【はじめに】
高齢になった親がついに病床に伏してしまった!
転倒事故がもとで長期入院を余儀なくされた!
60代シニアにとって80代以上になった老親には
いつ何が起こっても不思議ではないという心配が
つきものです。
まだ判断力があるならばいいのですが、
事故や病気で意思の疎通が難しくなると
その後の行動に大きな阻害要因となります。
事例では高齢の親としていますが
60代の我々にも十分当てはまる問題でもあります。
他人事と思わずにわが身を振り返ってみては如何でしょうか?
【タンス預金のいろいろ】
まずは、おカネにまつわる課題です。
へそくりの類や、高価な貴金属類等、
タンス預金と言われる財産の保管場所についてです。
当人が貸金庫を契約している場合や
自宅に金庫を所有していれば別ですが
それ以外の場合、特に自宅の中では
以下のような場所が「隠し場所」として選ばれてます。
・自室の書斎の机の引き出し、書棚などの引き出しの中
・そのものズバリ、和洋のタンスの引き出しの中
・本棚の裏や愛読書に挟んで保管
概ねこの3か所が現金等の隠し場所のトップ3だそうです。
現金以外では預貯金通帳やキャッシュカード、クレジットカード、
銀行口座名やパスワードを記録した用紙等も保管されることがあり
場合によっては現金以上に重要なアイテムが隠されています。
この他の事例としては
現役時代に愛用していたカバン、
逆に全く使わなくなった古カバンやキャリーバッグ等
さらに少数派では
キッチンの戸棚の奥、神棚の裏、
自家用車のトランクやドアポケット、サンバイザーの裏等
下手をすると本人も忘れてしまいそうな場所もありました。
蛇足ですが
冷蔵庫の中や自分の枕の中といった
やや認知症を疑われるような場所を選んでいたケースもあるようです。
これらの情報に関しては
やはり親子が心身ともに健全なうちに確認を取り合う事、
親より先に子が逝くことも珍しくありません。
同居でも別居でも、
お互いが情報を共有することで「その時」が来た後の
行動に大きく寄与することは言うまでもないことです。
【申請すれば戻ってくるおカネ】
ここから先は「その時」を迎えた後に発生する案件について
簡単にまとめてみました。
やはりおカネに関係する案件が中心となっています。
まず請求期限等の制約があるものです。
1)2年以内に行う事
・高額療養費
高額療養費制度対象者が死亡の場合、
相続人や受遺者であれば医療費の自己負担限度額超過分を
受け取ることが出来ます。
・高額介護サービス費
要介護・要支援認定を受けていた故人が
介護サービスを利用し、サービス事業者に支払った1か月分の
自己負担額が上限を超えていた場合に超過分が相続人に払い戻しされる
~一般的には4万4千円前後のようです~
・介護保険料
保険料を過大に納めていた場合には
超過分が相続人に還付されます。
但し、逆の場合は相続人が不足分を支払います。
・埋葬料
社会保険の被保険者、被扶養者が死亡の場合
埋葬を行った者に対して5万円が支給されます。
加入している健保によっては
これとは別に賦課金が給付される場合があります。
・葬祭費
国民健康保険や後期高齢者医療制度の被保険者が死亡の場合
葬儀を行った者に対して最大7万円が支給されます。
実際の金額は自治体によって異なるので注意が必要です。
2)3年以内に行う事
・死亡保険金
ここらは加入している保険会社での手続きになります。
保険の契約者、又は受取人が請求できるものなので
まずは加入の有無の確認と受取人の把握が必要です。
これらについても事前に知識として知っておくことで
時系列に今後行うべき手続きの優先順位を明確に出来ますし
60代の子供世代でも40代の息子・娘家族に伝えておいて
損はない情報とも言えます。
【手続きをしないと罰せられる公的手続き】
一応念のために記載しておきます。
この項目も事前にしっかり把握しておきませんと
雑事に振り回されるうちについうっかりということが
少なくないので、改めて認識をしておくものです。
・死亡診断書の受取
・死亡届の提出
・火葬・埋葬許可申請書の提出
※ここまでは民間の葬儀社のサービスで
親族に代わって手続きをしてくれる場合があります。
詳細は各葬儀社に確認をお願いします。
