空き家管理での注意事項として

【はじめに】

 早いもので気が付けばもう12月ですね、
炎暑でへばっていたのがつい最近のような気がしますが
時間は師走に向かって加速してます。

 12月最初のブログは、空き家管理についてです。

 一般的に言う「空き家の管理」となると

郵便物の回収と内容のチェック
戸建て一軒家の場合、庭の草むしり
室内の空気の入れ替えの為の窓の全開
庭木の枝の伸び具合の点検

入院、入所中の親に頼まれて衣類や愛用品を
持ち出して親元に届けるなどでしょうか?

 無論これらは重要な空き家管理の項目ではありますが
これ以外にも注意を要することは少なくないのです。

 実際に思わぬトラブルに遭遇した方から集めた
事例を紹介したいと思います。

 

【驚愕の水道料金】

 3か月ぶりに実家整理に出向いたところ
郵便受けにあった水道の検針票に驚愕、
なんと30万円近い請求額と水道局からの通知書でした。

 いわゆる異常な使用実績なので元栓を閉鎖しています
早急に連絡をといったものでした。

 以前のニュースで
学校のプールに注水していたまま開栓のまま放置され続け
膨大な金額請求があったことが採り上げられていましたが
それのマイホーム版、というものでした。

 室内、室外にある蛇口はすべて固く閉まっており
部屋が水浸しといった惨状はなかったのですが、
過去の経験上から水道局スタッフが口にしたのは
「地下の水道の配管が破裂している」というものでした。

 築50年になろうとしている家屋、
当然付帯設備も経年劣化は生じていて当たり前です。

 現に元栓を閉めた後には異常漏水は無くなったそうです。
ただ破裂箇所を確定するには大規模に敷地内の配管を掘り出しての
視認で確認するしかないとのことで専門業者と機材が必須で
相当額の費用が発生しますとのことで、提案されたのが
「このまま空き家のままならば、修理せずに訪問時にその都度元栓を開いて
用事を終えたら確実に元栓を閉めるようにするのが妥当では?」でした。

 いずれはここで暮らすというならば本格修理は必須でしょうが
その予定もなく、せいぜい年に2,3回の様子見であれば
来訪時の元栓の開閉で対応するのが現実的な解決だという事で
この方は提案を受け入れたそうです。

 貴方の実家の水道の検針票は毎回チェックしてますか?

 

【電気・固定電話】

 同じように電気の使用量も毎回チェックしましょう、
まさかとは思いますが「盗電」の可能性は皆無ではありません。
特に周囲も空き家が目立つようなエリアでは事前に発見されることも
期待出来ません。 さらには漏電ともなればもっと危険な状態です。

 最近では都心の空き家にも野生動物による配線の切断や
かじられた跡が発覚したといった「獣害」も珍しくありません。

 さらには差しっぱなしのコンセントに積もった綿埃等での
失火といった笑えない事態も発生しています。

 無駄な配線はコンセントから外す、
 野生動物の侵入の痕跡を調査する、

 万が一に備えることは空き家保全のためには
欠かせない行動案件でしょう。

 当然ですが、全電源をオフにする場合、
冷蔵庫の中身は空にしておくことと
固定電話が不通になること(呼出音は鳴りますが留守電は機能しません)
を忘れないように。

 さらに空き家状態を決定した際に
継続か廃止かで迷うのがこの固定電話の扱いです。

 まだ空き家になって新しい、1年以内であれば
各方面からの電話連絡は必ず出てくるはずです。
各種の契約更新の可否の確認、不在連絡、友人からの連絡、
場合によっては役所で相談したことへの返答が
固定電話宛に来ることもあり得ます。

 「もう使うことはない」
 「自分たちは使わないから」
 「基本料だけでも電話料金がもったいない」

等の理由で即時撤去してしまえば、
関係者は親への連絡がいきなり取れなくなります。
却っていろいろな手続きが面倒な事態になることで
新たな面倒ごとが増えるのではないでしょうか?

 

【濡れ縁・雨戸】

 日本家屋の場合縁側に濡れ縁が設置されているケースがあります。
これが案外曲者で、木製の縁台は腐食の恐れから逃れられません。
事例ではいつものつもりで何気なく縁側に出た途端に板を踏み抜いてしまい
足首を痛めたのです。そのせいで緊急搬送され入院となったのです。

 おまけに交通アクセスが良くない地区だったので
この方、毎回マイカーでの訪問だったのです、
当然クルマは路上放置状態に、田舎なので車上荒らしは
いなかったようですが、自分ではどうにもできず
膨大な運転代行費を払って帰宅したそうです。

 同じような例として雨戸が変形しており開けられない
何とか開けたら今度は全く閉まらなくなった
これも経年劣化、経年変化で生じた不具合です。
(一部の事例では直前に発生した地震後に雨戸の開閉に
支障が出たようで、この点も要注意でしょう。)

 さらに戸袋内に鳥の巣が出来ていた、巣作りの為の
枝葉が山盛りになっていた、最悪だったのがハチの巣が出来ていて
役所にSOSをする羽目になったなどのトラブルもあったのです。

 仮に2階建ての家屋なら何部屋あるでしょう?
部屋ごとに雨戸が設置されていたとしても
毎回すべての雨戸を開放することはないのでは? 
都合のいい部屋だけ開放して空気を入替している。

 それを長年繰り返してれば
閉鎖されたままの雨戸はどんどん何か(動物や昆虫)に侵食されます。

 定期的にチェックをすることで被害は最小限に留めることが出来ます。

 

【玄関のカギ穴】

 鍵穴は金属製ですが、ここも腐食=錆びつくことがあります。
流石に表玄関ではそういうことはないでしょうが
裏口や勝手口のある家の場合、ほぼノーマークの筈です。
いざ何かの必要があって開けようとしたところ、
鍵が全く挿入できなかった為、鍵穴修理や鍵交換をせざるを得ず、
その結果想定外の高額請求で顔面蒼白になった等のリスクがあります。

 

【この夏に生じたトラブル】

 最後は偶発的かもしれませんが、
この夏に空き家整理で実家に出向いた方の事例です。

 ひとつは15分程度庭の草むしりをしようと
無帽で飲み物の用意もせずに取り掛かったのです。
ですがこの草むしり、やってみると時間が早く進みます。
私自身せいぜい10分程度と思ったら30分以上も草むしりに
没頭していたことがありました。

 もうお判りでしょうが、
気付いた時はこの方、熱中症でした。

 本人の話では全く自覚症状はなく
次第に体調不良になったのでもなく
いきなり目の前がぼやけて視界がホワイトアウト
気付いたら仰向けに倒れていたそうです。

 さらに熱中症は炎天下の屋外だけではないのです。

 このケースでもごく短時間で室内から必要になった書類や書籍を
取り出すだけだからと雨戸をあけず、エアオンも稼働させずに
室内を探し出したのですが、案の定3分ほどで滝のような汗が吹き出し
それでも今さら空気を入れ替える、エアコンで涼むまでのことではないと
そのまま作業をしていたところ、突然全身の力が抜けて座り込んだまま
動けなくなったそうです。

 この方、その時に限って一人で出向いたので家族が発見することもなく
たまたま家の前にクルマが停まっていたことで近所の知り合いの方が
やってきたことで異変に気付き、搬送されたのです。

 この方も発症のその時まで汗以外の不快感の自覚症状がなかったのです。
あくまでも異常な炎暑の夏という条件下での話ですが、
来年以降も猛暑の夏や炎暑の長期化が予想されています。
自分の体力と正確な時間管理で最悪な事態だけは避けるようにしましょう。

 

【警備保障の落とし穴】

 実家でひとり暮らしをしていた老親が
入院や入所となった場合、安否確認を始めとする警備保障の契約を
結んでいた場合にも注意が必要です。

 安否確認の場合はトイレのドアの開閉の有無や
冷蔵庫のドアの開閉などで安否確認をしますが、
契約の件を子供が知らないと長時間の応答なしの状態から
警備保障のスタッフが駆け付けることになります。

 私が尋ねた警備会社での対応ですが、
一般的にはまず契約してある電話に安否確認の連絡を入れ、
電話応対がない場合に駆け付けるとのことでしたが、
いきなり電話に出たのが面識のない子供と称する人物であれば
結局は現状確認のために駆け付けるそうです。

 また防犯契約の場合、
正面玄関から勝手口、死角になる箇所の窓などに
センサーを設置して反応があれば(侵入者を検知すれば)即送信されます。
これに気付きませんと、当たり前のように合鍵で正面から実家に入ったとたんに
不審者と認定されて警備会社がやってくるのです。

 これが少々厄介でして、例えば事前に明日の何時ころに実家へ入るので
その時だけ警報を止めて下さい、というのは出来ないそうです。

 ある会社では「月一回程度でも定期的に空き家に出入りする場合、
防犯契約が結べない。」といったニュアンスを伝えられました。

 契約上は年単位で空き家状態の場合の「保証」というのが
原則なのである意味月一度のように「頻繁な」実家訪問の場合は
本来業務にも差し障りが生じる恐れがあるそうです。

 空き家だから警備契約を結べばいい、
といった考えもそれなりの前提を考慮しなくてはいけないのです。

 

【終わりに】

 ここまで紹介した他にも当事者には死活問題な案件はあります。
最も多くの方が口にしたのが、昆虫類との不意の遭遇でした。
いわゆる「G」との遭遇には男女、年齢問わずに恐慌状態になるのです。

 手ぶらでの遭遇ならまだしも、両手に荷物を持っていた
小休止の為にお盆に茶菓を載せていた時の遭遇で少なからず
物心両面に損害を生じたそうです。

 他にも蜘蛛やセミで驚いた結果で転倒しケガをした
処分し忘れだった生ごみの中にいろいろな虫が蠢いており
それを見てしまった奥様が失神したなど、馬鹿に出来ない事態です。

 虫の中ではシロアリだけは自分での対策が出来ない案件です。
これも定期的な訪問でチェックをすることで最小限の被害で
留めることも可能です。放置すれば家屋には最大級の損害が生じるのです。

 これが集合住宅、特にマンションであれば
かなり発生の危険性が削減されますが、現実問題として
郷里に築年数の古い戸建ての空き家を所有している場合は
今解決すべき問題として対処しなくてはいけません。

 出来るならばまずはこの年末年始の仕事休みの際に
空き家訪問で探し物や整理整頓を始めては如何でしょうか?

 ここで紹介したリスクを事前に認識して
効率的な空き家管理をされますようお願いします。

この記事の著者

寺田 淳
寺田 淳寺田淳行政書士事務所 代表
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

主に以下のSNSで各種情報を随時発信しています。
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