マイナンバーカードの今:相続手続きとマイナンバー

【はじめに】

 マイナンバーの番号通知が始まったのは
2015年、今から10年前でした。

 10年後の今でもそのセキュリティの問題や
個人情報を一元管理されることについての疑念が
完全に払しょくされた訳ではありませんが、
さすがに日常生活において利便性を発揮し始めたのも事実です。

 今日はその中から相続手続きにおけるマイナンバーの役割、
この点だけに絞り込んで紹介したいと思います。

 

【預貯金口座管理制度】

 この4月から始まった「預貯金口座管理制度」によって
一か所の金融機関の口座でマイナカードでの口座管理の申請をすると
その他の金融機関の口座もマイナンバーが紐付けされる様になりました。

 この為には最初に口座管理を申請した金融機関で
他の金融機関の口座への紐付けを希望すれば
その旨「預金保険機構」に当該の金融機関から通知されます。

 詳細は省きますが、通知を受けた「預金保険機構」は
原則として全金融機関に申請者の口座があるかどうかを
照会して口座があった場合その金融機関に申請者の
マイナンバーを伝えることで全ての口座に
マイナンバーが紐付けされるのです。

 

【相続人の負担軽減に】

 この制度で具体的に利便性向上に直結するのが
相続人が故人の口座情報を調査する際の手間の軽減です。

 仮に相続人が知っている故人の取引銀行があれば
そこに問合せをするだけで「預金保険機構」を通じて
故人名義の全口座情報が把握出来るのです。

 特に先にも触れましたが故人が会社員で転勤族だった場合
本人もうっかり解約を忘れている赴任先の口座がある可能性は
決して少なくありません。

 中には家族に内緒の口座を持っていたのが判明した
というケースもあったようです。

 仮にこの制度がなければ
発覚までかなりの時間と手間がかかったと思われます。

 

【注意点】

 まず確認すべき事ですが、
あくまでも本人の希望があって紐付けされるので
自動的に全ての口座に紐付けされることはありません。

 またマイナンバーで登録し管理された氏名や生年月日、住所と
当該金融機関に登録してある情報が一致していることが条件となります。

 生年月日が異なることは考えられませんが、
転勤族であれば金融機関へ届け出た住所が現在と異なるケースは
考えられるものですし、一般的に女性の場合には結婚や離婚で
氏名が変わっている場合も想定されるものです。

 この場合は金融機関に登録してある情報を
マイナカードの情報に一致させる事を先に済ませておく必要があります。

 更に最も注意すべき点は、
「口座の紐付けを申請出来るのは原則名義人本人」という点です。
当事者にはメリットはないものの、遺された家族の手間を軽減する為に
心身ともに健全なうちに決断し行動することが重要です。

 

【終わりに】

 相続手続きの軽減の他にも紐付けにはメリットがあります。
大災害に遭って通帳や印鑑、キャッシュカードを紛失し
口座から現金の引き出しが出来なくなった場合に
マイナンバーで預貯金口座の有無が確認出来ます。
また同時に本人確認も出来ることで現金の引き出しが可能になります。

 ただこうなると疑念が生じるのは紐付けされることで
自分名義の財産(預貯金)が税務署等のお上に知られるのでは?
という点でしょう。

 ただ口座情報の管理はあくまでも金融機関であって
行政機関や自治体は「原則として」残高を見ることは出来ない
とされてます。 但し税務調査や生活保護申請時の資力調査では
確認することが出来るともありました。

 また補足ですが、この5月26日から戸籍の氏名にふりがなが
記載されるようになります。

 各個人には本籍地の自治体から戸籍に記載される予定の
氏名のふりがなが通知される予定です。

 間違いがなければそのままで、間違いがあればその旨を
来年の5月26日までに届け出をして訂正することになります。

 これまでマイナンバーの個人情報には
氏名の読み方の情報がなかった為、本人確認に時間がかかっていたのが
この制度によってマイナンバーカードにもふりがなが記載され
本人確認の時間短縮と精度向上が進むことになるそうです。

この記事の著者

寺田 淳
寺田 淳寺田淳行政書士事務所 代表
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

主に以下のSNSで各種情報を随時発信しています。
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