
【はじめに】
依然として高齢者による自動車の暴走事故、
アクセルとブレーキの踏み間違いが原因と思われる
事故が後を絶ちません。
今日は終活のひとつでもある
自動車免許返納について紹介したいと思います。
【返納を検討すべき主な兆候】
警視庁のHPに詳細なチェック項目が掲載されていますが
その中から主だったものや返納を考えた方からの事例を紹介します。
・出かける際にクルマのキーや免許証の場所を忘れる
・道路標識の意味を思い出せない(速度標識の下の矢印の意味等)
・外出先で駐車した場所を忘れる(大型商業施設の立体駐車場等)
・運転中に肝心の行き先を忘れた
・逆走をした、しそうになった(一方通行の標識を認識出来ない等)
・車庫入れの際に車体を壁にこするようになった
・駐車の際に枠内にピッタリ収まらなくなった
・車線変更時や交差点での右左折の際に不意の車や歩行者に驚いた
私の聞き取りの中では自宅の駐車場で何度も切り返しをしなくては
まっすぐに駐車できなくなった、ついに自宅のガレージで壁面にぶつけた、
その次が走行中に路肩の標識や路面の表示に注意を払わなくなった
または見たもののその意味するところが分からなかったまま走行した
という明確な能力低下を実感した時に返納について考え始めたようです。
参考までに警視庁のHPにリンクを貼りますので
詳細を知りたい方は下記を参照して下さい。
やってみよう!「運転時認知障害早期発見チェックリスト30」 警視庁
【返納の手続きは?】
仮に上記のような傾向が続いたことで
円満気味に免許返納を決断したとしても
肝心の返納手続きを本人が知らない、家族も知らないでは
気持ちは萎える一方です。
手続きが分からない、知らべるのも面倒、
この結果、せっかく返納に傾いた気持ちが保有の継続を正当化し
うやむやにしてしまうケースもありました。
まずは手続きについて知っておきたいものです。
返納自体は最寄りの警察署、運転免許試験場、運転免許センターへ
免許証を持参し、提出するだけで済むことです。
ですが、返納時に「運転経歴証明書」の交付を申請することも出来ます。
運転経歴証明書は身分証明書として用いたい場合に利用出来るもので
例えば専業主婦や会社をリタイアして肩書のとれた方などの証明書として
利用が可能ですので、知っておいて損はないでしょう。
他にも東京都ではこの証明書を65歳以上のシニアが提示すれば
シニアカーや自転車の購入時に割引が適用されたり
メガネや補聴器の購入時にも割引が適用されますので
この点でも申請を検討する価値はあるでしょう。
以下に当該のサイトにリンクを貼りましたので
詳細はここから参照して下さい。
高齢者運転免許自主返納サポート協議会加盟企業・団体の特典一覧 警視庁
手続きについては都内で言えば鮫洲、江東、府中の運転免許試験場、
運転免許更新センター、警察署で交付申請が可能で事前予約は不要です。
但しこの証明書の申請時には
写真(縦3センチ、横2,4センチ)を1枚、
手数料として1,150円、
当該の運転免許証が必要となります。
また既に失効、返納済みの方が申請する場合には
マイナカードなど住所・氏名・生年月日が確認出来る
公的な証明書が必要となります。
加えてこの場合の申請可能な場所は運転免許試験場と
島しょ部の警察署のみですので注意が必要です。
【自主か強制か?】
病気や事故によって運転が不可能になった事例を除けば
本人が納得の上での自主返納は少数派でしょう。
怪我や病気になった場合でもそれが左足であれば
オートマ車の運転自体には問題ありません。
中には癲癇や心臓の持病を発症しているのに
自主返納はせず、病気を隠して運転を続けるといった
危険極まりないケースも無い訳ではありません。
家族や周囲からの強制返納を迫る場合、
この様な疾患が認められる場合には
粘り強い説得や全員からの懇願も意味を持ちますし
効果もそれなりに期待出来ます。
最大の難問は、歳のわりに元気な高齢者です。
さらに免許取得から50年間無事故無違反ともなれば
周囲の説得や圧力など屁のカッパでしょう。
家族側にしてもあまり刺激を加えると
逆鱗に触れて遺産相続の際に不利になるのではと
最後は腰砕けになったと云う話を聞いたこともあります。
自主にしても強制にしても
結局は本人の考えが最大の課題となるのです。
【なぜ返納を渋る?】
渋る理由は以下のような当人の想いに起因します。
まだまだ安全安心な運転は出来る
他の同世代はともかく私はミスなどしない
ゴールド免許歴何年と思っている!
この様な自信家でも
実はかなりの数で内心に不安を抱えているケースがあります。
~走り慣れた道で路肩に乗り上げた
~最近は車庫入れが一発で決まらなくなってきた
~一時停止の標示を見落として直進した
~車線変更時に後続車に気付かずヒヤリとした
~やはり衰えは否定出来なくなってきたか?
ですが、次の瞬間には
~あの日は疲れが溜まっていたから
~路面が濡れていて見難かったから
~たまたま考え事をしていたから
~だからまだまだ大丈夫なんだ!
