少し視点を変えた終活で資産の有意義な活かし方

【はじめに】

 「資産を悔いのないように減らしたい。」

 相談者は後期高齢者の男性で
子供はいなく、早くに奥様を亡くされ、
相続権のある親族は無しの「おひとり様」でした。

 悔いのない=有意義な資産の活用について
やり取りの一部を紹介したいと思います。

 

【もう増やす意味がない?】

 いろいろ事情を伺ったところ、
実に羨ましいことに若い頃から堅実な生活を続けてきて
酒やギャンブル、クルマや高級オーディオ収集等の
おカネのかかる趣味とは無縁だったことで財産を自然に増やしたそうです。

 住宅ローンや高級車のローン等も無く(または既に完済)
借金もないという「リアル・悠々自適」状態でした。

 人生の終盤に差し掛かったという自覚を持ったことで
資産運用(投資信託等)も全て規約し現金化していました。
~運用も全て黒字で大幅な評価増のまま換金出来たそうです。

 

【正解のない問いかけ】

 多くの方にとってはぜいたくな悩みでしょう。
少しでも資産を残したい、増やしたい、
その為に70代でも働く生活を続けたり
年金の運用などで生活費の足しにする等で
四苦八苦しているのが現状と言う方は
少なくないはずです。

 ですが、この方のように多額の資産を有していても
遺す相手がいないという状況も悩みが尽きません。

 一時期この方はある種の宗教団体と親しくなり
寄進、献金もいいかと思ったそうですが、
昨今の宗教団体の問題行動を目にしたことから
行動に移すことはしなかったそうです。

 同様に各種の慈善団体への寄付についても
なかなか全幅の信頼が置ける団体に巡り会えず、
これも今一つ乗り気ではないようでした。

 その状態で相談に来られたという事でした。

 

【自分の為に活用】

 まずは年齢的にも、おひとり様という状況からも
終活への対応を真剣に取り組むべき時期という事を説明し
生活習慣や住環境の見直しを提案しました。

 堅実な生活をしてきたことがはっきり分かったのは
家具や家電品などは殆ど10年以上、20年近く愛用しており
今でも正常に稼働しているとのことでした。

 ですが、詳しくお話を伺うと
若い頃には苦にならなかったことが最近難儀するようになった
という話を口にし始めました。

 主なものとしては発売当初に購入した携帯を
一度も機種変更せずに使い続けているものの
過剰な機能を持て余し、操作の複雑さもあって
令和のシニア向けのシンプル機能の機種に比べ
かなりの格差があることを確認しました。

 3部屋に設置してあるエアコンも温度や湿度設定、
タイマー設定等に見劣りがあり、リモコン操作も
やはり操作性に難ありの状態でした。

 中でもよりによって寝室のエアコンのリモコンは
ワイヤレス操作対応でないものでした。

 洗濯機に関しては「乾燥機能」がないもので
別製品での乾燥機も所有しておらず
その都度2階迄自分で運び、ベランダの物干し台に
干す作業を1日おきに繰り返していました。

 多少聴力に衰えがあるという事で
補聴器を用意しているのですが、これまた
かなり大型の旧型で、現在の耳穴にフィットする
小型の補聴器も持っていませんでした。

 など等、今の貯えから見れば
全く躊躇する必要がないのですが、
「まだ使えるから」「使い慣れてるから」
という理由から使い続けているという返答でした。

 多少の不便より壊れていないものを買い替える
ということへの抵抗感、永年の使用で愛着がある
といった理由で、
「自分が我慢すればいい」
「どうせもう先は短いのだから買換えは贅沢」
と言う結論に達したそうでどうにも私には釈然としない話でした。。

 永年の生活習慣で身に付いた堅実な考えは
勿論称賛されるものではありますが、
せっかく自分の生活を楽にしてくれる、
より自由時間が使えるようになる、
健康面にも好影響を与える機会があるのに
これをむざむざスルーするのは
どうにも勿体ないことではないでしょうか?

 と言う考えをお伝えしたところ、
幸いにも真剣に受け止めてくれました。

 

【終活の意味】

 終活の行動と言うと「断捨離」がセットになりがちです。
確かに不要・無用な家財を処分するのも終活の一部ですが、
処分だけで留めることはなく「買換え・交換」といった行動で
今の暮らしをより快適なものに変えることも立派な終活です。

 余命を考えれば今のままで十分、
でも余命が何年かは神のみぞ知るです。
そしてその間、不便を我慢し続けて
窮屈な生活をあえて続ける?

 肉体的な衰えに対する為には
先の洗濯乾燥機といった労力を省くことに繋がる
新機能付きの製品に買い替えることは
決して無駄な出費ではありません。

 2階まで洗濯物を抱えての上り下り、
一歩間違えれば転倒、転落で致命傷になり兼ねません。

 エアコンに関して言えば
今の熱帯化した日本の夏には十分すぎる備えが必須です。

 細かな温度設定や湿度管理、タイマーセットや
手元操作が可能なワイヤレスリモコンは
これも下手をすれば命に係わるリスクの軽減に繋がります。

 逆にスマホは店員の言うがままに最高性能のものを買ったものの
大半の機能を今まで一度も使わないままだったので
シニア向けの必要最小限の機能だけで簡単操作が可能なタイプや
GPS機能付きのタイプへの買い替えや
料金プランも必要最小限の容量のプランで十分だったので
プラン変更も含めて買換えをするほうが今の生活には
フィットすることを説明しました。

 単純に捨てるだけで無駄を省く、
これだけでは安心の老後を過ごす事にはならないのです。

 より生活面で快適に暮らせるような設備に投資することは
無駄な出費でもなく、短い使用期間であってもそれによって
リスクを軽減するのであれば、これも立派な終活です。

 今の自分にあった快適な生活を最期の日まで続ける為の断捨離が
価値のある断捨離であり、終活ではないでしょうか?

 

 

【終わりに】

 今回のケースは「おひとり様」で
相続の問題に煩わされることがないという
やや特殊なものでした。

 一般的には複数の相続人の存在から
財産の使い方にいろいろ制約が出てきます。
これに比べて相談者の場合はひとりで自由に
使うことの悩みな訳です。

 ぜいたくな悩み、羨ましい、妬ましい…
ですが当の本人にすれば相当の額が下手をすれば
自分の想いと全く関係ない使われ方をされるのです。

 かといって散財に奔るような性格でもありません、
余計有意義な使い方は何かと悩まれたのです。

 あればあったで悩みは違う形で存在するのですね。

 今回の面談では根本的な解決には至ってません。
まず自分の快適な暮らしの確保と維持に費やしてもらい
その後のステップはまずは当人が考えて、その後に
改めて相談なりに来て頂くという事で終了しました。

 シニアに相応しい趣味や旅行など、
いろいろアドバイス出来る「ネタ」はありますので
次回の面談が今から楽しみでもあります。

この記事の著者

寺田 淳
寺田 淳寺田淳行政書士事務所 代表
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

主に以下のSNSで各種情報を随時発信しています。
フェイスブックページ「50歳からの人生設計相談室」
ブログ「新・先憂後楽」
コラム「マイベストプロ東京」
行政書士の寺田淳がマイベストプロ東京で相談受付中

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


生前整理

前の記事

3つの生前整理とは?