
【はじめに】
この2,3年で各種のマスコミが「終活」「生前整理」を
採り上げたおかげ?でしょうか、
今では40代からの終活相談や生前整理の進め方についての
相談も珍しくなくなりました。
ひとことで「生前整理」と言っても
大別すれば3つの生前整理があります。
親が行う生前整理
子が行う生前整理
親子共同で行う生前整理
今日はこの話題を採り上げたいと思います。
【親が行う生前整理】
言い換えれば「親にしか出来ない」整理です。
私が立ち会った中では奥様に先立たれた男性の方が
故人の遺品整理や自身の身の回りの整理に消極的です。
自分では使うはずもない(使いこなせない)料理道具や
着ることもない故人の着物や小物なども手放せない。
故人の思い出と関連付けて自分のものでも、
もう身に付けることもないような
若い時代の衣服や装飾品までも整理の決断を先延ばしにする。
この点は却って夫に先立たれた妻の方が時間はかかっても
不用品は不用品としてキッチリ整理することを躊躇しませんでした。
とはいえ、それなりの時間がかかる事には変わりはありません。
夫婦の思い出は夫婦の間でしか共有できませんし、
そこに存在した品々については子供が口を挟むことは
却ってトラブルの火種となり兼ねません。
出来るならば夫婦が健在の間に、
お互いの不要な品々をチェックして
双方の了解の下、順次整理するようにしたいものです。
さらに重要なことは、財産の総ざらいです。
何度もここで書いてきましたが、
「いつか話さねばいけないな…」
「さて、田舎の不動産の名義はどうなっているかな?」
「まだ準備するには早い、自分は元気だし」
等の先延ばしの理由をタテに重要な案件を伝えないまま
何年も何十年も放置することです。
中には配偶者にも伝えていなかったという事例もあり
多くの場合田舎の名義変更も滞ったままの山林の存在に
その後大いに手間と時間を強いられたといった最悪のケースも
あり、対岸の火事ではなく、明日は我が身で早急に情報を整理し
少なくとも情報の共有を図ることを考えて欲しいのです。
親の生前整理はモノの整理以上に
親から子への情報の共有、伝達こそが最優先されるものなのです。
【親子共同で行う生前整理】
代表的な事例としては「住まいのダウンサイジング」です。
子供が独立し、自前で新居を持ったことで
実家に暮らすのは夫婦2人きり、というのは今や当たり前になってます。
2世帯同居、3世帯同居と言った家庭環境はもはやレアケースです。
昭和の時代は、宅地開発や鉄道路線の延長などで
郊外のニュータウンが乱立し、戸建てのマイホームが注目の的でした。
片道2時間の通勤地獄もまだ若い年代のうちは苦にもならず
周辺住民は皆同世代で適度な距離間での付き合いも出来たものが
地域全体が仲良く老化し、子どもが家を出て独立し、今では
高齢の夫婦か、遺された一人だけが暮らす地域になった。
交通インフラも比例するように統廃合や本数削減が始まり
集客減少の結果、生活用品の購入にもクルマが必須となった場合、
さらに肝心の医療機関までもが統合によって遠距離になった等で
老夫婦だけの暮らしには不適格になったマイホームの始末が
親子共同で考えるべき最重要課題に一つと言えるでしょう。
価値が下落したとはいえ、まだまだ家と土地は立派な不動産財産です。
親が生活に便利な都心・駅近の2人用マンション等に転居する?
または健全なうちに介護付き施設へ入所し空き家となった実家を売却?
子供が実家に戻り2世帯で昔のような暮らしを再開させる?
その為のリノベーションを親子で検討する?
実家から退去はするものの売却はせず、
リノベしてレンタル物件として資産運用を図る?
築年数や立地条件、立地エリアやインフラの状況など、
いろいろな角度から不動産の活用、あるいは売却を検討するのは
親子が健在な期間に行うべき生前整理の代表と言えるでしょう。
子として「価値のある相続財産」としてみるか
「負動産化必至のお荷物」として考えるかで対応は大きく変わります。
親として「自分の代までは所有し続けたい」のか
「将来に禍根を残したくないので自分の代で売却するも良し」なのか
お互いの想いを語り合い、最適と思われる選択肢を
絞り込むことで最大の生前整理案件である不動産問題は
かなりの負担減となるはずです。
【子が行う生前整理】
では子供世代が行う生前整理とは何でしょうか?
親の意向を無視しての家財等の処分?
