親が原因の争族化の実例を紹介します

【はじめに】

 争族化の一因に親が原因のケースがあると
以前のブログで紹介しました。

 ここにきて
その危険性を孕んだ親からの相談が2件続いたのです。

 第一声は「よくしてくれる次男に有利な遺言をしたい。」
「違法寸前まで長男に財産をより多く渡したい。」

 それぞれその理由は他の子どもたちが云々といった「愚痴」
「悪口」が続くのですが、いろいろ話を伺うに連れて
どうも「親のえこひいき」「偏愛の結果の目論見」
としか見えないのです。

 相談の最後に、
私から数年前にあった親のえこひいきから発生した
姉妹のどろどろの遺産騒動について語りました。

 その結果、何かを感じてくれたようで、
日を改めての再訪を約束してくれました。

 

 今日はその哀しい事例について紹介します。

 

 

【始めは仲のいい姉妹だった】

 以下はある男性相談者、50代半ばの会社員の方の実例です

 最初は夫婦に子供がいないことから妻に遺言を残したいので
間違いのない遺言書作成への助言の相談でした。

 その後相続問題の話の流れで
以前の自分の母親とその姉(伯母)との確執の話になったのです。

 それによりますと
父親(母方の祖父)は一代で会社を興し発展させた立志伝中の人物、
典型的な明治生まれのワンマンだったそうです。
対して母親は全て夫に付き従う「良妻」だったようです。

 子供は女子が2名で、跡継ぎの悩みがあったそうです。
その結果、姉の結婚相手を(仕方なく)後継者にしました。
妹(相談者の母親)は自由に商社マンと結婚したそうです。

 その後、姉に子供が出来るもここでも女子2人のみ。
しかしながら妹(相談者の母親)が待望の男子を出産、
これが今回の相談者で50代半ばの方でした。

 父親(相談者の祖父)は狂喜乱舞したようで
坊主可愛けりゃ袈裟まで可愛い? の流れから
毎年のように子供の為と言う名目で妹夫婦には
多額の資金援助があったそうです。

 子供のためにと広い賃貸へ転居させ、家賃を負担
 子供のためにとハイグレードの新車の資金を全額負担など等

その後も誕生日、新年、入学・卒業の度に過剰な贈答も。

 当然ながら、
あからさまな姉妹間格差に姉の方が不満爆発で
(姉の子にはせいぜい誕生日のプレゼントだけだったとのこと)
父母のえこひいきを恨む中、矛先が妹にも向いて行ったのです。

 

 

【父親の没後から始まった争族】

 決定的な亀裂が生じたのはまだ相談者が小学校時で、
相次いで父母(相談者の祖父母)が亡くなった直後から始まり
相談者曰く、「物心ついたときには伯母の名前を正式に呼ぶことがなく
オニ〇〇、バカ〇〇としか聞かされなかった」とのことでした!

 なんと伯母の本名を知ったのは
その後相談者が社会人になり10数年たったころ、
姉(伯母)の葬儀のお知らせを見た時だったというから
相当根深い確執だったことが窺えます。

 父親没後の遺産相続の際には
母(妹)の言い分としては、姉は会社を丸ごと相続している。
土地も家財も全て姉名義を認めたし、その分自分の相続分が
大幅に減少している事にも文句は言っていないと主張し、
伯母(姉)の方は何十年もの間「過剰な生前贈与」を受けていたこと、
里帰りの都度、別途金銭援助もあったことも知っている。
その分は相続財産に戻すのが当たり前ではないか!と主張したそうです。

 当然ながら話し合いとは名ばかりで全くの平行線で、
結果としてその後伯母亡きあとはその娘2人(従妹)が
相談者の母親との争族を引き継ぐことになり、完全に絶縁となったのです。

 

【怨嗟は続く】

 もともと年の離れた従妹だったので
相談者が子供時代にはよく遊んでもらい、
いい印象しかなかったとのことでしたが
結局自分の母との断絶で相談者も連絡を絶ったとのことでした。

 その後最近になって
風のうわさで祖父が築いた会社は
数年前に経営不振から廃業していたことが判明。

 後を継いでいた従妹の上の一家が幕引きを行ったようですが
消息も不明で、下の従妹は連絡先は判明しているものの
連絡をしても一切返信が来ないというのが現状だそうです。

 結局、伯母の葬儀には自分の家族は誰一人参列せず
(相談者には半年後の実家帰省時に初めて伝えられたそうです!)

 相談者の母親も数年前に他界したそうですが、
上記の関係ですから伯母の家族からは参列も弔電もなかったそうです。

 

【おわりに】

 子供が生まれるまでは仲の良かった実の姉妹だったそうですが
親のえこひいきのせいで終生相いれない関係になってしまったのは
どうにもやりきれないですね。

 
 この事例は極端な事例だと信じたいですが、
如何でしょうか、親として無意識に子供への対応に差をつけていた、
意識的に差をつけていたという方はどう感じましたか?

 貴方亡きあとの争族発生だから、関係ないと言えるでしょうか?
子供への配慮と言うのもある意味「生前整理」であり、重要な終活と言えるのです。

この記事の著者

寺田 淳
寺田 淳寺田淳行政書士事務所 代表
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

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