「承継」誰に後事を託しますか?

【はじめに】承継について

 このブログの中では
終活の区分けで「さ」の中に、
「祭祀承継」があると開設時のブログで紹介してます。

 ただ、「し」の区分にも、
「事業承継」という「承継」絡みの問題を提示しています。

 その「承継」自体が、
終活の「し」に含まれるということになります。

 さて、50代、60代の貴方は
「承継」問題に対してどう考えていますか?

 

 

承継は誰にも起こる問題です

 自分はサラリーマン、事業承継なんて全く無縁。
人事異動での業務引継ぎは会社の中の話で私生活では思い当たりません。

 こういう方にも形を変えた「承継」は発生します。

 例えば祭祀承継の事例では
郷里にある代々のお墓を誰が管理を引き継ぐか?

 郷里の親族が亡くなり、
代々の墓を誰が面倒を見るか?
こう言った話はそれほどレアケースではないようです。

 私の体験では、
この手の話が出た際に尋ねてみたところ、
「まだ下の弟が郷里で暮らしてますから墓の承継は彼に託します。」
との答えでしたが、相談者は既に80才、弟さんは78才でした。

 事業承継の相談の事例でも、
自分の子供には継がせることがないため、
同時期に創業した業界の仲間に事業を受け継いでもらう予定、
とのことでした。

 この事例でも相談者が75才で
後事を託す予定の業界仲間の方は、なんと82才でした!

 

 個人事務所を経営する場合等は業務の承継も絡んできます。
私のようなひとり事務所で、私に何かあれば、依頼されていた業務は
その時点で白紙に戻ってしまうリスクがあります。

 依頼された業務内容によっては、
同業の士業従事者や他士業の方との連携、提携で
業務遂行の安全を確保することもあります。

 

 如何でしょうか?
仕事の種類に関係なく、また仕事以外の生活の場でも
何らかの承継発生は起こり得ること、ご理解頂けたでしょうか?

 

 

託したい相手は同世代?

 誰かに後を託したい、継いでもらいたいという場合、
どうしてもまるきりの他人や、その道に明るくない人には
継いでもらいたくない、又は大きな抵抗を感じる、
この点は人情の一面として理解は出来ます。

 ですが、だからと言って60才以上の方が
「同世代」や「年上」に託すのはどうでしょう。

 

 確かに、人の寿命は必ずしも年齢順でないことは理解出来ます。
ですが、自分と同世代、またはそれ以上の高齢者となれば、
自分より先に亡くなる可能性は高いものと考えておく必要があります。

 先に紹介した私の業務の場合でも
安心という面から考えれば、経験豊富な業界内のベテランとの
提携を思い浮かべます。

 ですが、その方が高齢であった場合、
肝心な場面では後事を託せなくなっているケースも
大いにあり得るのです。

 

 仕事以外のケースでも、
例えば「後見」問題にも発生する問題と言えます。
 
 仮に、任意後見を考えた場合に
多くの方は最初に配偶者の名を挙げます。
概ね年下で、健康面では今の自分よりは健康、だからでしょうか?
中には年齢の近い兄弟姉妹の名を挙げるケースもあります。

 ですが、最初からただ一人しか想定していませんと、
ここにも先に挙げた「順番が逆になる」ことの問題がついて回ります。

 上記のような業務や後見問題の場合において、
後事を託す対象として理想的なのは、
年下で、かつベテランを承継者にすることです。

 

【おわりに】承継は二段構えで

 先に述べた年下の承継候補者の場合、
出来ればひと回り年下、または息子・娘世代の同業者も
候補として考えたいものです。

 当然ですが、ただ若いだけでは業務の遂行に一抹の不安が生じます。
理想は若いうちから仕事に従事してきたような「年下のベテラン」です。

 こういう人材ならまず理想的と言えるでしょう。

 無論、一回り下であっても急逝のリスクはないとは言いませんが、
その時点で健康状態に問題なければ、安心度はより確保されると考えます。

 その際には、自分ひとりの判断で決めることはせずに、
複数の同業者や取引先から信頼に足る人物であるかどうかを確認するべきです。

 どうしても自分の知る範囲では年下のベテランがいない場合であれば、
同世代、または上の世代のベテランの人脈に頼るべきです。

 複数の立場の異なる人物からの評価が一致するならば、
後事を託すに足る人材の候補としてみても問題はないと思います。
 

 その為にも、
特におひとり様で個人事業に従事されている場合、
積極的に人脈の確保と拡大を意識して
人材発掘の選択肢を拡げる活動をすることが欠かせません。

 その際には、理想的な一人を見出しても、
出来る事なら、もう一人の候補を選別しましょう。

 若い世代、かつ複数名の承継候補者を用意する。
実に難しいことではありますが、安心度は比較になりません。

 

 冒頭に挙げたお墓の承継に関しても
親族に該当するような人物がいない場合等は特に、
墓のある菩提寺や、当該の自治体へ足を運び
次善の策について相談を始める事が大切です。

 公私にわたって、自分から行動を始める事。

 これもまたおひとり様の終活には
欠かせない要件のひとつだと私は思います。

この記事の著者

寺田 淳
寺田 淳寺田淳行政書士事務所 代表
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

主に以下のSNSで各種情報を随時発信しています。
フェイスブックページ「50歳からの人生設計相談室」
ブログ「新・先憂後楽」
コラム「マイベストプロ東京」
行政書士の寺田淳がマイベストプロ東京で相談受付中

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