資産の終活とは?
今回は終活の「し」
終活の中でも時間がかかる案件のひとつが資産との付き合い方です。
あるものは元気なうちに処分したほうが適当であり、
あるものはこれからの自分の人生の為になるように見直しを図る。
これらをいきなりまとめて取り組もうとすると、
結果的に全てが中途半端な進捗に終始し、そうその挫折となるようです。
今回は、資産の中から主だったものについて
どういう対応が必要になるかを紹介したいと思います。
こんな資産が対象です
墓じまい
おひとり様であれば特に優先すべき案件です。
家族がいる場合であっても代々の墓が遠方にあったり
子供も孫も一度も墓参に行っていない等、
自分以外に繋がりが無いような場合も同様です。
決断し、行動出来るのは貴方だけです。
一例を挙げれば、永代供養を済ませた後に墓じまいをします。
個別の墓を保有していることは管理費や折々のお布施が生じます。
先に挙げたように繋がりが皆無になっている子や孫には
重荷以外の何物でもありませんね。
自分も長年の不義理で疎遠なのでと、及び腰の方もいますが
子や孫の代になればそれ以上に疎遠なわけです。
特に郷里に墓があるような場合は自身の健康に問題がないうちに
自分の行動で処理していくことが望ましい終活と言えるでしょう。
自宅のリフォーム
今度は「生きて暮らしていく中での終活」です。
これも自分の健康状態とのバランスが重要になってきます。
今までは問題なく昇り降りが出来た階段もひざを痛めた、
腰痛が治らないとなれば手すりの設置は必須となります。
さらに高齢化すればわずかな部屋の出入り口の段差が
命取りになるケースも珍しくありません。
思わぬ転倒で骨折、重症な捻挫などで寝たきりになれば
または杖や車いすのお世話になることすらあるのです!
室内のバリアフリー化、玄関の段差の解消など、
今の自分ではなく、10年後20年度を考えて検討すべきです。
さらに自治体によってはこの手のリフォームには
補助金を支給する制度があります。
事前の申請手続きが必要なので、当該の自治体のHPで
確認することもお忘れなきよう。
マイカー
何度も紹介してますが、都会と田舎では扱いは変わります。
都心で暮らす分には絶対に必要不可欠なアイテムではないでしょう。
毎月の高額な駐車場代、都内の駐車料金もバカになりませんし、
それ以前に絶対数の不足もあって停める事すら難しい場合もあります。
さらに保険料に車検代に燃料費等も確実に発生します。
趣味で所有している、ドライブが終生の趣味という方以外は
都心では今や当間になったカーリースやカーシェアリングという
選択肢を検討してもいいでしょう。
田舎暮らしの場合はまさに生活必需品のケースが少なくありません。
日々の買い出しや病院や自治体に出向く際の唯一の足というケースも。
駐車スペースも比較的余裕があり、バス等の公共交通機関が減便や
路線変更等で使い勝手が悪いエリアではまさに欠かせない存在でしょう。
ですが、ここでも自身の健康問題がいずれ発生します。
手足の障害は無論の事、目も異状が出れば危険この上ないですし、
反射神経の劣化は避けられない現象です。
田舎暮らしの場合のクルマとの付き合いは
まさに生死がかかる問題になり兼ねないことを認識して欲しいです。
投資信託
ここからは形無きモノを採り上げます。
今まで長年の運用経験がある方は問題ありませんが、
注意して欲しいのは退職を機に、60からの手習いと言った
シニアからの投信入門の場合です。
仮に小遣い稼ぎ程度の範囲での運用であれば
リターンの大小よりは信託報酬や管理費用を注視したいものです。
ハイリターンのように見えても
運用コストが高額では結局は投信各社の思うつぼです。
また運用益に生活の全てを賭けるといった方は
先ずその考えを再考することをお薦めします。
詳細は書きませんが、プロでも外すのが当たり前の世界です。
大切な退職金や満期を迎えた保険金を一気につぎ込むような
暴挙だけは避けて下さい。
年金
まずは65才からの一般受給を基準として考えたいものです。
もう年金の繰り上げ、繰り下げ受給のメリット・デメリットは
いろいろな媒体で紹介され続けていますし、既に受給資格を有する方は
判断を下しているはずです。
受給資格が直前、または資格はあるもののまだ受給開始をしていない、
詰まるところ、即時の年金収入が必須というような環境でなければ
繰り上げ受給は極力避けたいものです。
早まって繰り上げ受給を選択しますと、
場合によっては最大で24%の減額となってしまいます。
生前贈与
既にご存じのように
相続開始から3年間遡って生前贈与分が相続財産に持ち戻し
という制度は来年から7年間に延長されます。
相続人である子が仮に60代とすれば、
その親は80代以上でしょう。
今から生前贈与(暦年贈与)を始めたとして、
今から7年分は節税対象にならないとなれば、
失礼な言い方ではありますが、効果は期待薄でしょう。
自分が60代で子が30代や40代前半等の場合は
今から暦年贈与を始めればかなりの額が非課税になる
可能性は高まります。
ですが肝心の自分たちの生活にどういった影響が出るかは
未知数です。贈与破綻では本末転倒です。
自分が受ける立場の老親からの生前贈与の前に、
60になれば、自分から子供への贈与について考えておく、
終活の案件としての必要が生じてきます。
補記として
「どう見積もっても
自分には基礎控除を上回るような資産はありません。」
「それでも税務署には
その旨の財産調査の結果は提出するのでしょうか?」
この手の心配をする方は案外少なくありません。
相続が発生し、相続人が故人の相続財産を精査した結果、
「基礎控除の枠内」の財産であった場合、相続人が一人ならば
基礎控除3,000万円プラス相続人一人当たり600万円の
計3,600万円以内だった場合は、税務署への申告は無用です。
申告以外の届出や報告も必要ありません。
直接税務署に確認しましたが、
「現状遺産相続で申告するのは全体の20%前後です。
相続発生の場合、80%近くは無申告です。」とも言われました。
但し、相続から数年後に税務調査が入った場合には
相続財産についての調査があります。
財産調査の結果は保存、保管しておいて損はないでしょう。
また、推測や思い込みで基礎控除の枠内と決めつけて
遺産相続をしたものの、税務調査で枠内でなかったとなれば
ややこしい話になってしまいます。
やはり、相続財産調査はしっかりしておくことは必要でしょう。
これも当事者が心身ともに元気なうちに始めるべきで
出来れば定期的に見直しを図り、常に最新の状態を記録しておきます。
これを怠ったまま相続発生となれば、
要は遺言書がないままの相続発生ということになりますから
相続人による遺産分割協議が必要になりますし、
故人の財産調査を手探りで始めなくてはいけなくなります。
資産をどうするかの前に、どういう資産があるかを
記録しておく事も大切な資産の終活と言えるでしょう。
この記事の著者
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東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。
主に以下のSNSで各種情報を随時発信しています。
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■ブログ「新・先憂後楽」
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