2025年を振り返って

【はじめに】

 早いもので今年もあと僅か、
事務所の稼働も今日26日までとなりました。

 事実上の開業から15年、
あっという間の15年でした。

 毎年毎年、いろいろな出来事に遭遇し、
いろいろな経験を重ねて今に至る…

 2025年、今年最後のブログは
個人的にこの1年を振り返って記憶に残ったあれこれを
ランダムに紹介していきたいと思います。

 

【起業・独立相談者の変化】

 未だに理由は把握出来ていませんが
今年は60代からの起業・独立の相談が減少しました。

 代わりに40代半ば以降の若い世代からの相談が
増加したのが今年の特徴でした。

 この世代で目立ったのは
まずは週末副業のスタイルで起業・開業を目指す、
決して現在の仕事を辞めての「起業・独立」ではない、
いわば「複業スタイル」についての相談でした。

 ある意味命綱は確保しつつの冒険?でしょうか…

 これに対して50代以上、特に60才前後の世代は
背水の陣、で臨むケースが圧倒的でした。
既に早期退職した、来年には定年退職といった
時間制限ありきでの起業相談ですから
視野が狭くなりがちです。

 おまけに第二の仕事についての情報収集も
十分ではないケースが多く、さらに楽観的展望を
持ちがちな傾向が強かったです。

 勝手な推測ですが、
60代前後の世代の相談が減少したのは
他人に相談する事なく一気に実行に移すケースが
増えたせいではと懸念しています。

 シニア世代にとっては
本気で起業・独立に臨むのであれば
やはり第三者の意見は聞くべきです。
たとえ1日24時間かけて練り上げた計画であっても
視野が狭ければ落とし穴に気付ないままの
起業・開業となるリスクは避けられません。

 これに対して40代前後の世代であれば
早急に結論を出す必要はありません。
中にはかなり舞い上がって相談後に即実行を
考えている節のある方もいらっしゃいましたが
シニア世代とは逆に、いったん自重する冷静さを
忘れないで欲しいものです。

 どちらの世代にも言えることですが、
資格起業の場合の資格取得はスタートラインに立てただけ
店舗を持って開業してもこれもスタートラインに立っただけです。

 一度選択したコースは途中での軌道修正には
相当な努力が求められます。
シニア世代にとっては時間の制約がこれに加わります。

 慎重に過ぎてもダメ、拙速もダメ。
改めて起業・独立の相談の難しさを実感した1年でもありました。

 

 

【相続体験】

 初めて公開しますが、
今年の1月初めに父が95才で天寿を全うしました。

 昨年春から入院から入所となりましたが
幸いにも最期まで判断力は正常で
意思の疎通も出来ていたおかげで各種の情報の入手や
確認等はスムースに出来たのですが、それでも…

1)以前確認していた情報が陳腐化
  この書類はここに、友人のリストはここに
 など等、事前に聞いていたものがその場所にない!?
 再度質してみても保管場所を変えたことを忘れていた
 で、どこに移したかを忘れた。
 そんなはずはない、の一点張り。

 定期的に情報メンテナンスを怠っていた私のミスでした。

2)本人も忘れていた定期購入の存在
  1,2回で購入を止めたものの、休止状態のままで
 契約自体は継続していたものが後になって出てきた。
 幸いにも延滞金などは発生せず実害はなかったものの
 事前にピックアップしてあった記録にも未掲載では
 ある意味手の打ちようがありませんでした。

3)連絡先の住所録の混乱
  その時が来たらその旨を連絡して欲しい人のリスト
 旧友や銀行時代の同僚や部下、エリアの知人などの
 リストの作成を10年ほど間から頼んでいたのですが、
 探してみると作成日が未記入のリストが3通、
 中身が微妙に異なるものが出てきました。

  葬儀後の発覚で確認は不可能でしたので
 最大限の範囲で死亡連絡を出しましたが
 宛先不明、または親族からの当人既に死亡の返信が
 多数返ってきました。

 これ以外にもいわゆる町内会や自治会への挨拶や
近隣の故人の顔なじみだった方々への直接の報告と挨拶、
菩提寺に出向いてのやり取りなど等、肉体的作業も多々ありました。

 プライベートに関する手続きの他にも、
一般的な相続に伴う手続きである程度想定はしていましたが
お役所の受付を駆け回る事態は備えを万全にしていても
それなりの時間と手間は避けられませんでした。

 タイミングによってはたった1通の書類の提出だけの用事なのに
運悪くその窓口が長蛇の列で時間計算が大幅に狂ったこともありました。

 似たような様式の書類だったことから記載欄の違いに気付かず
窓口で間違いを指摘され再度の提出となったこともありました。

 唯一の正当な相続人を証明する手続きにも各所で相違があり
その都度事前に連絡を入れての確認作業も少なくありませんでした。

 自治体ごとに各種の手続きにも微妙な差があることも
自分が実際に体験してみて改めて痛感したことも多々ありました、
いかに机上の理論に長けていても万全にはなりませんでした。
 
 他にも遠方にある故人の本籍地とのやり取りの際にも
よりによって申請書類に記載漏れを起こしていたり
必要部数を間違えるなど、ケアレスミスも起こした為
二度手間、三度手間も経験しました。

 いくら手続きや手順が分かっていても
この手の凡ミスは起こしてしまう。
これはけっこう精神的ダメージになりました。

 おひとり様の行政書士である私のように
平日でも比較的時間を自由に使える身であっても
上記のような問題が発生しますと
大きく時間を割くことを強いられました。

 これが会社勤めの立場であれば?
 ワンオペのサービス業のオーナーであったら?
 時期的に仕事の年間最繁忙期に当たってしまったら?

 相続人が複数人存在した場合はさらに複雑化します。

 相続手続きの統括は遠くの長男か近くの末っ子か?
 遺産相続の話し合いは、遺言書の確認は?
 遺産分割協議のスケジュールは、場所は?
 誰がどんな役割を分担するのか?

 私以上の負荷が生じるのは避けられないでしょう。

 今回の経験は出来れば避けたかったものでしたが
この経験をもとに、来る2026年には
相続を始め終活全般についてより血の通った講習や
ブログでの発信が出来るのではないかと思っています。

 

【終活意識の拡大】

 冒頭の起業相談と同様、
今年の目立った変化のひとつが
起業・独立相談と同じく40代の相談者増加でした。
春先から40代(後半)からの終活関連の相談や依頼が目立った点です。

 このブログやコラムでも何度も健康なうちの終活、
行動ではなくても考える、意識することを推奨してきましたが
世間の流れもこの10年でいろいろな情報媒体によって
終活が採り上げられるケースが増えた事の結果だと思います。

 この傾向に対し残念だったのが
60代70代にはこういった変化が見られなかった点です。

 個人的には心身の健康が維持されている
最終段階?の60代や70代の方からの相談は変化なく
相談に訪れる場合は概ね自身の事故やけが、
親戚に相続発生による苦労を見たことで
ようやく腰を上げたといったケースが多く
元気なうちの相談というケースは僅かでした。

 却って70代後半から80代の方には
自分独自のやり方ですが終活準備を始めたり
既に遺言やエンディングノート的なものを
用意したので不備はないかチェックして欲しい
というケースが見受けられました。

 肝心の60代前後のシニア世代の意識改革には
未だ道半ば、というのが今年の感想でした。

 ではなぜ、より若い世代の40代50代が
所謂自分の親世代よりも積極的なのか?

