【はじめに】いざという時の連絡先は?
警察官が巡回訪問の際、または賃貸物件の契約の際等で
ほぼ必ずある記載項目の一つに「緊急時の連絡先」があります。
ひとり暮らしの場合は、家族や親族が他で暮らしているならば
疎遠や険悪な関係でなければ連絡先として伝えることが可能です。
ですが、正真正銘のおひとり様の場合、
賃貸契約の際の保証人のような重い責任は負わない緊急時の連絡先、
それでもいざとなるとすぐには思い浮かばず、苦労することが多いようです。
今日はこのおひとり様にとって
意外に厄介な「緊急時の連絡先」について書いてみました。
【緊急時の連絡先ということ】
ただの連絡先ではなく、「緊急時の」連絡先です。
本人に何かあった場合の連絡はもちろんですが、
本人が不在時の自宅のトラブル発生時等の場合に、
速やかに駆け付けることが可能な相手であり、
当人と深い繋がりがある存在であることが求められます。
一般的には、若いうちには両親が連絡先の筆頭でした。
その後結婚して家庭を持てば家庭=配偶者が連絡先になり、
高齢化した時には子供(や孫)がその筆頭になる。
学生であれば、特に地方から上京しひとり暮らしをしている場合等は
学校が緊急時の連絡先になるケースも少なくありません。
これがおひとり様の場合には
まず結婚をしていない訳です。身内しかいないままとなります。
親が健在なうちはいつまでも親が連絡先になったまま、
また兄弟姉妹がいれば、お互いが連絡先になる場合もあるでしょう。
ですが、50代、60代で一人っ子のおひとり様はどうでしょう?
もう親は80代前後、親の連絡先が子である自分と言うのは当然ですが
自分の緊急連絡先が高齢の親だけと言うのは如何なものでしょう?
仮にシニア世代であっても
会社員として仕事に就いていれば会社を緊急連絡先に出来ますし、
場合によっては職場の同僚に頼むことも可能ではあります。
(なかなか容易くなり手が見つかるとは言い難いのですが)
仕事はリタイアしていても、
自治会や地域のサークルに参加していれば
その仲間のうちから選ぶことも可能です。
実際にシニア世代の方の相談で会った話ですが、
ひとりで自営業を営んでいる方の緊急連絡先が90代の父親のみ、
仕事もWeb関係の仕事の為、対面での繋がりが希薄で
連絡先に該当する繋がりが全くないという事例がありました。
【世代格差のある人脈の有無が分かれ道?】
シニアになって慌てて人脈作りを目指しても
その根底に緊急時の連絡先や保証人目当てという想いがあると
なかなか人間関係が深まることはありません。
やはりある程度の年月を重ねた結果としての信頼関係であり、
頼みごとが出来る関係になる訳です。
高齢になればなるほど、
人との繋がり、社会との繋がりを多く持つことが重要になってきます。
私自身が冒頭で述べたような記載を求められるケースの場合、
・高齢の親の連絡先
・所属する行政書士会の連絡先
・契約している管理会社の連絡先(自宅と事務所の2つ)
・年下の同業の行政書士
・以前の勤め先の気の置けない友人たち
・学生時代のサークルとゼミの仲間(ほぼ後輩に集中)
・趣味で繋がっている友人たち
といったように多方面の連絡先を記載するようにしています。
親は当然ですが、万が一の場合は最優先の連絡先です。
書士会や賃貸物件の管理会社には迅速な連絡を求められる相手先です。
友人関係に関してはいち早く他のメンバーへの伝達を託すためです。
更に意識的に、同年代や年上の方は候補から外しています。
絶対ではありませんが、年下、後輩の方が私より長生きすると
勝手に判断しているからです。
それぞれに連絡先として異なる意味がある訳で
その都度記載欄をはみ出して記載しています。
近しい繋がりの中だけで連絡先を探す他にも
例えば見守りサービスを提供する民間警備会社と契約していれば
そこが緊急時の連絡先に出来ますし、
地域包括支援センター等の公的サービスを利用しているならば
そこの窓口が連絡先になる場合もあるでしょう。
おひとり様の場合、
やはり自分から連絡網を用意しなければ
まさに人知れず最期を迎えていたといった放置死に繋がります。
またせっかくの連絡先を了解してくれたとしても
先方が自分と同世代や年上の方だけでは何とも心許ないものです。
世代格差のある人脈を持つことは、この手の不安を軽減します。
ここでも以前からの人間関係の濃度が大きく影響してきます。
【おわりに】
先に列挙した勤め先と、学生時代の友人と、趣味の仲間の間には
何の交流もありません。私を中心にした縦の繋がりだけです。
その全ての繋がりに同時に伝えるためにも
緊急時の連絡先を一つに限ることは却って伝達が不十分、かつ遅延します。
必要と思われる連絡先があれば、遠慮なく全てを羅列しておくこと。
この気配りが結果として自分自身のセーフティネットになり、
自分に繋がる周囲の人々に無用の負担をかけないことにもなるのです。
この記事の著者
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東京は新橋駅前で「寺田淳行政書士事務所」を開業しています。
本業では終活に関連する業務(相続、遺言、改葬、後見、空家問題等)を中心とした相談業務に従事し、さらにサラリーマンからの転身という前歴を活かした起業・独立支援に関する支援業務やセミナー講演等を開催して、同世代の第二の人生、第二の仕事のサポートも行っています。
主に以下のSNSで各種情報を随時発信しています。
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■ブログ「新・先憂後楽」
■コラム「マイベストプロ東京」
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