遠切り、厭切り、縁切り

【はじめに】

 色々ある終活の中でも
人間関係の仕舞い方はなかなかに難しい課題です。
相手の感情を害さないように仕舞うにはどうしたら?
全く益にならない腐れ縁でも切り方については躊躇したり
先延ばしのままストレスを抱え込んだ生活を続ける…

 虚礼廃止を意識しながらも会社の諸先輩や
お世話になった取引先の方々との仕舞い方には
さらに悩むことは明らかです。

 縁を切る、と言っても
一般的な「縁切り」以外にも
「遠切り」「怨切り」と言った仕舞い方もあるのです。

 今日は、「エンキリ」について考えてみました。

 

【遠切りと厭切り】

 まずは「遠」切りです。
過去には仕事面や私生活面で繋がりがあったものの
今では遠い存在(疎遠)になってしまった方などです。

 何となく今でも年賀状や暑中見舞のやり取りは続けているものの
その文面は文例を丸写しで近況報告もしない、
加えて直筆ではなく印刷したものでやりとりしている。
特にサラリーマン経験者には多く見られる関係でしょう。

 まさに惰性での縁であり、年々重荷になりつつあるご縁。
こういった縁に関しては相手からの動きを待つのではなく
一時の勇気、決断を下すことです。

 シニア層であれば、年賀状仕舞いの態で
今年限り、今回限りのご挨拶で失礼させて頂きます。
これで解消です。

 中にはいきなり挨拶を取り止めてそのまま自然消滅を図る
という強硬策を口にする方もいましたがこれは感心できません。

 やはり社会経験を積み重ねてきたシニアならばこそ、
けじめはきっちりつけることでしょう。

 

 「厭」切りは正直挨拶なんてしたくもないが
どうにもこちらから切り出すことも腹立たしい
といった最悪の「厭」の繋がりの場合です。

 本当に上から目線でしかものを言わないとか
慇懃無礼の常習犯ながら、入社時の先輩とか
部門長だあったとか得意先の担当者だった場合には
なかなかスッパリと切り離せないことは理解出来る話です。

 ただ一方的に自分の方が相手を敵視しているケースもあるので
一概にどちらに難ありとは言い難いのですが、
世間体や見栄によって惰性で繋がっているだけというのが
実状のようです。

 ここまで嫌い、妬み、恨みを隠しながらの挨拶では
確実にストレス増大は避けられないでしょう。

 この場合も意を決して最後の挨拶として
毅然とした内容を相手に伝えることで相手の動きを封じる。

 自分からアクションを起こさなければ
いつまでも無駄な時間を費やすだけではないでしょうか?

 

【縁切りは慎重に】

 これに対して、文字通りの「縁切り」は
時間をかけて検討する必要があります。

 年賀状仕舞いも最初の頃はシニア層の中でも
高齢者が挨拶を取り交わす仲間が少なくなった
自筆での挨拶が困難になった、なりつつある
といった事態を受けて始まったものでしたが
今では50代の方でもいったん今までの繋がりを
リセットしたいという想いから縁切りを行う
ケースも出てきたようです。

 特に若い世代では今ではFacebookを始め
各種SNSを介してのやりとりで繋がりを持ち、
自筆や印刷しての挨拶は不要という考えも増えています。

 我々60代のシニア世代においても
年賀状などの挨拶を取りや止めても
ネット上での繋がりは維持し続けるといったケースは
増える傾向にあります。

 これならば年賀状や時候の挨拶を全廃しても
繋がりを続けたい相手だけとはネット上では
従来通りの繋がりを持ち続けることも可能です。

 無論、相手もSNSを利用しているという前提ですので
高齢者も改めてネット社会の仕組みを学ばねばいけませんね。

 全てかゼロかといったデジタル的な縁切りの前に
グレーゾーンを残しての縁切り宣言をまずは検討しては
如何でしょうか?

 

【終わりに】

 皆さんの中にも特に近しい関係でなかったのに
毎年挨拶をしてくる知人や、いい感情を持ったことのない
相手からの挨拶に困惑することがありませんか?

 逆に言えば、
自分では何とも思っていなまま時候の挨拶を続けてきたのに、
実は先方からは疎まれていたといった場合もあり得るのです。

 外交辞令、本音と建て前も必要な時もあるでしょう。
ですがシニア世代になり、断捨離を考え始めた際には
まずはこの手の不要不急な繋がりの一気呵成の整理に
取り組むことで終活の第一歩としてもいいかもしれません。

この記事の著者

寺田 淳
寺田 淳寺田淳行政書士事務所 代表
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

主に以下のSNSで各種情報を随時発信しています。
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