あんしん居住制度をご存じですか?

【はじめに】

 いきなり出鼻を挫くようなことで恐縮ですが、
ここで紹介するのは、残念ながら東京都在住者向けのサービスです。
その前提で以下の内容を参照して下さいますようお願い致します。

 内容は令和5年7月改定版の内容を抜粋して簡単に紹介したものです。

 

 

【あんしん居住制度とは?】

 冒頭で述べたように対象は東京都にお住まいの方、
さらに都内でも島しょ部は除かれるものですが、
高齢者等とその家族、大家さんなどの不安を解消するもの
という説明がなされています。

 大別しますと、

  A)見守りサービス
  B)葬儀の実施
  C)残存家財の片づけ

 の3つのサービスから構成されたものです。

 後述しますが、当然ながら有料サービスであり、
適用にもいろいろ条件が課せられていますので
注意が必要です。

 以下に順番に紹介していきます。

 

 

【見守りサービス】

 日常生活を送る中で契約者の安否の確認や
緊急時の対応を行います。

 サービス内容は以下の3つから構成されます。

 ・生活リズムセンサー
 ・緊急通報装置
 ・携帯用ペンダント

 

1)生活リズムセンサー
 室内の通路部など頻繁に使う場所の天井等に設置、
20時間無反応の場合自動的にセンターへ通報されます。

 

2)緊急通報装置
 固定電話の近くに設置し、
契約者自身で緊急ボタンを押すと通報されます。

 他に外泊時の場合その旨を知らせる「外泊ボタン」や
24時間無料電話相談のボタンが設置されています。
これによって健康や医療に関する相談に応じてくれます。

 

3)携帯用ペンダント
 就寝時は枕元に、
入浴やトイレ時には壁にかけて置く等
上記の緊急通報装置から離れた場所での対応をします。
 あくまでも「室内使用」に限られます。
また防水機能はないので風呂場へ持ち込むのは
故障の元になりますので取り扱いに注意が必要です。

 

【見守りサービスの注意点】

 1)固定電話回線が必須です。
  このサービスの利用には必須条件となります。
 無線電話では利用は出来ませんし、
 その他の光、IP電話の場合は別途工事や費用が
 発生する場合があります。

 

 2)室内に入る場合の鍵の扱いに条件があります。
  信頼に足るご近所や親族に自宅の鍵を預けます。
 指定連絡先を予め決めておき、いざという場合に
 鍵の受け渡しをお願いするものです。

  または「キーボックス」の購入です。 
 これは有償サービスで別途7,700円が発生します。
 この中に自宅の鍵を保管し、事前に設定した暗証番号で
 サービスに出向いたスタッフが開錠し、鍵を受け取ります。

  上記の2つが難しい場合、
 事前に承諾を得ておいた窓などを破壊して侵入します。
 その際の復旧費は契約者が負担します。
 その場には警察や消防の方は立ち会っての行為です。
 オートロックのマンション等の場合は契約不可の場合もあります。

 オプションの有料サービスに、「訪問電話サービス」があります。
年間5,750円が別途かかりますが、2週間に一度指定された時間に
安否に関係なく電話連絡をするというものです。

 ただ聴覚障碍者の場合は利用は困難と思われます。

 

 

【葬儀の実施】

 あくまでも葬儀(火葬のみ)の手配をするものです。
読経や告別式は当該契約の費用には含まれていません。

 死亡の連絡はホームネット株式会社、またはまちづくりセンターが
受診します。(前者は24時間対応です)

 葬儀の実施方法についての確認をホームネット(株)が
「指定連絡先」に確認を行います。

 
 具体的な作業としては、

〇 死亡診断書の受け取り
〇 区市町村からの死亡診断書の提出と火葬(埋葬)許可証の交付申請
〇 病院等から火葬場等への遺体搬送(車両費用含む)
〇 火葬の実施(火葬費用、火葬場費用含む)
〇 指定連絡先、又は親族へ遺骨の引き渡し(骨壺含む)

 最後に記載した遺骨の引き渡しですが、
おひとり様で引き取り手がいない、又は埋葬する墓がない場合、
東京福祉会の「慰霊堂」に合祀となります。

 また指定の霊園や墓地がある場合は
先方の承諾と納骨費用等の支払い手続きが完了している場合は
遺骨の郵送料実費の負担で郵送が可能になります。

 

【葬儀の実施の注意点】

 ここにも若干の注意事項があります。

 この契約は当事者である本人のみが対象です。
仮に自宅にある位牌や、手元安置していた親族(両親等)の
遺骨はサービスの対象外ですので特に注意が必要です。

 これに関しては契約者の自己責任で
生前に納得のいく処置をすることが必要になります。

 最後に愛玩動物の面倒も対象外ですので
いざという場合の受け取り相手を自己責任で、
事前に確保することが求められます。

 

 

【残存家財の片づけ】

 サービスの流れとしては先の葬儀と同様に
死亡連絡をホームネット(株)やまちづくりセンターが受信し、
ホームネット(株)が指定連絡先に片付け方法等を確認します。

 次に指定連絡先の方と共に
荷物量の確認と把握、片付けの実施日を決めます。

 契約者が事前に指定した物品や金銭等については
その指定連絡先の方に片付け実地の前までに引き取ってもらいます。
仮に指定先がない場合は、まちづくりセンターが1年間保管します。

