最新お墓事情2025

 

【はじめに】

 私のメイン業務でもある「改葬」「墓じまい」
残念ながら毎年増加傾向にあります。

 そんな時、新聞の特集記事でも
この件について掲載されていました。

 前回は遺産の行く末について書きましたが
今回はお墓の行く末について考えてみました。

 

【50代からの相談増加】

 私の経験の範囲での話になりますが、
以前は郷里の墓じまいや今の居住地への改葬相談は
概ね70代以上の方から「子や孫に迷惑をかけたくない」
という理由からが大半でした。

 それがここ1,2年は働き盛りの50代前後の
まだ親が健在な子の世代からの相談が目立ってきています。

 理由としては「子のいない夫婦」や「おひとり様」
「地元を遠く離れたエリアで暮らす~海外移住など」
後を継ぐ存在がいないことで早い段階で解決させておきたい
という考えが多くを占めていました。

 

【改葬の内容にも変化が】

 最近では以前のような墓石のある墓地から新たに墓石のある墓地へ
といった一般墓への改葬は減少傾向にあります。

 主な理由としては、
希望の墓地がない、または墓地の空きがなく順番待ち状態だったり
費用面や維持管理に関する負担を将来にわたって担えるか不安、
というものがありました。

 その結果として
比較的選択肢が多く費用面でも節減できる
いわゆる霊園の納骨堂への改葬や永代墓への改葬にシフトしています。

 この変化だけでも
当時は改葬の大きな変化と言われていましたが
今ではさらなるお墓の変化(進化?)して「樹木葬」が台頭しているのです。

 日経新聞に掲載されていた記事からの引用ですが、
鎌倉新書「お墓の消費者全国調査」によると
新たに購入した墓の内訳では樹木葬が50%に迫る割合
一般墓や納骨堂を大きく引き離しているとありました。

 従来からある改葬理由として挙げられてきた
「少子化によって後継者が1人2人となった。」
「その後継者が若いうちに郷里から都会へ移住した。」
「郷里の親族も全て絶えてしまい繋がりが喪失した。」
といった理由は、今もそのまま通用するものです。

 さらに遺された後継者が「おひとり様」となれば
都市型の霊園の納骨堂であっても「無縁墓」化は避けられません。

 仮に子がいたとしても先に挙げたように
「海外生活で帰国の予定がない」「墓の維持管理が困難になってきた」
といった理由で墓じまいする他ないというケースもありました。

 その結果、辿り着いたのが
個人の墓や納骨堂への改葬ではない「樹木葬」という
選択肢だったのではないでしょうか?

 

【最新のお墓のカタチとは?】

 個人墓ではないものの樹木葬であれば
墓石や墓碑はなくとも現実に墓はある訳です。
(位置付けとしては埋葬や納骨と海洋散骨等の
散骨の中間の位置付けといえるでしょう)

 ただ、比較的郊外に設置されているケースが多く
当然ながら雨露を凌ぐような屋根等はないようです。
年齢を重ねれば墓参に行くにも困難が生じますし
予定した日に台風の襲来や今の季節のような炎暑の下となれば
墓参する方の健康に問題を生じかねません。

 悪天候の中墓参を強行したとしても
ゆっくり故人と向き合い、故人を偲んだり
過去の思い出話を語ることは難しいでしょう。
せっかく多忙な中、都合をつけて墓参に出向いたのに、
これでは却ってストレスが増すだけかもしれません。

 その空隙を埋めるかのようなサービスについて
紹介したいと思います。

 これも日経新聞の掲載記事の内容ですが、
最新式のお墓として「メタバース」に霊園を構築し
そこへアバターとして参詣する追悼の場にする。

 弔問客同士でも最大30人までの会話(チャット)が可能で
現実では難しい遠方の親族や知人とも会話が出来、
故人を偲ぶことも可能になるというものでした。

 今でも近代的な納骨堂では
銀行のATMのような囲われたスペースが用意され
専用のカードキーを使って中央に設置された大型ディスプレイに
仏壇の画像や墓石が映し出され、同時に線香に火が灯されて
読経が流れるといったメタバースもどきのサービスが用意されています。

 さらにディスプレイ前まで骨壺がベルトコンベアで運ばれ
現物の骨箱を前にお参り出来るという納骨堂もありました。

 最近の都市型霊園は概ね公共交通機関の駅近くにあり
アクセス面は非常に快適なものとなっていますし、
屋内施設として用意されており、駐車場も完備してます。

 お参りは室内なのでタクシーやマイカーで来れば
全くと言っていいほど天候問題は発生しません。

 あまりに近代的なので墓参りというイメージに
そぐわないという声も無いわけではありませんが
墓参する側からすれば便利なのは言うまでもありません。

 さらに近い将来には
実際の墓に出向くことなく
 自宅の部屋で、車内で、外出先で
 服装も自由な状態で
 24時間365日都合のいい時間に
リモート墓参りが可能になるようです。

 これに加えて、AI技術を駆使して
故人の生前の動画や写真、音声データを
学習させることでパソコンやスマホの
画面上で動画や声を再生、対話も可能にする
まさに故人と思い出話を交わすことが自宅で出来る!?
こんなサービスまで用意されているようです。

 前述したメタバース内の仮想空間にお墓を設けるといった
究極のお墓を加えれば、現実世界にお墓があることも
必須とはならない時代がもうすぐにでも実現しそうです。

 ここまでのサービスの是非については
コメントを控えますが、一定のニーズはあるのではないでしょうか?

 

【終わりに】

 以前のブログでも書いた覚えがありますが、
最近では80代以上の高齢の親の方が墓があると
子や孫の負担になると樹木葬や散骨を考え、
反対に50代60代の子や中には20代の孫の世代の方が
手を合わせられる墓のような存在を欲するといった
逆転現象のような事態が増えているようです。

 ただ心情的な面と現実面にギャップがあるのも
事実であり、その点を認識している中で
どういった新しいカタチでお墓を存続させるか?

 ここ数年はここに紹介したようなカタチへの
いろいろな考えが錯綜する事でしょう。

 どんなカタチになったとしても
故人との繋がりを保って、故人を偲ぶ心だけは
永遠に存続してもらいたいものです。

この記事の著者

寺田 淳
寺田 淳寺田淳行政書士事務所 代表
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

主に以下のSNSで各種情報を随時発信しています。
フェイスブックページ「50歳からの人生設計相談室」
ブログ「新・先憂後楽」
コラム「マイベストプロ東京」
行政書士の寺田淳がマイベストプロ東京で相談受付中

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA