空き家に潜むうっかりリスク 

【はじめに】

 今、空き家の実家を抱えている貴方、
月に何回ほど、あるいは年に何回ほど
空き家の実家に足を運んでいるでしょうか?

 空き家になった家屋をそのまま放置し続けると
瓦が飛んで隣家や通行人に被害を与えたとか
庭木が隣家に侵入、または住民の生活道路にまで
枝が侵入し通行の妨げになっているとか、
ゴミの不法投棄の場に化していたとか
不法侵入されて勝手に居住されていたなど、
いろいろな不具合の話題はよく週刊誌などに
採り上げられています。

 この様な明らかに外から見て分かる様な空き家リスクの他に
幸か不幸か、家の所有者のみに生じる意外なリスクがあるのです。

 今日はこの意外なリスクについて紹介したいと思います。

 

 

【電気の問題】

 実にくだらない、
そんなミス、自分は絶対にしないと言われるかもしれません。

 ですが案外多いのが、室内外の照明の消し忘れです。

 私が聞いた中では
約半年前からトイレの電気が点けっぱなしだった!
という事例がありました。

 地方にある実家、親が死去してから空き家となり
夏休みに現状確認と墓参で訪れる程度だった方の経験談です。

 今回はたまたま正月休みにコロナ明けということもあり
早めに実家を訪れたところ、一階のトイレの照明が点いたままでした!
 前年夏に家を出る際に、昼間だったこともあって
点灯したままだったことに気付かずに退室したのでしょう。

 一戸建てで雨戸のある家だったことで外部からも確認が出来ず、
ほぼ半年間無駄な費用が垂れ流されていたのです。

 金額は教えてもらえませんでしたが、かなりの額だったことは
言うまでもないことでしょう。

 他にも電気ポットでお湯を沸かしお茶を一服後、
保温状態のままの電気ポットの電源を抜き忘れ
大慌てで帰宅途中からUターンして事なきを得た例もありました。

 配線の劣化による漏電も大きなリスクですが、
当事者のついうっかりでリスクを生じさせることは
絶対に避けたい事ですね。

 照明の場合、夜に訪問や退去する場合は
案外しっかりチェックをしてから退室出来ます。
要注意なのは、昼間に入室の場合です。

 先のトイレなどは半ば習慣で電気を点けますが
出る際には外も明るいことから確認が疎かになりがちです。

 夏場のエアコンや扇風機、
 冬場の電気ヒーターや電気敷きマットなどは
トイレの電気消し忘れ以上のリスク要因となります。

 退室時には必ず各部屋の状況確認を忘れない様
マニュアル化して家族全員が意識を共有したいものです。
 

 

【水道の問題】

 電気と並んでうっかりしがちなのが水道です。
こちらの場合では私の知る範囲の話ですが、
なんと僅か1か月間で14万円の請求金額となったケースがありました!

 空き家ですから通常はほぼ使用料はゼロで推移しています。
基本料金のみのはずがなぜこんなことに?
原因は、送水管からの漏水だったそうです。

 室内のトイレや風呂場、または台所の蛇口からの
閉め忘れやパッキンの劣化による漏れ程度では
この様な水量が漏れることはあり得ないということで
立ち会った水道局の話では元栓から屋内に繋がる地下の送水管が
経年劣化なのか何らかの衝撃(近年この地域では地震が頻発していました)
などの理由で損傷し、大量の漏水が始まったようです。

 空き家とはいえ数か月に一度程度は訪問していることで
水道の元栓は開放状態のままにしていた為に、24時間30日間、
水が地下に「放水」され続けたとしか思えないとのことでした。

 驚愕の金額でしたが、住人の過失ではないということや
目視で確認出来ない箇所だったこと?(これは当人の説明でした)
から請求額は大幅な情状酌量が認められ、通常の夏季の最大使用量に
置き換えてくれたとのことでした。

 仮に住人の過失で風呂場やトイレでの流水や
台所の蛇口の緩みからの漏水であっても
空き家の状態で半年間放置されていたら?
決してバカに出来ない金額の検針票が届くことになり
先に書いたように過失が原因であれば住人の責任で
請求全額を支払うことになるのです。

 今回は検針票に水道局の担当部署の連絡先が書かれた
「至急連絡を」といった警告文が付記されていたそうですが
空き家の場合、これ以上の連絡方法はないとのことでした。

 1ヶ月の漏水の時点で自宅を訪問したことは
まだ不幸中の何とやらと言えるでしょう。

 また、今回のケースでは
事前に空き家になったこと=水道使用量が激減する事
を水道局に伝えていたことも幸いしたようです。

 半年に一度など、間を置いた訪問時にトイレを使用したり
水道を使用した場合、うっかり閉め方が緩かったり、閉め忘れたまま
退室してしまったら? 目も当てられない結果になるのは
お分かりいただけたと思います。

 ただ、難しいのが今後の対応です。
今回のように地下の水道管の破損の場合、
破損個所の調査だけでもほぼ修理作業実施した場合と
あまり変わらない金額が発生するそうです。

 今後も空き家として保有するだけでしたら
高額修理が必要なのか?(少なくとも10万円単位にはなるそうです)

 年に数回程度の訪問時だけ使用するのであれば
暫定処置として訪問時に元栓を開けて
退去時には確実に元栓を占めて戻る、
これが徹底出来れば、費用面の問題は発生しません。

 室内外の蛇口を全て締め切った状態で
元栓にあるメーターを確認していれば
漏水があるだけでもメーターは回転するそうです。

 元栓が閉まった状態で
メーターを確認して動いていなければ
元栓から室内向けの送水管の間の破損ということが
自然に判明します。

 一般家庭でも1ヶ月で14万円という大ダメージに繋がる
水道(漏水)に関しては電気以上に注意を払わなければいけませんね。

 

 

【終わりに】

 上記以外でも被害は軽いものでも
思わぬトラブルを招くものはあります。

 例えばガスを早々に契約したせいで
冬場に風呂を沸かせなかった!

 予定外に時間がかかり一泊することになったものの
ガスを止めていたので調理が出来ず、田舎だったことで
24時間営業のコンビニもファミレスもなく
空腹のまま長い夜を過ごす羽目になった など等、

 電気、ガス、水道といった生活の基礎は
空き家と言えども、いや空き家だからこそ
どう扱うかと慎重に考える必要があります。

 この他でも固定電話の解約が早過ぎて
銀行やその他の相手からの連絡を受けられず
連絡先の変更連絡をわざわざこちらから
しなくてはいけない羽目に陥った・・・

 笑い話で済む範囲から 顔面蒼白になる事態まで

 たまの空き家となった実家訪問、
凡ミスによる悲喜劇は避けたいものです。

この記事の著者

寺田 淳
寺田 淳寺田淳行政書士事務所 代表
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

主に以下のSNSで各種情報を随時発信しています。
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ブログ「新・先憂後楽」
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