おひとり様とおひとり様

【はじめに】2通りのおひとり様とは?

 おひとり様にも違いがある。
以前からこのブログや他のコラムでも書いてきましたが
ひとり暮らしをしていてもその内容が天地ほどの差があるケース、
少なくはないのです。

 「お一人様」と「お人・離さま」という大きな差があるのです。

 

孤独でも孤立・孤絶していないおひとり様

 さて、このブログでは
特にシニアのおひとり様をテーマにした終活を取り扱っています。

 おひとり様と一言で表すと、
「おひとり様イコールひとり暮らし」
「イコール孤独で孤立」

 といったイメージが浮かびやすいようです。
ですが、おひとり様は全員がそうとは言い切れないのです。

 この場で何度も紹介してきましたが、
自宅ではひとり暮らしで、仮に個人事業者で職場でもひとりであっても
平日は仕事上の仲間がいたり、休日は同じ趣味の仲間と集ったり
いろいろな繋がりや付き合いを持っているならば
おひとり様であることに何の問題もないと思います。

 私のような「まだおひとり様」は比較的こういった生活サイクルを
若いうちから体得しており苦にはならないようですし、
「またおひとり様」になったケースでもそれまでの生活サイクルで
社会的な接点を強く幅広く保っているケースも同様に問題はないようです。

 考えようによっては、昼間は多くの仲間と語らい、集う。
ひとり暮らしの家に帰ってからは自分の時間としてメリハリをつける。

 これは日常生活に刺激を与え続ける事にもなるので
物事に対する関心や好奇心、探求心を刺激しますし、
社会に出るという点で「おしゃれ・身だしなみ」にも
ある程度気を遣うようになります。

 まして、集う仲間の中に異性がいたとなれば、
よりこの点に神経を使うことにもなるでしょう。

 わたしに多数いる悪友の中の一人の戯言ですが
「旧友との語らいでいい気分で帰宅しても
仏頂面の奥さんとの会話に苦労してしまう、お前が羨ましい。」

 私から見れば既婚者あるあるですが、健康面の不安要素を除けば
気楽で前向きな人生を謳歌していることは否定しません。

 

 

孤絶した「お・人・離・さま」は要注意!

 そこで気になるのは、
同じおひとりでも「人・離」
人から離れての生活をする「おひとり」様です。

 人、イコール社会とも言えます。
社会との接点を持たず、持てず、その結果他人への関心を失い、
物事への関心や執着も次第に希薄になっていき、
最後はセルフネグレクトに行き着いてしまう…

 悲惨な第二の人生を迎えてしまう予備軍と言えるでしょう。

 確かに定年直後や退職直後であれば、
多くの同年代の元同僚や先輩も健在です。

 その中での付き合いが続いているならばいいのですが、
会社を離れた直後から社会との接点を持てなくなるような
会社人間や、社内でも人間関係がうまくいかないままに
退職した様な場合は即「人離れ」に直面します。

 また、同年代には多くの友人がいるというケースでも
その後10年、15年、20年と経過するうちにその数は
確実に減少していきます。 

 気が付けば古き友人が
ある日を境についに最寄りにいなくなっていた。
 
 仮にそうなった場合、
それが70代80代などの高齢だった場合、
人間関係が途絶えることは、即「人・離」になりがちです。

 今は同世代や年上の友人に囲まれている貴方には、
年下の友人や仲間はいますでしょうか?

 趣味の集まりでも、セミナーの仲間でもいいですし、
会社時代の新入社員だった後輩でもいいでしょう。

 出来ればひと回りくらい年下の友人を持つことをお薦めします。
今更会社時代の後輩に接点をもたなくてはいけない?
というならば、やはり社外でのサークルや地域の集まり等との
繋がりを持つために自らより積極的な行動を起こさなければいけません。

 さらに言えば、
齢70や80になってからの行動では、無理があります。
まだ現役時代のうちからこういった関係作りを始めておかなければ
正直な話、間に合いません!

 50代になった貴方、定年退職した直後の貴方、
会社内に、社外に、年下で忌憚なくやりとりが出来るような人脈は
お持ちでしょうか? または持つ自信がありますか?

 ここもまた「先憂後楽」です。
今のうちから自分から進んで行動を起こすことで
ある意味前述した気ままな「おひとり様暮らし」への軌道に
乗ることが可能になります。

 現実から逃避し、後回しを続けたあげくに
定年直後から「お人離さま」になることは
絶対に避けてもらいたいものです。

 

 

【むすび】一人は人・離にあらず!

 同じ発音でも貴方は「お人離」様にならない自信はありますか?

 家族がいなければ、
 他の人たちとの繋がりを自ら持とうとしなければ、
 あっという間に「人・離」の状態に陥ります。

 奇しくも発音は「ひ・と・り」です。

 おひとり様は孤独というのはあながち間違えではないと思います。
ですが、孤絶・孤立とは異なります。

 孤立からの孤絶は
自然と引きこもりやセルフネグレクトに直結すると言っていいでしょう。

 

 所詮人は全くの一人だけで生活が出来るような生物ではないのです。
確かに夜は自宅に話す相手はいないといった一人の暮らしの日々であっても
昼間は訪ね、訪ねられる相手がいる、馬鹿話を言い合える友人がいる、
同じ趣味の話なら何時間でも続けられる仲間がいるのであれば、
一人きりの夜があっても却ってメリハリのある生活を楽しんでいるかもしれません。

 中には、真に人づきあいが苦手、苦痛で
読書やクロスワードパズルなど一人で楽しめる。
何かしらの趣味に没頭しており、孤立や孤絶を感じないという
レアケースはあるでしょう。

 それでも本を読めば誰かに本の感想を伝えたい、
難しいパズルを解き明かした際には自慢したい、
こういった感情は湧くのではないでしょうか?

 仮にブログやツイッターをやっているならば、
ネット上で交流することは可能でしょう。

 現在の問題は終日ネット上のゲームやネットサーフィンで過ごし、
ネット上でも他人との交流を拒絶しているようなケースです。

 シニア世代の貴方に気兼ねなく誘い、誘われるような友人は
何名いるでしょう?

 同じ趣味で何時間も盛り上がれるような仲間は?

 もし、思い当たる節がない50代の貴方は、
孤絶した70代80代を強く意識して行動を起こして下さい!

この記事の著者

寺田 淳
寺田 淳寺田淳行政書士事務所 代表
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

主に以下のSNSで各種情報を随時発信しています。
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ブログ「新・先憂後楽」
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