・世帯主変更届の提出
・健康保険の資格喪失手続き
・年金受給停止の手続き
・故人の準確定申告
・相続税の申告と納付
・不動産登記手続き
※この項目は全ての方に当てはまるものではありません。
これらにもそれぞれ提出や手続きに期限が設けられています。
相続人が複数いるのであれば話し合いで役割分担をして
手続きを進めるのもいいでしょう。
全てが同じ期限でもないので、優先順位をよく理解して
要領よく手続きを進めて下さい。
【やらないと損をする手続き(私的なもの)】
最後は私的な手続きに関するものです。
・加入している生命保険の請求
・故人名義の預貯金の解約
・公共料金の名義変更や解約手続き
・故人の通販、定期購入などの解約
・年金の死亡一時金請求
・埋葬料・葬祭費の請求
・未支給年金の請求
・高額医療費の払い戻し
ここに紹介した項目こそ
生前に情報を共有しておくべきものですね、
先にも書きましたが、我々60代世代も
早いうちに40代の子供家族に伝えておくべきものです。
【終活を始めるべき危険な兆候】
以上紹介してきた項目ですが、
早ければそれに越したことはありません、
各家庭の事情もありますからタイミングは
基本、当事者同士が判断すればいいことですが、
以下のような状況が老親の家庭に見受けられてきたら
早々に対応をすべきことになります。
1)室内外の片付けや清掃が雑になってきた
気付いていない様なら認知症の兆候を疑うべきです。
単に足腰の衰えから億劫になったのであれば
早急に終活の一環としての対処法の検討を!
2)郵便物の管理が出来ていない
卓上に封を切っていないものが放置されている。
中には未払いの請求書も混じっている。
期限切れの請求書がそのままになっている。
3)冷蔵庫の中身に異常あり
期限切れの食材が多数保存されている。
同じ食材やおかずが複数保存されている。
偏った食材しかない、そもそも食材がない。
異様なものが庫内にある(財布、ハンコ、クスリ類等)
4)おカネの管理
複数の新聞を取っているのに読んだ形跡がない。
無駄な定期購入の品がある。
怪しい勧誘のチラシ、名刺がある。
無造作に現金が置きっぱなしになっている。
5)身だしなみ
着た切り雀になった。
髭や髪の手入れ、爪、入浴、に関心が薄くなった。
6)服薬や通院に問題
飲み残しの薬が常にある。
飲まずに捨てている。
常用のはずの薬を病院に貰いに行ってない。
予約した日に通院しない。
上記のケースでも
たまたまそういう時があったというケースもあります、
単純にど忘れしていたという場合もないとは言いません。
ですがそれなりの高齢になっていれば
やはり認知症や判断力の衰えが疑われて当然です。
繰り返しになりますが、
お互いに会話が成り立つうちにさせること、
結局は当人の為でもあり相続人となる家族の為でもあるのです。
【終わりに】
数年前までは想像も出来なかったような連日の炎暑、
若い世代でも日中の外出を控えるほどの中、
ひとり暮らしであれば高齢者といえど生きる為に外出せざるを得ません。
ある意味、日頃健康自慢の高齢者ほど
自身の健康を過信しがちです。
私の相談者の中でも親族が熱中症で搬送された後に
見舞いに行った帰りに相談者迄熱中症で倒れ
見舞いに行った病院に搬送された事例があります。
実は、この方はまだ50代の「若者」でした。
今の時代は何時何が自分の身に起こってもおかしくない時代です。
さらには男女や年齢を問わずリスクは「公平」に降りかかるのです!
ここに紹介した案件だけでも事前に知識を持ち、
対処法についての備えが出来ていれば、かなり対応に余裕が持てるはずです。
この記事の著者
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東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。
主に以下のSNSで各種情報を随時発信しています。
■フェイスブックページ「50歳からの人生設計相談室」
■ブログ「新・先憂後楽」
■コラム「マイベストプロ東京」
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