「その時を迎えて」家族が役所で手続きをするものは?

 

【はじめに】

  家族が亡くなった時、どんな手続きをしなくてはいけないか?
亡くなった方の年齢にもよりますが、高齢の親が亡くなった場合、
後期高齢者医療保険や介護保険といった高齢者向けのサービスを
解約しなくてはいけません、親の名義の不動産があれば名義変更、
医療費支給を受けていればその停止など等、初めて対応する各種サービスの
終了の手続きは事前にある程度把握しておきませんといざという時に
非効率的な動きを強いられることになり兼ねません。

 今回は某自治体で確認出来た主要な手続きへのアドバイスを基に
私なりにまとめたものです。

   なお、ここで紹介した事例の中にはサービス内容は同じでも
担当窓口の呼称は自治体によって異なるかもしれません。
実際の手続きの際には事前に直接当該の自治体に確認を入れて下さい。

 

【返還するもの】

 1)国民健康保険
   加入者であれば、保険証の返還をしなくてはいけません。
  同時に葬祭費支給申請、資格喪失の手続きを行います。
  世帯主死亡の場合であれば相続人代表の指定も行います。

   手続きの際には
  故人の保険証、
  葬祭費支給に必要な喪主の振り込む先口座がわかるもの
  認印
  喪主氏名が分かる書類(会葬礼状や葬儀費の領収書等)

   これらを取り揃えて
  国保年金課国保係、
  国保年金課医療福祉係
   に出向きます。

 2)後期高齢者医療保険
   加入者であればこれも返還する必要があります。
  保険証の返還、葬祭費支給申請、資格喪失の手続きまでは
  1)と同じですが、ここに給付受領申請が加わります。

   手続きに必要なものは1)と同じです。
   窓口は1)と同じになります。

 3)介護保険証
   所有者の場合、保険証の返還、
  死亡した方の介護保険に関する通知の送付先の確認手続きがあります。

   手続きの際には
  介護保険証
  介護保険負担割合証(介護認定を受けている場合)
  介護保険負担限度額認定証(介護保険負担限度額認定を受けている場合)

   これらを揃えて
  高齢福祉課介護保険係
   に出向きます。

 4)身体障碍者手帳
   手帳の返還を行います、障害福祉課障害福祉係が窓口です。

 5)療育手帳
   手帳の返還を行います、窓口は3)と同じになります。

 6)精神障碍者保健福祉手帳
   手帳の返還を行います、窓口は3)と同じになります。

 
  多くの場合、高齢の親が亡くなった場合は
 2)の後期高齢者医療保険と3)の介護保険証に関する手続きが
 必須となると思いますので、参考にして下さい。
  
   

【届出が必要なもの】

 1)医療福祉費支給制度受給者の場合
   資格喪失の手続きが必要です。
  受給者証を持参して国保年金課医療福祉係に出向きます。

 2)緊急通報装置の貸与を受けている場合
   装置の撤去工事の日程調整が必要になります。
  高齢福祉課高齢福祉係が窓口で対面または電話で
  工事の日程を調整します。

 3)土地や家屋等固定資産を所有している場合
   相続人代表者の指定を行います。
  代表者が配偶者、子供以外の場合は
  相続の権利を有することが分かる戸籍謄本、遺言書、
  相続放棄申述受理証明書等の写しが必要になります。

   こちらは課税課家屋係、土地係が窓口となります。
  
 4)農地の権利を有している(所有権)場合
   農地の相続等の届出書(農地法第三条の3第一項)
  の手続きが必要です。

   農地の権利を相続等で取得した方は
  相続登記完了後に届出をします。

   届出の際には登記完了証の写しと認印が必要になります。
  窓口は農業委員会農地係になります。

 5)市県民税が課税されている
   手続きは相続人代表者が行います
  相続人代表者が配偶者や子の場合には持参するものは無しです。
  詳細については課税課市民税係に問い合わせることになります。

 6)軽自動車、二輪車、小型特殊自動車、原付を所有している
   相続人代表者の指定と納税義務者の届出が必要です。
   具体的な内容は課税課市民税係に確認して下さい。

  該当者が多いのは上記迄ですが他にも以下のようなものが
 届出が必要なものとなります。

 ・特別児童扶養手当、各種障害手当受給者
  支給停止の手続きが必要になります、
  手当証書と相続人代表者の口座が分かるものが必要で
  障害福祉課障害福祉係が窓口になります。

 ・指定難病特定医療費受給者証所有者
  お見舞金の支給停止手続きが必要です。
  受給者証と相続人代表者の口座が分かるものが必要で
  これも窓口は障害福祉課障害福祉係になります。

 ・児童手当の受給者
  受給者変更手続き、消滅届や新規申請の手続きです。
  新規申請者(養育する方)の振込口座が分かるものが必要で
  子育て支援課児童福祉係が窓口になります。

 ・児童手当受給者で未支払分の手当てが残っている
  未支払手当の請求手続きです。
  児童名義の振込先口座が分かるものが必要で
  子育て支援課児童福祉係が窓口になります。

 ・児童扶養手当の受給者
  受給者死亡届、資格喪失届、未支払手当の請求手続きがあります。
  証書と未支払手当を受ける方の振込先口座が分かるものが必要です。
  ここも子育て支援課児童福祉係が窓口になります。
  

【おわりに】

 最近は各自治体がオリジナルの死後手続きのガイドブックを用意しています。
ある自治体では自治体で取り扱う手続きの他に民間で行われる主要な手続きを
一覧にして案内しているガイドブックを用意しています。
(生保、預貯金口座、株式など、インターネット、電話関連、電気、ガス、水道など等)

 さらには予約制で総合受付のような窓口を設けて
一貫した死後事務手続きの案内と説明、アドバイスを行う自治体もあります。

 一度今暮らしている自治体ではどのような手続き関連のサービスがあるかを
事前に、元気なうちに調べておいてもいいと思います。

 次回は市区町村役場以外で必要になる手続きを紹介したいと思います。

この記事の著者

寺田 淳
寺田 淳寺田淳行政書士事務所 代表
東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。

主に以下のSNSで各種情報を随時発信しています。
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