マイナンバーカードの今 ~ おひとり様の身近な手続き

【はじめに】

  前回のブログでは
相続手続きの際のマイナカードのメリットを紹介しましたが、
今回はより生活に身近な事例を紹介します。

 いろいろ問題が指摘される「マイナ保険証」と
「公的サービスの簡便化」に関する事例です。

 

【保険証との紐付け】

 医療関係者からも紙の保険証存続を訴えるなど
未だに混乱が続くマイナ保険証です。

 ニュース等では氏名の表記が誤変換だたっとか
読み取り不可で100%自己負担を強いられたとか
課題が残されていますが、おひとり様の場合には
それを考慮してもマイナ保険証を持つメリットがあります。

 自宅でも職場でも
事故や急病で自分の意思を周りに伝えることが困難になった場合、
特に救急搬送時や医療機関での治療の際に当人の既往症や病歴、
アレルギーの有無、かかりつけ医の有無等重要項目の把握が出来ない、
又は大幅に遅れるリスクが出てきます。

 同居している家族がいれば確認をとれます。
かかりつけの病院への搬送であればカルテがあります。
ですが、出張先で、旅行先で、一見の居酒屋で
突然に斃れた場合、貴方の健康情報を知る人は皆無です。

 最適と思われた投薬がアレルギーの対象であれば
当の本人が苦しむことになります。

 それでも先に挙げた不具合の方が気になる場合には

1)おくすり手帳を携行する、またはスマホにインストール
 おくすり手帳のサイズからポケットに入れて携行するのは
 少々無理があります、カバンに入れたとしても休日の
 外出時にも忘れずに必携してなくては意味がありません。
 また処方箋薬局から提供されるシール状の明細も
 自分で常に最新のものを貼付しておかなければ
 これまた無意味です。
 せめてスマホにインストールしておけば
 自動的に情報が更新されるので
 最新の個人の健康情報(投薬の履歴、かかり付けの薬局名)が
 まとめて把握出来ます。

  但し、スマホのロックを解除しなければ情報は確認出来ません。
 当人に意識がある場合はいいですが、意識不明の場合は
 ロック解除はほぼ不可能ですので所持していないのと同じです。

2)自分でメモを携行する
 デジタル音痴でインストールなど意味不明といった
 デジタル難民には紙のおくすり手帳の携行しかありません、
 それも煩わしいというならば自作のポケットや財布に入るサイズのメモに
 過去の病歴から投薬歴、既往症、アレルギーの有無と対象物質名などを
 正確に記載する必要があります。

  ですが言うは易し行うは難し、
 いざ書こうとするとやれ投薬中の薬の正式名称を覚えていない、
 アレルギー検査の結果を忘れた、など等記憶があいまいで
 正しい内容で記載出来ない。
 これでは却って不正確な情報のメモとなり
 危険性が増してしまいます。

 特におひとり様の場合で、
持病を持っている方や重度のアレルギー症状がある方は
いろいろと信頼性に難ありとは言え、
緊急時に、本人に意識が無い状態であっても所持さえしておけば
迅速に、確実に正確な健康に関する情報の確認と提供が出来るのは
マイナ保険証だけということは意識しておくべきでしょう。

 

 

【コンビニで住民票取得】

 マイナンバーカードのメリットとして取り上げられるものに
多くの場所で住民票が最寄りのコンビニで
いつでも入手できるという点があります。

 誤解されがちなのが利用可能な時間帯で
24時間365日ではありません。

 原則として土日を含めて6時半から23時までとなっています。
但し年末年始や機械のメンテナンスの場合は対応不可となります。

 事前に自分の暮らす自治体がコンビニ交付の対応を行っているかを
確認する方が無難でしょう。

 さて、住民票を必要とするケースは何があるでしょうか?
多くの場合は相続関連の手続きを思い起こすと思われます。

 では相続手続き自体は恐らく一生に1,2度あるというのが
一般的ではないでしょうか?
 仮に市区町村役場が遠方であっても
年1回もない手続きなら負担ではない…

 それだけの為にマイナカードを作成するかと言われれば
紐付けする必要性はあまり感じないかもしれません。

 ですが、特に会社員の場合、逆に住民票取得の為だけに
会社を早退したり有休を使うことになるケースは少なくない様です。
これを考えれば、出社前に、退社後に、土日の昼間に
最寄りのコンビニで取得出来るのはかなりのメリットでしょう。

 同じ様に印鑑証明も毎日6時半から23時まで取得可能ですので
場合によっては住民票より取得の機会は多いかもしれません。

 たかが1回か2回の手間(手続き)
だから役所に出向くことは苦ではない?
~マイナカード否定?
たかが1回2回の手間の為に貴重な有休を使いたくない!?
~マイナカード肯定?

 どちらを選ぶかは個人の自由ではあります、
ですがおひとり様であれば手続きを家族に託すことは出来ません、
全て自分で行うという点は意識しておくべきでしょう。

 

【終わりに】

 今年になってから(住基カードが期限切れで)
ようやくマイナンバーカードを取得した
おひとり様の私が言うのも説得力に欠けることですが、
今回紹介した事例はマイナカード取得を後押しする項目と思っています。

 保険証との紐付けに関しては
知り合いがまさにマイナ保険証のおかげで
危機を避けられましたという事例がありました。

 この方、単身赴任中の方で
週末に赴任先で自転車でプチ旅行をした際に崖から転落!
気付いたのは病室で治療中だったそうです。
まったく初めての病院だったのですがマイナ保険証を携行して為
複数あった薬アレルギーの情報が治療前に確認出来、
適切かつ迅速な治療に繋がったというのです。

 付け加えれば
アレルギー情報は家族にも伝えていなかったそうで
下手に家族に連絡を取って健康情報の確認をされていた場合、
却って危険な状態になった可能性があったそうです。

 

 住民票や印鑑証明、ここでは省きましたが戸籍関連の証明も
条件が揃っていれば最寄りのコンビニで自分の手で取得が可能です、
業務の相談の際にこの手の書類の取得のため専門家に
決して安くはない手間賃を払って代行してもらうケースは
少なくないようです。

 自営業でも会社勤めでも
朝か晩には最寄りのコンビニに寄ってませんか?
実際出社前にはランチを、帰宅前には酒の肴を買う機会は
必ずあるはずですね。

 これまでは平日の日中という時間の障壁のせいで
手続きの代行という、当事者からすれば「無駄な出費」が
避けられませんでした。

 ですがこのサービスを利用すれば
代行といった出費の削減が図ることになるのです。

 いずれも「自分の為に」メリットとなるケースです。
大げさな表現で言えば、「命と金」をカバーするのです。

 万全の信頼を置くのは疑問ではありますが、
特におひとり様の生活にとってはメリットの面を
よく検討してもいいのではないでしょうか?

この記事の著者

寺田 淳
寺田 淳寺田淳行政書士事務所 代表
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

主に以下のSNSで各種情報を随時発信しています。
フェイスブックページ「50歳からの人生設計相談室」
ブログ「新・先憂後楽」
コラム「マイベストプロ東京」
行政書士の寺田淳がマイベストプロ東京で相談受付中

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA