【はじめに】
前回のブログでは
シニアのおひとり様の居場所について簡単に触れましたが、
その後おひとり様デビューに悩む方から予想以上に問い合わせを受けました。
相談を聞くに独身のままシニアを迎えた「まだおひとり様」以上に
パートナーとの生活を終えた「またおひとり様」の方が
新たな自分の居場所探しに苦労していることが垣間見えました。
今日はこの話題について紹介したいと思います。
【一人で行ける場所がない?】
相談者の多くは身近に「話し相手がいない、いなくなった。」
だから新しい出会いは欲しているのだが、行動に移せないと言います。
なぜか?
まずは「ひとりで出かけることが既に気恥ずかしい。」に始まって
「ひとりで街中にいると人目が気になってしょうがない。」
こういった「世間体に固執=弱音」を多く耳にします。
要は自分自身で
「この人、いい年をして一人でこんなところに来ている。」
「かわいそうに友達いないんだ、この人」
等といった「ネガティブ視線」で自分を見ているからです。
その結果、
「本当に一人でも気にならないような場所ってあるんでしょうか?」
という問い合わせに行き着くのです。
付け加えれば、
人との会話がなくても、ひとり時間を誰憚ることなく
過ごすことが出来る場所を模索しているのです。
本当にそのような場所は身近には存在しないのでしょうか?
【食べる・観る・体験する】
今ではコンビニやスーパーの総菜コーナーでは
おひとり様用のジャストサイズの弁当やおかずが
色々と取り揃えられています。
ですがこれを買って自宅で食べていては何の解決にもなりません。
やはり外食してこそ気分転換にもなり、次のステップへの一手になるのです。
最近では女性一人でも平気で入れる様な立ち食いそば店も増加してますし、
回転ずしにしてもひとりでフラリと入店するケースは既に一般的です。
ここでも最初に入った店に通い詰めて店の常連になって
店員や常連客との交流を目指すも良しですし、
ラーメン食べ歩きのように、立ち食いそば食べ歩きや
回転すし食べ歩きに進んでも構いません。
自分に適していると思う方に進めばいいことです。
ここで注意するのは
いわゆるチェーン店のファストフードではない店を選ぶことです。
バーガーショップや牛丼チェーン等では客の回転が速すぎます、
時間節約で利用するケースが多いので却って居心地が悪くなります。
出来る限り個人店の喫茶店や町中華でのデビュー、
これを心がけて欲しいものです。
まさに人気テレビ番組「孤独のグルメ」
これを自分で味わう楽しみを感じることなのです。
コロナ禍に始まった「ひとりカラオケ」は
今や市民権を得て練習場所として利用したり、
単にストレス発散の場として利用するケースはかなり多いとのことでした。
あえて紹介すれば
「映画鑑賞」「舞台鑑賞」では複数人で行っても
上演中は会話など厳禁ですからひとり観賞しているはずです。
他にも美術館や博物館巡り、動植物園巡り。
よりアクティブならば趣味で戦国期の城址巡りといった趣味も
却って一人の方が自由に選択出来、時間も自分都合で楽しめます。
さらには健康ランドやスーパー銭湯、果ては全国の露天風呂巡りといった
健康増進を兼ねた趣味に奔る方も少なくありません。
この場合ですと、
まさに裸の付き合いから新しい交友関係が出来るといった
副産物も大いに期待出来ます。
やや変わった方の中には
高速道路のSAでのグルメ探訪といった趣味を始め、
毎週のように近隣の高速道のSAで舌鼓を打っているそうです。
単にドライブが大好きといった方も
観光シーズンをあえて外しての名所めぐりで
そこから秘湯探し、地元メシの食べ歩き、寺社巡りなどの
新たな居場所を見出したケースもありました。
出来れば人との会話を楽しみたいというならば
お酒が嫌いではない方限定ではありますが、
ショットバーのようなこじんまりとした
バーの扉を勇気をもって開けることでしょう。
ビアホールや居酒屋のチェーンでは団体さんに圧倒されます、
店のスタッフとの会話は注文の時くらいでしょう。
カウンター越しにバーテンダーとの会話が出来る
団体と言ってもせいぜい3人が上限のような店ならベストでしょう。
カクテルデビューという名目でバーテンダーとのやりとりを
始めるのもいいですし、見知らぬボトルについて質問してもいいでしょう。
きっかけは至る所にあるはずです。
店によっては単独で来ている他の客を紹介してくれたり、
同じ趣味を持つ方の来店日を教えてくれたりと
マスターやバーテンダー、その他のスタッフが
いい橋渡し役になってくれるケースもあります。
べたな話では、自治体が主催する市民講座への参加や
図書館の常連客になってみるのも入門編としてお薦めできます。
完全無趣味、免許なし、下戸、の全てを兼ね備えていない限り、
どれかが貴方に当てはまるはずです。
【最後はポジティブ思考で】
おひとり様はみんなで楽しむことが出来ない、
という見方はひっくり返せば「家族持ちは自分の楽しみは我慢」
とも言えるのではないでしょうか?