 これも私の体験の範疇での推測ですが、
一向に終活に向けた行動を起こしてくれない親世代に
まずは子供である40代50代から終活開始と言った
事実を突きつけることで意識を変えたいという
間接的なアプローチのようでした。

 あまり直接的に「万が一の時に備えて」
等と言おうものなら「親の死を待っているのか!」
といった逆鱗に触れるリスクがあり
(事実この言葉選びとタイミングのミスで揉めたケースが
相談のきっかけになった事例は少なくありませんでした)
まずは自分たちがやっているのだからという行動を示すことで
親の意識改革を図るというのが実態のようでした。

 終活開始の動機はやや打算の匂いがしますが
結果的にはまだ10代20代の自分たちの子供に対しての
備えの重要さに気付くこととなってより真剣に取り組むことに
軌道修正をしましたといった声もありました。

 まさに私のスローガンである
「先憂後楽」が最も当てはまるのが
この終活の意識だと思っています。 

 

【シニアの健康問題】

 最後は私も含めて健康問題への取り組みでした。

 今年は相談者が健康を害したことで業務が延期になったり
最終的に中止になったケースが目立ちました。

 ほとんどの場合が病気ではなく、転倒による怪我でした。
中でも自宅での不注意からの転倒で入院、又は歩行困難になって
相談業務の継続が困難になったケースです。

 皮肉にも病気を患っている方の場合、
その状態を織り込んでの業務の進め方等を
想定する為、さほど影響が出なかったのです。

 他にも還暦を迎えて初めて(!)本式の健康診断を受け
その結果重大な疾患を発見、慌てて相談に駆け込むケースも
少なくありませんでした。

 これも、日頃身体に何の自覚症状がない
健康自慢の方に見られた特徴でした。

 私見になりますが、
やはり還暦を迎えたら健診は必須案件と自覚し
定期的なチェックを習慣づけることと
特に下半身、足腰の衰え防止により注意すべきです。

 私自身が約5年前、コロナ禍の直前に
不注意から転倒し左ひざの半月板損傷
という事態となったのです。

 直後は通常の歩行は困難となり
ほぼ自宅安静となってしまいました。

 おひとり様の行政書士事務所でしたので
歩行困難の身では事務所にも出向けず
無論相談者宅に出向いての相談も無理でした。

 このまま長期営業休止、事務所閉鎖、失業?
といった事態を想像せざるを得なくなりましたが
この事故の直後からコロナの感染拡大により
外出自粛、対面不可、リモート業務の推奨となり
自宅でリハビリしつつ業務を行うことが可能になり、
今もこうして行政書士として仕事を続けることが出来たのです。

 起業・独立を目指すシニア世代にとって
自身の健康は最優先で考え、守るべき課題です。

 特におひとり様での起業の場合
誰も代わりになってくれません。

 私自身健康には何の不安もない身でしたので
自分が動けなくなるといった事態は想定外でした。

 全く巡り合わせが、たまたま良かったことで
致命的な事態に陥ることが避けられたのです。

 仕事以外の場合も同じことです、
終活の準備や生前整理でも同じことで
いくら頭の中で計画を完成させても
実行に移さなければ意味がありません。

 その間に私のように事故や病気で
行動したくとも出来なくなってしまったら?

 今も膝は完治したとは言えない状態ですが
若干の不自由さを感じる度に健康の大切さを
改めて強く認識する次第です。

 

【終わりに】

 今年は年初の父親の看取りに始まるという波乱の幕開けでした。
その為、先に書いたように長期にわたって事務所は開店休業状態となり、
前述した膝の損傷時よりも大きな影響を被りました。

 相続手続きと並行しての相談業務では紹介したような
起業・独立相談も終活相談も「世代交代」とも言える
変化を感じ取ることが出来た一年でした。

 また、相続案件に関しても今までは老親の死という
事態からの相続発生だったものが、配偶者、兄弟の死といった
同世代との死別、相続発生が目立つようになりました。

 同世代はそろそろ70の声を聴く段階です。
いよいよ相続は自分の問題となるのです。

 来る2026年はどういう相談が出てくるのか?
願わくば、前向きな起業・開業や前向きな終活の
相談が多いことを望んで止みません。

 皆様にも2026年がアクティブな一年になることを祈念しつつ
今年の最後のブログを締めさせて頂きます。

この記事の著者

寺田 淳
寺田 淳寺田淳行政書士事務所 代表
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

主に以下のSNSで各種情報を随時発信しています。
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