ、非常に参加しやすい法事でした。
※今年は4年ぶりに実際の法事が再開されました。
久しぶりの参列でしたが、正直参列者が密集した会場、
1時間強の着座等、かなりの苦痛でした。
話は変わりますが、
最新の都市型霊園等では実際の納骨堂でも
カード式の墓参が出来るタイプがあります。
ホテルのロビーと見まごうようなフロアに設置された、
これまた銀行のATMコーナーのような個別に区切られたコーナーで
カードキーの操作で骨箱がコーナーに設けられた仏壇の前まで搬送されます。
同時に大型ディスプレイに献花や線香が映し出されて
タッチパネルの操作で画面内の線香に火が灯るのです。
自動的に読経も流れる等、全てのセレモニーがバーチャル墓参として
執り行われるのです。
唯一現実での行動は納骨堂迄出向くことだけ。
それ以外はほぼバーチャルの世界での墓参と言えるでしょう。
ここも当然ながら屋内型の施設ですから、
来てしまえば雨天や荒天でもストレスなく墓参は可能です。
この手の都市型霊園は
文字通り鉄道の最寄り駅から徒歩圏内にあり、
周辺にはグルメや買い物に適した施設が隣接しています。
墓参以外に出向くだけの魅力を兼ね備えているのが特色です。
郷里にある従来の墓地や霊園の場合、
クルマで出向かざるを得ないような場所にあり、
当然周辺には何もない場合が多いようです。
現状において都市型霊園への関心は
高まる一方という話も関係者からよく聞きます。
とはいえ、親族の高齢化が進めば
この程度の移動でもかなりの負荷となることは否めないでしょう。
残る問題は?
一見すると、
いいことづくめの都市型霊園、
バーチャルな墓参という方式です。
但し、なお問題が残ります。
「実際の遺骨」をどう扱うか?
メタバース内で納骨をしても
実際の遺骨はどこかに保管しなくてはいけません。
自宅安置で済ませるのが最も簡単な方法ですが、
住宅事情等の問題で誰もが出来るというものでもないようです。
一般墓や納骨堂、樹木葬といった選択をしない場合、
先に述べた自宅安置や0葬という選択肢もあります。
ただ既に現在墓や納骨堂に安置されている遺骨を
自宅安置にすることは法律上出来ません。
墓じまいする場合も
改葬が前提となるケースが殆どとなります。
父母や祖父母だけならまだしも、
代々の遺骨がある場合等は墓じまいも容易ではありません。
特に現在の祭祀承継者がおひとり様の場合、
自分の次の代がいなくなることは「未承継墓」になる可能性が大です。
今は問題でないことでも
将来を考えると大きな問題を残すケースも出てきます。
特に、祭祀承継者(後継者)に問題がある場合は
墓じまいまでを視野に入れた取り扱いを考えなくてはいけません。
おわりに
少子高齢化、核家族化が止まらない現況から見ても
前項で取り上げた遺骨の問題が残るものの、
お墓事情のデジタル化は今後も拡大することは避けられないでしょう。
さらに言えば、
何十年か先には個々の墓、終の棲家という概念も希薄になり
樹木葬や海洋散骨、さらには遺骨を持ち帰らない0葬が
当たり前となるかもしれません。
そうなると、
先の遺骨の(安置)問題も「自然解消」するとも言えるでしょう。
それが時代の流れと一言で片づけていいモノかどうか?
日本人の死生観、宗教観も大きな曲がり角に直面したのではと思う次第です。
この記事の著者
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東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。
主に以下のSNSで各種情報を随時発信しています。
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