 実施日には室内の残存家財の全てを片付けます。

【残存家財の片づけの注意点】

 大前提は
「指定連絡先を立てられなければ契約は出来ません。」

 おひとり様にとってはこの前提はかなりのハードルと
思われます。親族以外でこの手の作業を快諾してくれるような
友人知人がいるケースはかなり限られるのではと思います。

 次に、死亡時のサービスであるというのがやはり大前提なので
引っ越し(介護施設への入所や子供宅への転居等)には
適用されませんで、契約の解除となります。

 前述しましたが、ペットの始末、位牌や仏壇、神棚は
生前に自己責任での対処をする必要があります。

 賃貸暮らしの場合、賃貸契約の解約、公共料金等の解約は
対象外となります。

 まちづくりセンターで1年間保管した金銭他の家財は
1年経過後も引き取り手が現れない場合に同センターの
公益事業会計への寄付扱いになります。

 

 最後に、具体的な線引きは示されていませんが、
住まいの状況によっては片づけを引き受け出来ない場合も
あるということです。

 

 

【指定連絡先とは?】

 契約者からの申し出によって指定された方で
常時連絡が取れることが条件となります。

 親族や友人、隣家の人や成年後見人などで
1人でも複数人でも指定は可能です。

 契約者死亡の際には
葬儀や残存家財の片づけに協力が求められます。

 残存家財の片づけの際に、
予め指定された物品や金銭等を受け取ることになります。

 契約者が持ち家の場合、
契約者以外で自宅の鍵を保管している相続人や財産管理者等が
いる場合は、指定連絡先として届け出が必須となります。

 相続人(配偶者、子や孫、親兄弟、甥や姪がいる場合は
指定連絡先として届け出が必要になります。

 財産管理者、遺言執行者、成年後見人、保佐人、補助人や
任意後見人等も選任された場合には指定連絡先として届け出が
必要になります。

 仮に指定連絡先の方が死亡していた、連絡がとれなくなった、
あるいはついに指定連絡先が立てられなかった場合には、
まちづくりセンターがその業務を代行します。

 具体的には「葬儀の実施」「残存家財の片づけ」で
先にも述べたように残存した金銭等は同センターが
1年間保管し、その後も相続人等への引き渡しが出来なかった場合は
予め契約書に記載した通り公営事業会計への寄付とされます。

 また契約者が生前に契約した公共サービスの解約、預貯金の解約、
その他各種の契約の解約手続き、持ち家の場合の財産管理や処分などは
契約の対象外となります。

 

【その他の有償サービス】

〇 家財整理サービス

 これは生前における家財の整理を対象としたもので
以下のような場合に対応するものです。

 1)空き家や実家の片づけ  
  親の死後空き家で放置された実家や遠距離在住で管理困難な場合

 2)施設などへの入居
  最低限の荷物での引っ越し

 3)遺品整理・特殊清掃
  何から手を付けるか? 部屋の原状回復な

 4)ゴミ屋敷の整理
  同上

 こういった場合に対応する有償サービスです。

 事前の無料見積もりが可能なので、
まずは見積もりを依頼し、日程を決めて現地での調査、
無料見積もりの作成から契約の可否を決めましょう。

 不要な物品に関しては提携業者による買取も契約で可能で、
その場合作業料金との相殺も可能です。

 当然ですが、買取不可の品もあるので注意が必要です。

 このオプションサービスも、
対象は都内(島しょ部を除く)の住宅に限定されたものです。
  

 

【補足】

 最後になりましたが、これらのサービスの主体についてです。

〇 まちづくりセンター

 正式名称は
「公益財団法人:東京都防災・建築まちづくりセンター」です。

 相談の窓口を担います。

 ・制度の説明
 ・サービスの選択
 ・契約の申込み
 ・料金の納入

 相談の受付は平日の9時から17時まで
 連絡先は 03-5989-1784

 

〇 ホームネット株式会社
 
 具体的な業務を担います。

 ・サービスシートの作成
 ・見守りサービスの機器の設置

 

 HP内にある利用者の声には
~組織が東京都と関係のある公益財団法人という点に安心できる。
~持病のある一人暮らしなので見守りサービスで安心が得られた。
~いざという時に近くに子供がいないので不安だった
~墓を持っていなかったが慰霊堂へ合祀されるので安心した。
~後片付けの心配があったがこれで安心できる

 等など、おひとり様に共通する各種問題に対応しているサービスと
言えるのではないでしょうか?

 

 課題としては「指定連絡先」の問題と
ここでは紹介しませんでしたが、各種サービスの利用料金でしょうか?
費用の詳細については以下にリンクを貼りましたので
そこから詳細を確認して下さいますようお願いします。

あんしん居住制度

 

 いろいろと思い当たる節があるおひとり様で
当居都内在住の方は、一度はこのサイトをご覧になっては如何でしょうか?

この記事の著者

寺田 淳
寺田 淳寺田淳行政書士事務所 代表
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

主に以下のSNSで各種情報を随時発信しています。
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