配偶者がいる、まだ手のかかる子がいるような場合、
前項で紹介したようなひとり時間の過ごし方はまず無理でしょう。
「そんな暇があったら家事を手伝って」「暇ならバイトでもして稼いで!」
これは、私の身近にる知り合いからの生の声でした。
仮に家族うち揃って出かけるにしても
「自分の意向は最下位。」「子供最優先。」だそうで
ゆっくり骨休めしたくともレジャーランド三昧で却って疲弊して帰宅。
等など、気の毒な環境下で暮らしているのだと思ったものです。
このような事態はおひとり様には無縁です。
好きなこと、やってみたいことを、自由に選択出来ます。
好きな時に実行に移せます。
いくら費用をかけようと誰からも非難されません。
「孤独」ではありますが、その分「自由」があります。
ポジティブに考えれば、
自由をいかに自分の為に有効に活用するか?
それを考える楽しみを先に考えてみて下さい。
【終わりに】
最後になりましたが
おひとり様デビューに関して私なりに考えた2つの課題を紹介します。
まずは、時間もおカネも自由に使えるおひとり様ですが
これも全て「心身の健康」あってのことです。
いくら時間があっても、おカネに不自由していなくとも
肝心の体が外出できないのであれば何にもなりませんね。
かかりつけ医を持つこと、定期的な健診を受けることは
おひとり様デビューには必須の要件です。
医者との会話だけでも、病院に出向くことだけでも
誰かと出会い、何かを経験するきっかけになります。
次はより重要なことです。
自分にとってどうすることがおひとり様リスクを避けられるか?
自分が最も取り組みやすいことは何か? 何をしたいのかを
時間をかけていいので自分の判断で見出すことです。
孤独を受け入れた中で、自分がしたいことを実現する、
その方法を選択し、いったん決めたなら実現に向けて行動を開始するのみです。
その結果、自分が思い描いたような自己実現が叶った場合、
次は何をすることでより充実したおひとり様ライフを手にするか?
孤独と両立出来る生活の拡充に向けて再度行動を興すのです。
これを裏返せば、
「こうすれば孤独から解放されます。」「これで成功した人多数!」
「同時進行で複数を実行すればどれかがヒットするかもしれない。」
等のような外部からの情報や風潮に乗ってしまうこと、
当てもなくただ漠然と取り組むようでは自己実現は難しいでしょう。
第三者の成功事例はあくまでもその方だけの成功事例でしかありません。
それを真似るだけでは自分にとっても有効なのか、最適な方法なのかの検討を
省略したことと同じです。成功の確率は宝くじ並みのものでしかないのです。
この結果は、概ね(真似を)実践はしたものの
自分にとっては満足のいくものではなく、
却って徒労感や挫折感に陥ってしまい
不満や自己否定といった負のスパイラルに陥る。
このような残念な結果になることが多いのです。
誰かが上手くいったからと言って自分も同じとは限らないのです。
これは起業・開業の際にも全く同じことが言えます。
どちらにせよ、外部の情報や指示に全面的に依存するだけでは結果は出ない。
この点だけは「正しい結論」と言えるでしょう。
この記事の著者
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東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。
主に以下のSNSで各種情報を随時発信しています。
■フェイスブックページ「50歳からの人生設計相談室」
■ブログ「新・先憂後楽」
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