迅速な不動産会社の「営業力?」

【はじめに】

 今回は私の体験からの紹介となります。

 年明け早々に相続手続きの相談を受けたから連絡がありました。
無事に争族を生じることなく全ての手続きを終了出来た御礼と共に
「不動産屋さん迄手配して頂きありがとうございます」という
まったく私には身に覚えのない話のお礼まで述べられたのです?

 

【不動産業者からの連絡とは?】

 兄弟3人での遺産相続で相談者は実家を相続しましたが
そこに暮らす気は毛頭なく(実家は東北某所)長男の責務として
引き受けたものの、早々に売却する予定だったそうです。

 そうしたところに地元の不動産業者から「実家売却の折には」
といった内容の手紙を受け取ったのでした。

 更に立て続けに3社もの業者から同様の内容の手書きが届いたのです。
無論、新たな名義人となった都内在住の相談者の家にです。

 詳しく話を伺うに、
名義変更を済ませてたった2か月後に第一便が届き、
その後1か月以内につごう3社から届いたということでした。

「名義変更された不動産を売却の際にはぜひ当社にご連絡を」
「売却時には当社が必ず最高額で購入させて頂きます。」
「今月中であればさらに買い取り強化月間なので特別価格で、」
「この地域での物件購入はあと2件で打ち止めですのでお早めの決断を」
「地元一筋〇〇年の信用と実績の〇〇社へ!」

 など等、積極的なアピール合戦だったようです。

 実はこの相談者、前述したように
今後(空き家になった実家は)使う予定は全くないので
涼しくなった秋以降に売却の前提で不動産会社の情報を収集しよう
と思っていたのでした。

 そこに実にタイミングよくこういったアプローチが続いたことで
私が気を使って業者に連絡をしてくれたものに違いないと解釈、
御礼の連絡となったということでした。

 正真正銘その地とは今まで何の縁もゆかりもなく、
ましてや業務上の知り合いは皆無ですから最初は戸惑いを隠せませんでした。

 誤解を解いた後に事情を伺ったところ、
先にあったように名義変更後僅か2か月以内に最初の連絡があったことと
文面には法務局で登記情報を確認したうえでの連絡と書かれてあったそうです。

 そこで改めて相談者から尋ねられたのは
~たった2ヶ月で情報を把握出来るものなんですか?
~個人情報なのになんで商売に利用する方が閲覧できたのですか?
~全国展開の業者からも連絡が来ましたが情報漏洩の可能性は?

といった新たな心配事の発生に不安になられたのです。

 

【登記簿謄本の閲覧】

 登記簿謄本はご存じの方も多いと思いますが、誰でも閲覧が可能です。
詳細は省きますが、親族でも友人知人でもさらに不動産会社でも
正規の手続きを済ませれば謄本は閲覧が出来るのです。

 では、なんで名義変更があった物件を知ることが出来たのか?

 話が横道にそれますが、
銀行関係者の話でこういう話を聞いたことがあります。 

 行員の通勤経路にある家に「喪中」の掲示があった場合、
即その住人が自行に口座を開いていないかの確認をするそうで
結果として亡くなった方名義の口座があった場合には即時凍結、
というのが原則だったそうです。

 家族からの連絡の有無にかかわらず、手配をするそうです。

 直接遭遇しなくても銀行のロビーでの取引客同士の会話から
亡くなった方の自宅を確認することもあったそうです。

 令和の今もこういった活動をしているのかは
明言を避けられてしまいましたが案外アナログな方法で
口座凍結の手続きを図っていたのは事実でした。

 ということは、不動産の場合も同様に
長く雨戸が閉まったままの家や周囲の住民の話から
長期入院や施設への転居と言った情報を得て
物件の登記情報を閲覧して名義変更の事実があれば
即売却の際の営業を実行したのではと?

 実際相談者の父親はひとり暮らしの中、
事故に遭って入院、そのまま施設へ転居したことで
1年近く空き家状態で雨戸は締め切ったままで
隣家にはその旨を伝えていたそうです。

 ですが地元密着の中小不動産業者ならともかく
全国区のメジャーな業社迄情報を入手した理由が
分かりません。

 東北の地方都市の小さな街中の一軒家、
ピンポイントで名義変更の事実を把握したのは
どういうからくりがあるのでしょうか?

 

【さらに便利な閲覧機能】

 これもちゃんと理由がありました。
管轄地の法務局では定期的に名義変更のあった物件の
一覧が作成され、これも自由に閲覧が可能になっています。

 業者にとっては実に便利で有効なサービス、
といえるでしょうね、ここにくるだけで情報が網羅されている訳で
地番を確認し現地に向かうことも容易です。
地元の不動産業者であれば日課としても問題ないでしょう。

 さらに地番表記が分かれば所定の手続きをとることで
他県の不動産業者でも情報を入手できるそうで、
全国区の業社からの連絡も難しいことではなかったのです。

 よく考えれば全国区であれば各地に支店や営業所も
設置しているはずですからエリアによっては地元業者と同様の
地域の情報入手は十分可能と言うことになります。

 いずれにしても常時この手の情報入手に目を光らせている訳で
この業界でも営業力の見せ所といった競争が存在していたのです。

 それにしても、連絡を取るまでが僅か2か月以内ということは
新たな名義人の確認、実際の物件の調査、購入に値するかの判断、
と言ったプロセスを考えれば今回のケースは名義変更直後に
タイミングよく情報を把握したということでしょうか?

 今後も似たような案件に遭遇した場合は
この手の連絡は名義変更後どのくらいで届いたかを
聞き出してみたいものです。

 

【終わりに】

 今回は思い違いからのアクシデントに端を発した話でしたが
たまたま相談者は早期売却の意思を持っており、
不動産業者との連絡を取ろうとしていたタイミングだったことから
結果的には何の問題も無く笑い話で済みました。

 ですが、受け止め方によっては
「個人情報を断りもなく不動産業者に売った?!」
と捉えることも出来てしまうのです。

 後になってこの可能性を考えて冷や汗をかきました。

 改めて顧客情報の堅守徹底を頭に刻み付けた次第です。

この記事の著者

寺田 淳
寺田 淳寺田淳行政書士事務所 代表
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

主に以下のSNSで各種情報を随時発信しています。
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