医療・介護の公的支援制度を知ろう

【はじめに】

 前回のブログでは就業支援について紹介しましたが、
今回は医療・介護における公的支援について
主だったものを紹介したいと思います。

 この手の情報はある程度、何となくは把握しているものの
いざ老親や自分自身がお世話になる時に慌てて調べたり、
詳細を知らないままスルーしてしまうケースが見受けられます。

 なお、以下に紹介した各サービスについては
必ず当該の担当窓口に内容の詳細を確認するようお願いします。

 

【医療費控除】

 窓口は税務署です。
さすがにこれは認知度は高く、
特に確定申告を自身で行う自営業者は知っていて当然と思います。

 年間の医療費が10万円
(総所得金額等が200万円未満ならその5%の額)
超えた分が所得控除になるものです(最大で200万円)

 以前は医療費早計が15万円だったので全額控除と
非常に楽観的な考えの方がいましたが、ここに書いたように
10万円を超えた部分の5万円分が控除の対象額ですので
ぬか喜びしないようにお願いします。

 

【高額療養費制度】

 ひと言で言えば、
1ヶ月に支払った医療費が高額になった場合、
定められた上限を超えて支払った額を払い戻すというものです。
この上限額は個人や世帯の所得によって変わります。

 平成30年8月からこの上限額の設定が変わっています。
詳しい内容は以下に厚労省のパンフを添付しましたので
そちらで確認をお願いします。

 なお問い合わせ窓口は加入する健保、共済組合、
国民健康保険組合等のそれぞれが加入している医療保険者まで、
国民健康保険に加入の場合は各自治体の担当窓口まで、
後期高齢者医療制度の場合は各都道府県の後期高齢者医療広域連合か
各自治体の担当窓口となります。

高額療養費制度

 

【限度額適用認定証】

 これはわかりやすく言いますと
医療費が高額になったときに、支払い額を一定のでストップしてくれる書類
になります。

 最終的な支払額は前項の高額療養費制度と同額ですが、
一時的とはいえ高額出費になるものを最少額で抑えることが出来るものです。

 ごく簡単に言いますと、
健康保険証の発行元に申請すると、書類が1週間ほどで届きます。
病院に提示することで、高額な医療費を軽減することが出来るのです。
高額な医療費の発生が必至な場合や退院までに手続きの余裕がある場合には
早めに手続することで医療機関などの窓口での支払い時の出費の軽減が図れます。

 

【高額介護サービス費制度】

 公的介護保険で要介護認定を受けることで
介護保険サービスを受けることが出来ます。

 この場合自己負担額は1~3割に抑えられるのですが、
それでも毎月の支払いはそれなりの負担となります。
この際に1ヶ月の自己負担額が上限を超えると超えた分が
介護保険から支給される制度です。

 1ヶ月の上限額は前年の所得などで算定されます。
但し、支給を受ける場合は申請手続きが必要になります。

 必要なものは、概ね
高額介護サービス費支給申請書
介護保険被保険者証
印鑑
振込先の確認出来るもの(本人名義)
なのですが、なかには印鑑不要やマイナンバー提示が必須だったりと
自治体ごとに微妙な差異があるようです。

 地元の自治体に事前に必要なものを確認することをお薦めします。

 

【居宅介護住宅改修費】

 こちらは「要介護」の認定を受けた方が対象のサービスです。
「要支援」の場合には「介護予防住宅改修費」となり
別のサービスが利用出来ますがここでは省略します。

 内容としては文字通りで
要介護者が今まで暮らしてきた自宅で安全に生活が出来るように
住宅内の改修支援を介護保険によって受けられるサービスとなります。

 居宅介護住宅改修費(介護予防住宅改修費)としては
上限で20万円が給付がされます。

 具体的な改修内容としては以下のようなものがあります。

 ・廊下、階段、浴室、トイレ、玄関周り等に手すりの設置
 ・敷居の段差解消、スロープの設置、浴室床のかさ上げ等
 ・滑り防止のため、安全な移動の為の床材の変更
 ・扉の変更(引き戸、折り戸、ドアノブの変更等)
 ・便座の交換(洋式便座へ)
 ・上記に関して必要となる付帯改修費(補強、給排水設備工事、床材変更等)

 注意すべきは住まいが賃貸物件の場合です。
この場合も家主の了承が得られれば改修は可能ですが、
その後退去する際には原状回復が条件の場合、
その費用は全て自己負担となるので必ず事前の確認が必要です。

 利用者の負担割合は年齢や所得によって差があり、
概ね1~3割が自己負担となります。

 先に上限は20万円と書きましたが、
仮に20万円ピッタリの工事だった場合は
1割負担者は2万円、3割の場合は6万円が自己負担となります。 
また20万円を超えた場合は超過分は全て自己負担です。

 注意すべき点としては
改修工事の前に「住宅改修費支給申請書」の提出をしておくことです。

 改修工事を決めた場合は
工事前に地元の自治体窓口に申請します。
申請しないまま改修工事を実施した場合等は
給付対象外となる恐れがあるので要注意です。

 

【生活福祉資金貸付制度】

 最後に紹介するのは医療や介護以外にも対象者がいる制度です。
市区町村の社会福祉協議会が窓口となっており
低所得、障碍者、高齢者が属する世帯等が対象となっています。
最後の高齢者世帯というのが65歳以上の高齢者の属する世帯を指し、
日常生活上療養または介護を要する高齢者等がいる場合となります。

 詳細は添付資料を参照してもらうことになりますが
要は必要に応じた資金の貸付が行われる制度です。

 生活福祉資金貸付制度

 

 

【終わりに】

 以上、主なサービスのみですが
すべて把握されていた方はどれだけいらっしゃったでしょうか?

 こういうものはいざその場に直面した際や
自分自身が遭遇した時に慌てて調べる余裕はありません。

 先ずはどういった公的支援があるか?
医療や介護に関しての制度の有無についてを
事前に調べておくだけでもいいのです。

 そしていざという時にこの制度が適用されそうだと
ある程度の目安がついている制度の詳細を調べる。
 
 これだけでもかなりの時間短縮になりますし
具体的な準備にスムースに移れると思います。

 万が一そういう事態になった際に
速やかな支援開始が実行されるようにしておきたいものですね。

この記事の著者

寺田 淳
寺田 淳寺田淳行政書士事務所 代表
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

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