等の様な正当化に転換させます。
ですが重大な事故を起こした後、
実は最近…と上記のような事実を口にしても
何の意味もありません。
他の理由となれば切実なものも出てきます。
何と言っても生活の為の足、生きるための必須アイテムだ
通院する家族の為に毎日運転が必要
最近バス路線が廃止、本数削減で通勤に支障が出ている
残念ですが
このような理由の場合に個人での対応は難しく
行政が対応を考えるべき問題となりますので
ここではこの理由への対応については記載出来ません。
少数派の意見では
クルマが好き、ドライブが趣味、生きがい
といったケースです。
ごく一部では所有することで満足、
というコレクター気質の方もいて
運転は二の次というのであれば
返納にさほど難色は示さないようです。
さらにレアケースでしたが
ひとり暮らしの高齢者の方で
地震等の天災で停電になった
(あるいは自宅損壊など)場合に
クルマがあれば移動も容易で
エアコンを使えば体調管理にも役立ち
ラジオがあるため情報収取にも便利、
さらにプライバシーの確保にも
自家用車を手放せないという事でした。
要は「緊急避難小屋」として
維持するという考えもありました。
では冒頭の紹介したような
(自称)自信家の免許返納については
どういう対応が考えられるでしょうか?
【オートマ車について】
暴走事故の場合、車種までは判明するものの
オートマかマニュアルかまでは報道されていません。
個人の推測ですがほぼオートマ車だと思います。
マニュアル車であればエンストするはずですから。
ブレーキと思って踏み込んだら加速した!
ブレーキが効かないと思いさらに踏み込む結果・・・
傍から見ただけの無責任な感想ではありますが
前から疑問なのが「踏み間違い」だけなら
ブレーキペダルに足を運べずとも
ペダルから足を離す、または踏み込みを緩める
といった行動が出来ていればヒヤリ!の段階に留まり
重大事故には至らないのではという想いでした。
運転歴何十年(のベテラン)なのに
何年も乗っている自家用車なのに
なぜ踏み込んでしまうのか?
踏み込んだ足を緩めるという行動が何故出来ない?
ハンドブレーキに手をかけないのは何故?
事故の動画が残されている場合、
多くは急激な加速はしないまま
走行時の速度のまま他車に衝突したり
壁面迄ノーブレーキでゆるゆると激突、
最悪は立体駐車場等からの転落に至ってます。
この場合は恐らくですが、
クルマの想定外の動きに全身が硬直したのではと思います。
動画などを見てみるとほぼ直進状態で走っており
危険回避でハンドルを操作する様子は少なくとも私は
事故動画で見たことがありません。
踏み間違いからの更なる踏み込みも出来ないが
踏み込みを緩めるとかブレーキに脚を移動させる
ハンドルを切って衝突を避けるなど等…
こういった行動の指示も実践も出来なくなってしまう?
踏み間違いからの修正行動が出来ないことが主因では?
仮にこのような事実であるとすれば
オートマであろうがマニュアルであろうが
結果は同じになるとも考えられます。
※ただマニュアル車であれば障害物に当たれば
その時点でエンストになる可能性は高く
オートマのように衝突後もそのまま
動き続けるようなことはないとも考えられます。
【理想は自発的返納】
自主的返納の促進として
公共交通機関の優遇措置や代替身分証明書の発行等
それなりの救済措置は用意されていますが、
問題は今でも運転が出来るという自負を
払拭させるものではないという点でしょう。
以前のブログでも紹介しましたが
強制的な返納によって外出が激減し引きこもりになったり
さらに自己否定感が強まり、一気に認知症に進んだ
といったデメリットが生じていることも事実です。
最悪の事態を考えれば
理想は本人が納得したうえでの自主返納、
これをいかにスムースに浸透させるかではないでしょうか?
さて、私は以前から
高齢者ほどマニュアル車限定の運転許可にしたら?
という考えを持ってきました。
マニュアル車であれば先にも書きましたが
エンストという究極のブレーキが発動します。
ギアの状態と急なアクセルの踏み込み、
又は急ブレーキとなればほぼ確実にエンストです。
場合によっては後続車の追突を招きますが
少なくとも暴走のまま走行を続けて重大事故を
招くといったリスクはかなり軽減されるはずです。
それともうひとつは、
もはやマニュアル車のコントロールが出来なくなった
という現実を認識することで自らの限界を悟り
自動車運転を諦めるのではと思うのです。
まだ出来るという自信(過信?)があるにも関わらず
家族からのプレッシャーによって不本意に返納では
先に書いたように生きがいの喪失、自己肯定感の減少等、
多くの場合その後短期間で引きこもりや認知症発症という
より不幸な結果を招く事にもなるのです。
酷な言い方ですが、
自ら諦めざるを得ない状況に追い込む…
こうでもしませんと、自主的自発的、円満な返納は
叶わないのではないでしょうか?
【終わりに】
免許返納に関しては住環境も大きなファクターです。
クルマを手放せば日用品の買い物、通院と言った欠かせない行動に
支障が出てしまう地域にお住いの場合、本人も運転技術の衰えを
認識してきたとしても、他の手段がなければ死活問題となるのです。
交通インフラの縮小は
今では地方の中核都市でも発生してます。
根本的には行政の課題ではありますが、
解決のめどは未だたっていないようです。
ここで紹介した事例はあくまでも都心部に暮らし、
徒歩圏内にインフラが存在し、交通インフラも充実している中で
なお自動車運転に拘るケースを対象としたものと私は考えています。
足腰に不安が無ければ、自分の足で移動することで
最終的には自身の健康寿命の延長にも繋がります。
ただこれも逆の見方をすれば足腰に不安があるが為
クルマでの移動に依存する方も存在するという点です。
上記したような高齢者の免許をマニュアル限定という考えも
かなり乱暴であると自覚はしていますが、
暴走の防止に効果的という点では
私が今思いつくものはこれしかありませんでした。
この記事の著者

- 寺田淳行政書士事務所 代表
-
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。
主に以下のSNSで各種情報を随時発信しています。
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