以前の自分の部屋限定での家財などの処分?
生前贈与による実家の名義変更の強行?
今の住まいの主である親の意向を無視しての行動は
生前整理とは言えませんし、
自分が暮らしてきた部屋だけの整理と言っても、
やはりそこにも親の思い出が詰まった場所なのです。
上記の3つは全て子供の専横と言えるでしょう。
子供世代が出来る生前整理とはズバリ、自分たちの生前整理、
親にして欲しいことをまず自分たちが率先して行うという事です。
家庭を持っているならば家族構成から財産一覧、
公私にわたる友人知人の一覧や銀行口座・各種の保険契約等の情報、
要は自分たちが親から入手したい情報を先に親に伝えることで
親の自発的な生前整理を促すという事です。
情報を提供することに抵抗があるならば
せめてエンディングノートの様な記録を作成して
自宅に保管、または貸金庫等に預けてあること等を
伝えるだけでもいいでしょう。
親の承諾があった上でという前提付きであれば
以下のような具体的な行動も子が行える/行うべき
生前整理のひとつと言えるでしょう。
貴重品や趣味品、書籍等の鑑定を必要とした場合
親に代わって依頼をすることや不動産の鑑定等も
親の承諾の下に適当な専門家を調べて仲介をする。
スマホの契約や通販を利用している場合には
解約の方法、手続き等の確認を親に代わって
調べておくこと等もこの手の情報に疎い親の生前整理の
代行を行うことになります。
前項で書いた住まいの転居にしても
第二の住まいについての情報収集や内見等を
場合によっては親に代わって実行することも
体力があってフットワークが軽い(はず)
子供世代が出来る生前整理と言えるでしょう。
親が外出困難な状態であれば
特にこの手の行動を早い段階で提案し
実際の行動に移れるようにしておくことも
子が出来る行動です。
なかなか親の方からこのような作業を
託すという事は言い出せないものです。
何とか自分たちで片付けたいと思ってはいても
行動に移れなければ全く事態は動きません。
親の健康状態によっては
先に挙げた親が行う生前整理の全てを子が代行する。
こういうケースもあるという事は覚えておいて欲しいものです。
【終わりに】
終活の一環として生前整理の意識が高まったのは
年代を問わずいいことだと私は考えています。
かくいう私も50代半ばになった頃から
年に一度、自宅の大掃除を習慣とし始めたのですが
たった一年で衣類や書籍の増加は驚くほどでした。
購入時にはさほど意識しないままクローゼットや
書棚の空きスペースに押し込んでお終い!でしたが
気が付けば、ゴミ袋1つや2つでは足らないくらいの
不用品が出てくるのです。
これ以外にも通販の宣伝に乗せられて衝動買いした健康グッズや
生活便利品等も大半は半年後には家庭内のごみと化しました。
一応健康体の私でも、僅か一年の期間の整理でも
かなりな労働を毎回強いられてます。
これが3年、5年、10年、20年と 放置を続けたとすれば…?
見ただけで戦意喪失になってもおかしくはありません。
ここに各種個人情報の把握と整理という難問も出てきます。
これも私の事例ですが、
自分が契約したくせに、いざとなると記憶は覚束なく
記録したはずのノートが見当たらない、
記載内容がメンテされてない等で
一からやり直す羽目にもなったこともありました。
特に相続人が私のように一人の場合、
全ては一人の双肩にかかってきます。
ある相談者は生前整理に続く終活を
トランプのババ抜きに例えて
「手札が揃わず、
手元にあるジョーカーは誰も引かないまま
大量のカードを持ったまま一人負けでのゲームセット」
になることをイメージして
親や兄弟にその旨を伝えて家族会議開催にこぎつけたそうです。
肉体的に負担のかかる形のある物質的な生前整理もさることながら
各種の個人情報等の形の無いものの生前整理はより手間がかかります。
後者の場合は特に親の判断力が正常なうちでないと
解明自体が相当困難な状況に追いやられることは言うまでもありません。
ここで紹介した3つの生前整理には決まった順番はありません。
取り組みやすいことから始めて必ず次の整理に繋げることで
最終的には貴方自身が救われるという事、よく認識して欲しいものです。
この記事の著者

- 寺田淳行政書士事務所 代表
-
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。
主に以下のSNSで各種情報を随時発信しています。
■フェイスブックページ「50歳からの人生設計相談室」
■ブログ「新・先憂後楽」
■コラム「マイベストプロ東京」
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