おひとり様と後見問題

はじめに

 今回はシニアに限らず、40代でも他人事ではない話題です。
単なる度忘れ、思い込み、勘違い…

 今はそれらの解釈で片付けられていることですが、
シニア世代にとっては軽視は出来ないことになります。

 終活の「せ」成年後見に係る話題を紹介します。

 

 

こんな経験はしていませんか?

 年齢は関係なく発生する事例ではありますが、
あえて60代のシニア世代に絞ってお尋ねしたいと思います。

 以下のような体験をし始めた、何度か経験している。
そういった方は要注意です。

・ATMで現金を引き出した際に
    肝心の現金を受け取らずに
 カードと明細書だけを回収してコーナーから離れてしまった。

・外食の際に
   手荷物をテーブル下などにある荷物置きに置いたものの
 食事を終えた時には失念して手ぶらで店を後にした。

・スーパーでの買い物の際に
  買い物用のカートに手荷物をひっかけて買い物を済ませ
 買い物袋は持ったものの手荷物はカートにひっかけたまま店を出た。

・買い物の際に
  予め買うものをリストをメモに書いてきたものの、
 売り場に着いた時にはそのメモの存在を忘れてしまい、
 無駄な買い物や、買い忘れをしてしまった。

 如何でしょうか?
これらは全て私が聞いた実際に見聞きした出来事の一部です。

 この他にも
書店でおもしろそうな本を購入し、無事に読み終えた後に
なんと目の前の書棚に同じ本があることに気付いたという例。

 この場合は再読しているはずなのに、
二度目の読書中に全く思い出せなかったというケースでした。

 

 仮に原因が寝不足や集中力の欠如、
あるいは心身の不調といった明らかな要因があれば
一過性の失敗として笑い話で済ませることは可能です。

 ですが、これが毎週毎月、形を変えて発生しているとなると、
特にシニア世代の場合は要注意です。

 中には「天然ボケ」といわれるような「粗忽者」も存在しますが
多くの場合は、念のためにある予兆を疑うべきでしょう。

 

 

任意後見契約で備えるという考え

 貴方が家族と同居している、
またはひとり暮らしでも親族との交流があり
定期的な行き来が確保されているのであれば、
他人からの指摘で異変に気付く、
あるいは専門家への相談に同行してくれるでしょう。

 ですが、おひとり様の場合、
ほとんどの場合「単なるど忘れだ」「二度は起こさない」
など等、独断で「なかったこと」「稀なアクシデント」として
スルーしがちです。

 認知症は家族がいても重大な問題ですが、
おひとり様の場合は誰にも気づかれないまま発症、
そのまま重症化するリスクは無視出来ません。

 終活の前段階として
判断能力の低下を自覚した際、どういう対策をすべきでしょうか?

 個人で事業を起こしているならば、
事業承継を図るのか、閉業に向けた準備に入るのか?

 相続人が皆無なら、
死後に遺すことになる家財や資産の始末をどうすべきなのか?
生前に寄付、遺贈といった方策を考えておく必要があります。

 

 自分で出来るはずだった終活が
思うように出来なくなる前に出来る事は何か?

 

 おひとり様の場合、
「任意後見契約」の活用が対策の一つととなります。

 もう何度も任意・法定後見については
このブログや他のコラム等でも紹介してきたので
ここでは詳細は省きます。

 ごく簡単にまとめてしまいますと
任意後見は文字通り「自分の意思で、任意に選任が出来る」
後見契約と言う意味です。

 まだ正常な判断力を有しているうちに、
信頼のおける専門家や友人知人の中から
自分を後見してくれる人物を選ぶことが出来る。

 法定後見の場合は既に自身に判断力が低下しており、
家裁の選任する後見人、多くの場合は「全くの赤の他人」に
貴方の残りの人生を委ねることになります。

 また、任意後見契約の場合、
自分が後見を託す内容も自分で決めることが可能です。

 変な例えになりますが、
遺言書の効果と似たものではないでしょうか

 自分が元気なうちに遺言書を作成しておけば
自分の想いを明記出来、納得のいく備えが遺せます。

 自分の想いや考えを明らかにしておき、
後事を託す際に具体的な内容を知らせることになる点は
任意後見契約も同じ意味合いを持つと私は思います。

 

 私事になりますが、
学生時代から続けている日記に
早期退職後、新たに「今日の失敗」を記載しています。

 思い込みで待ち合わせの場所を間違えた。
 待ち合わせ時間を失念し、遅刻した。
 1年以内に同じ本を購入した。
 外出先に傘を忘れた、カバンを置き忘れた。
 着替えた際に財布や小物を入れ替えないまま出かけた。

 こういった「ちょいミス」をもれなく書き込んでいます。
これを半年後に見返すと、同じ轍を踏んでいるケースが
ここに来てポツポツ出てきています。

 一応、念のために書きますが
ポカの殆どは慣れから来る油断でした。
いくつになっても好奇心と判断力は鮮度を保つこと。
毎回の反省です。

 どういう場合にポカが発生しているか?
これを把握出来ているだけで何となく安心します。

 まだミスしたことをj記録出来る記憶力と判断力がある。
といった自己満足に過ぎないものではありますが、
一定の抑止力にはなっていると考えています。

 「こんなミスは初めてだな~」と言う事態に遭遇したら
「本当に今回が初めてだったか?」を質しましょう。
その為にも、おひとり様の場合は特に自分で記録する習慣、
いつか来る将来の問題への備えとして、検討しては如何でしょうか?

この記事の著者

寺田 淳
寺田 淳寺田淳行政書士事務所 代表
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

主に以下のSNSで各種情報を随時発信しています。
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ブログ「新・先憂後楽」
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行政書士の寺田淳がマイベストプロ東京で相談受付中

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